現代音楽 その観衆

物分かりの悪い観衆たち
知性のかけらすらない拍手
アランギルバートの苦笑い

電車が小便の匂いを発していて
それは夜と朝の繰り返しである
千夜一夜に虐げられた女たち
語ることは命をかけるということだ

ホムンクルスがフーガを奏で
私はずっと不安なままで
悍ましさと不気味さがいれ替わる様
虐殺、影を落とすワルシャワ

ほとばしる旋律たち
切れる弓、外れるブリッジ
現代音楽は苦悩の音楽だ
誰もそれを美しいとは思わない
まさしくそのことが彼らを満足させるのだろう

歓声が大きくなればなるほど
アランの顔は曇っていった

破滅的に物分かりの悪い観衆たち
知性のかけらすらない
割れんばかりの拍手たち





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