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地中海北縁の旅と生活 第2章③

香高堂 地中海北縁の旅と生活 第2章<2016年真夏の南仏マルセイユ観光記>
2-3《滞在食生活と地中海の青い空、人生の岐路を予知》

 マルセイユの昼間の空からの陽射しは強く暑いが、時折乾いた風が吹くため割と過ごしやすい。街と道路、港まで、街並みはサラエボと違い整然としている。歩道、自転車ゾーン、並木、パスレーン、片側二車線のメインストリート、マルセイユの海岸線まで一直線になっている。南仏の街マルセイユは夜の街の灯りさえ温かく感じる
 
 滞在のある日、昔に比べて安全になった言われるマルセイユの港近くにてランチ。ムール貝、タコのリゾット、魚介が新鮮で美味い。サラエボでは食べられない新鮮さだが、野菜はサラエボの方が断然美味い。だが、夕食は不動産屋回りで疲れ果て、スーパーでワインや食材を買い、アパートメントのキッチンで牛肉か仔羊肉を焼く日々が続く。それにボンゴレとムール貝だ。
 
 マルセイユ最大の観光地は<ビューポー=旧港>、夜8時、夕暮れの明るさ、潮の香りが漂う中、ヴァカンス客が行き交う。鏡の天井、モニュメントの鳩が聳え立つ、この鏡を使ったモニュメントアートに写り込む人々はどこに向かうのか、カフェ、レストラン、それとも・・・。初めてのフレンチ料理らしきものを旧港のレストランで食べる。イカにニンジンピューレ、鴨肉のパイ包みだった。マルセイユに滞在して1週間近く、夜にレストランに行ったのは初めてだった。
 夜10時、フランス人の若いカップルから「日本人?日本大好き」と声を掛けられるが、何故か「アニメでなく、日本文化が特に」と言われた。さて、フランスにどんな日本が隠されているのだろうか。
 
 マルセイユからカランクを見ながら海沿いに走ると30分程度で<カシスcassi>の港にたどり着く。そこは行き止まりで小さな入り江で泳ぐ人もいる、ダイビングも出来るようだ。レストランもあるが、まだ人は少ない。街並みの色彩の統一感は日本ではなかなか見られない。日本、サラエボ、マルセイユの風景を比較して、何がこんなに文化文明を分けたのか、経済が発展した方が良かったのか不明なり。

 一方、ある日本人のお誘いで、マルセイユとエクサンプロヴァンスの中間にあるゴルフ場で南仏初ゴルフ、日本人10人参加でコンペもどきだった。終了後エクサンプロヴァンス郊外にある寿司屋にて懇親食事会、久しぶりの日本語会話はカミサマ会話に疲れていたのでありがたかった。また、南仏の景勝地<レ・ボー>でもゴルフが出来たのは大いなる救いになった。

 アパートメントの目途は全く立たず、サラエボに戻る日程を考え始め、7月14日にマルセイユからサラエボに戻ることにした。14日はサラエボでは食べられない美味しいフレンチを味わいたく、ニースで松嶋啓介が営む一つ星レストランを選び、ホテル予約を行った。しかし、13日夜サラエボから緊急の連絡があり、急遽ニース泊りを変更して直接ボスニアに戻ることにした。友人には申し訳ないが、結果的にはいらぬ苦労をさせなかったのかもしれない。
 人生危機一髪、何が起きたかは次回以降に。

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