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薬剤師というお仕事③薬学部という所

化学と数学が好きという理由だけで何となく薬学部に行った。

薬剤師という資格を取るには薬学部に行かなくては行けない。現在ではそれは6年制となっている。

さてさて、期待に胸を膨らませて入学した大学だが、入っみるとなんとまあ忙しい。

1年次は教養科目が多かったが、午後は毎日実験。

しかも午前中の講義は月曜から土曜まで。つまり週休1.5日だった。アルバイトもやっている子はやっていたが、平日は実験が何時に終わるか分からないためなかなか難しく、私はお歳暮の時期など期間限定のバイトしかやらなかった。

2年次からは専門課程に入るが基本的に午前中は講義、午後は実験という日課は1年から3年まで同じ。

そして薬学部の進級試験はとても厳しい。なぜなら、特に私立は国家試験の合格率が人気のバロメーターだからだ。

国家試験の合格率を下げる要因になりそうな学生はバンバン留年させられる。

幸い私の大学はあまり留年者は多くなく、毎年留年するのは1割程度の学生ではなかっただろうか?

毎年国家試験の合格率が出るが、それは実際に国家試験を受けた学生に対する合格者の割合だ。だが実際は国家試験を受験するに至らず留年をし続けるものや諦めて別の道をえらぶものが沢山いて、1年次の入学者数に対する合格率となると全く別のものになる。

これを我々は真の合格率と呼ぶのだけれど、正直この真の合格率と厚労省が出す毎年の各大学の合格率とは結構な乖離があるのだ。

なんだかんだで何とか留年することも無く4年目を迎えることになる。

我々の時代の薬学部最終学年、4年次は最も忙しい年だ。

4年になると研究室に属し、学科の単位が取れてしまうと、後は毎日朝から晩までひたすら研究室で実験漬けの毎日だった。

さらに4月の国家試験に向けての勉強が本格化する。

国家試験に合格出来る学生のみを振るいにかけるために卒業試験がある。これにパスして卒業が決まると国家試験の受験資格が得られるわけだ。

とりあえず4年次はいそがしく、かつ当時の国家試験は4月頭に行われていたため、いわゆる卒業旅行なるものには行けないため、3年次の春休みに早めの卒業旅行に行っておいた。

そして怒涛の4年目がスタート。

私の場合は4年の前期で学科の単位は全て取れたので後は卒論実験と卒業試験の勉強のみだったので比較的楽だったと思う。

基本実験は好きだったので特に苦ではなかったが。しかし、その合間での国試対策。

大学入試の何倍も勉強をした気がする。

卒業式が終わっても国試対策は終わっていなかった。人生で1番勉強をした時期だったとおもう。

卒業式が終わると下宿を引き払い実家で国試対策。就職先から出されたビジネスマナーの通信教育もこなしながら国試当日まで過ごした。国試は2日かけて行われる。

就職先は東京だったが、研修が関西で行われるため、国試が終わるとその足て大阪に向かい入社式とその後2ヶ月の研修に挑まなければならなかった。

本当に詰め込んでいたのだと思う。

国試が終わった瞬間、風船が破裂したような感覚が自分の中であった。終わった瞬間に、今まで詰め込んでいた知識が弾け飛んでしまった感覚だ。

何はともあれ無事国試が終了し、入社式に向かった。

就職先は製薬会社だった。

④に続く

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