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登山靴あれこれ ①

はじめまして。yamadagawaといいます。山歩きと写真が好きで、今年はいろんな山に行きました。ふと思い立って、自分が調べたり経験したことを書いてみようとnoteをはじめてみました。目に止まった方の参考になれば幸いです。

登山靴いろいろ

山というフィールドで使う靴にはいくつかの種類がありますが、ざっくり分けると、歩行を主体とした靴(トレッキングシューズ、バックパッキングシューズ等)と特殊な条件下で使う靴(クライミングシューズ、アルパインシューズ等)のふたつになります。今回はその中で歩行を主体とした靴を中心に記事をまとめたいと思います。

登山靴とはどんなものか

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登山では舗装された道はほとんど存在せず、土や岩の上を長時間歩くことになります。そのため登山靴は土や岩の上でグリップしやすいソールが使用され、靴自体も壊れにくい堅牢な作りになっています。また、急な雨が発生する気象条件であり雨を避ける場所があるとは限らないため防水性も高められており、山岳地帯という過酷な条件下で使用することを前提として作られた靴です。このようにいくつかの利点を持つ登山靴ですが、その最大の利点は長時間の歩行を可能にするサポート力にあると考えています。

登山靴のサポートとは

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登山は短くとも4時間、長い場合は12時間を超える長時間を自らの足で歩くことになります。日常でそのような長時間を歩くことはなかなかないと思います。しかし、山というフィールドにおいては長時間歩くことが必要であり、実際に山に登っている人たちは歩いています。長時間歩くことになれていない人でも登山靴を履くことによって歩くことが可能になるのです。

登山をする方で町を歩くとすぐ疲れるのに山ではなかなか疲れないと感じている人がいらっしゃるかと思います。かく言う私もそのひとりで、山では数時間歩いても歩き足りないぐらいなのに、街中を歩くと30分程度で足に疲れを感じてしまいます。これは町と山で使う靴に違いがあると私は考えています。

人が歩く際、足の筋肉で体重を支えて、歩いています。山ではなだらかな道だけでなく急な登り、下りがあり、街中よりはるかに足の筋肉を酷使する状況です。また、食糧や防寒着など山を歩くために必要なものは自ら背負い持っていかねばならないため、荷物は重くなり、より足の筋肉を酷使することになります。そのような状況で足の負担を軽減し、重い荷物を背負っても靴がその重量を支えて長時間の歩行を可能とするのです

サポートとは足の安定性

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歩行時、私達は足の筋肉で体重を支えて歩いています。これが登山では石や土のデコボコした道を重い荷物を背負った状態で歩くことになるため、より大きな筋力を必要とします。ここで登山靴は足の安定性を高め、筋力のサポートをします。登山靴を履くと踵がカチッと収まるような安定感を感じます。この安定性が得られることによって足の筋肉の負担を減り、筋肉の少ない人でも重い荷物を背負って歩けるようになるのです。

登山靴によって安定性は違う

この安定性を高めれば高めるほど靴の剛性は高くなり、重量も増えていきます。靴の剛性はソールの内部にあるシャンクと呼ばれる靴の芯材に由来します。

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LOWA タホープロ バックパッキングシューズのため重量はあるが、剛性が高い。オールレザーで耐久性も高い。

固いシャンクを使用している靴ほど、剛性が高くなり重い荷物を背負ったとしても足への負担を少なくすることができます。しかし、剛性が上がるほどソールは固くなり、靴自体も重くなるため歩きにくくなっていきます。

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足先がほとんど曲がらないため、歩行は重くなる。(体重をかければ多少曲がる)

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力を込めて捻ってもまったく歪まない。重い荷物を背負って歩いたとしても靴が足を安定させてくれる。

逆にシャンクが柔らかくなれば靴の剛性は落ちるものの軽量となり、自然な足運びができるため歩きやすくなります。

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Salomon XultraⅢ ローカットのトレッキングシューズ。化学繊維(ナイロン)製で軽量だが剛性は低め。そのため軽快で自然な歩行が可能

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足先が曲がるため、自然な歩行が可能。また、足首の自由が利くため急斜面では足裏全体を使って歩くことができる

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力を込めて捻ると靴が歪む。そのため重い荷物を背負って歩いた場合、靴が重量を支えきれず足に負担がかかってしまう。

こんな靴も

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安藤製靴 オールシーズン対応(保温材なし)の重登山靴。20年ぐらい前は縦走用の登山靴というとこのような靴であった。堅牢なレザー製で重量はなんと片足約1.4キロ。ソールは分厚くとても固い。通称、山靴(ドタ)と呼ばれその由来はこれを履くとドタドタ歩くから、らしい。手入れをしているのでまだ使えるがこの先出番はあるだろうか…

登山靴によって適した山行がある

概ねトレッキングシューズは軽量で比較的柔らかめなものが多く、重い荷物を持つような山行には適しません。よって荷物の少ない日帰りや小屋泊での登山に適します。バックパッキングシューズは、重量があり、剛性の高い靴が主体です。テント泊等で重量のある荷物を背負うような登山に適しますが、荷物が軽く、歩行時間が短いような登山ではその重量や固さが煩わしく感じることもあります。

トレッキングシューズが適した山行 → 日帰り、小屋泊登山、荷物が軽量の山行

バックパッキングシューズが適した山行 → テント泊、長期縦走、荷物が多く重量のある山行

と考えてもらえばわかりやすいと思います。

なお、バックパッキングシューズで日帰りや小屋泊の登山は、トレッキングシューズに比べると歩行の固さがありますが、問題なくできます逆にトレッキングシューズで重い荷物を背負って登山をすることは足の疲労感は増えるものの、脚力のある方であれば問題ありません。また、トレッキングシューズにはローカットからハイカットのものがあり、剛性も入門用の柔らかいものからミドルクラスのある程度の固さを持ったものと幅があります。最近はテントや寝袋などが改良され軽量化が進んでおり、テント泊装備一式を持ったとしてもそれほど大きな重量とならないため、ある程度剛性のあるトレッキングシューズであれば問題なく歩けるかもしれません。

結局は人それぞれ

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登山靴には足の筋肉の負担を減らす効果がありますが、脚力のある方(例えばフルマラソンを走破できるような)であれば靴のサポートは特に必要ありません。そういった方は自らの脚力だけで歩けてしまうのです。山では地下足袋で歩いている人を見かけることがありますが、地下足袋で歩くような方は登山靴のような重たく足運びが制限されるものより軽くて足裏感覚に優れており、足さばきがしやすいものを好むのだと思います。最近ではトレイルランニングシューズという走ることを目的とした特殊用途の靴で登山をする方も見られます。そういった方も足運びを重視しているのでしょう。もっとも、健脚な人が皆軽い靴を好むわけではなく、山のガイドをしている友人は一年のほとんどを山に入って歩いているような男なのですが、彼は固く剛性の高いハイカットの登山靴を好んで使っています。靴の好みは人それぞれです。

登山経験を積んでいくと、自分の好きな歩き方や登り方がわかってきます。私自身はのんびりと写真を撮りながら歩くことが好きなため、その登山形態に向いた靴を選択して使っています。いろんな山に行き、経験を積むことで、自分の好きな歩き方がわかるようになります。自分の歩き方に合う靴を選んで使っていけば、より登山が楽しめるのではないでしょうか。



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