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Spotifyの楽曲に埋め込まれている情報で日本のヒットと世界のヒットの定形を考察してみた話

はじめに

この記事は下記2記事の続きとなります。

まとめると、
Spotifyは楽曲にテンポ、ダンス感、アコースティック感、エナジー感など様々な要素を対数的につけていて、それが細かくてすごい。
という話でした。

1つ目の記事では日本のTOP 200のデータを元にそれぞれの指標の高い曲、低い曲をみてみたわけですが、今回は同じ方法でグローバルのTOP200のデータを持ってきて、各指標の分布を比較してみた、という記事です。
さらに指標値の中央値からSpotify的ヒット曲の定形を探ります。

ヒストグラムの赤色が日本のTOP 200での分布、緑色がグローバルのTOP 200での分布になります。各指標の詳しい内容や特徴は2つ目の記事に詳しいのでそちらを参照してください。

1.acousticness(アコースティック感)

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1に近づくほどアコースティック感が強いというacousticness。
グローバルと比較すると日本のヒット曲のほうがアコースティック感は薄めのようです。

2.danceabillty(踊りやすさ)

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1に近づくほどダンス感(=踊りやすさ)が高いというdanceabillty。
これは明らかにグローバルのヒット曲のほうが平均値が高いです。世界でヒットする曲を作るにはもっとダンサビリティーを上げよ、ということですね。

3.energy(エナジー)

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1に近づくほど"エナジー"が高まるというこの数値。ラウドネスやスピードが関係しているらしいです。
前回の記事でも触れましたが、日本の楽曲のほうが平均値が高いですね。ダイナミクスレンジが低いとがこの数値が上がる=日本の楽曲ってダイナミクスレンジが狭い?という説もあり。

4.liveness(ライブ感)

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1に近づくほどライブ感が強いとされるliveness。
日本の楽曲のほうが高めですね。これはスタジオ的な完成度ということなのか密室感ということなのか...

5.speechiness(スピーチ感)

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スピーチ感という独特の指標。
グローバルの方が平均が高いのはラップが多いからでしょう。

6.valence(明るさ)

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楽曲の持つ明るさの指標です。
日本のほうが海外よりちょっと明るめですね。なんか良いことのような皮肉のような。

7.tempo(テンポ / BPM)

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大きな差としてはBPM100より少し低いところの数値ですが、想像していたほどの差はないですね。むしろ125周辺、150周辺、175周辺など共通して人気のところ、不人気のところがあるのが面白い。ジャンルごとに人気のテンポはありそうです。
これは楽曲を分析しているSpotify側のアルゴリズムのクセかもしれません。

8.duration_ms(曲の長さ)

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これも分かりやすく差が出ましたね。サブスク以降楽曲はどんどん短くなっているとは聴いていたもののこんなに差がでるとは。
グローバルの分布は150,000ms=2分半〜200,000ms=3分20秒ぐらいに山があります。

9.key / mode(調性)

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C=1として、C#/Db=2、D=3....と続いていく楽曲のキーの数値。
3 = D(B minor)の数値だけ人気がないようです。
日本の楽曲は0=C(A minor)、グローバルでは1=C#/Db(A#/Bb minor)が人気ですね。極端な分布を見るとこれもアルゴリズム的なクセがあるかも?と思います。

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ちなみに調性を表すmodeは、1=メジャー0=マイナーの二択。
全体としてメジャーの曲のほうが多いですが、グローバルと比較すると日本はとくにメジャーの曲が多いようです。

10.loudness(音量)

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これも意外と日本のほうが高い。ダイナミックレンジと関係している気もします。結局自動補正されるわけですから、納品した音源がアルゴリズムで"ラウドネスが低い"と判断されたほうが得なこともあるのかもしれません。

まとめとおまけ:世界的ヒットの定形に近い日本の曲をさがしてみる

ここまで見てきた各指標の中央値を比べてみます。

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目立つところをまとめると、
グローバルで流行っている曲のほうが、danceabilityが高く、曲は短く、スピーチ感が強く、テンポは遅いようです。

次に、日本のTOP 200の楽曲からグローバルTOP 200の楽曲に最も近い曲を探してみます。
上で出した9つの指標に関して、Global TOP 200の中央値から前後15%の数値を色付けしてみます。(下の画像のようにExcelでぼちぼちやってます)

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色のついたセルの数が多いほどGlobal TOP 200の曲の特徴に近い=Spotify的なグローバルヒットの定形に近いと言えそうです。

8/9 hit
Zedd「Stay」
7/9 hit
Azaran Ma「One Jump Ahead」
Zedd「The Middle」
Ariana Grande「thank u, next」
6/9 hit
Taylor Swift「We Are Never Ever Getting Back Together」
The Chainsmokers「Call You Mine (with Bebe Rexha)」
Lil Nas X「Panini」
Clean Bandit「Symphony (feat. Zara Larsson)」
Camila Cabello「Havana (feat. Young Thug)」
Avicii「SOS (feat. Aloe Blacc)」
5/9 hit
Jonas Brothers「Only Human」
Ed Sheeran「I Don't Care (with Justin Bieber)」
Shawn Mendes「Señorita」
The Chainsmokers「Closer」
Anne-Marie「2002」
Ed Sheeran「Beautiful People (feat. Khalid)」
BTS「Dream Glow (BTS World Original Soundtrack) - Pt. 1」
Will Smith「Arabian Nights (2019)」
Kygo「Higher Love」
BTS「Lights」
Katy Perry「Never Really Over」
Martin Garrix「Summer Days (feat. Macklemore & Patrick Stump of Fall Out Boy)」
AI「Story」
あいみょん「ハルノヒ」
iri「Wonderland」
HY「AM11:00」
Aimer「カタオモイ」
King Gnu「Slumberland」
Haruka Kinoshita「Speechless (Full) - Japanese Version」
Mr.Children「HANABI」
Mrs. GREEN APPLE「春愁」
Little Glee Monster「ギュッと」
ONE OK ROCK「Stand Out Fit In」

ニワトリたまご的な話になりそうですが、流石に多くの項目でヒットしている楽曲は大ヒット曲が多いです。日本の楽曲は5/9 hitから出てきます。

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各指標を見てみると、danceability、tempoは全曲が範囲内。逆に範囲内に少ないのはacousticness、speechinessですね。

そんな感じで今回の記事は終わりです。
また何か思いついたら検証してみます。

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Spotifyの楽曲に埋め込まれている情報で日本のヒットと世界のヒットの定形を考察してみた話

Hikaru Hanaki

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93年生まれ。音楽ライター。大学在学中より『Jazz The New Chapter』シリーズ、『ミュージック・マガジン』、Mikiki等で執筆。インタビューも。過去のお仕事など→https://t.co/L7LZ4Wscwf 記事はすべて投げ銭です

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