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インフルエンサーの配信する情報は信用できるのか? (論文紹介)

動画は私達にとって重要な情報源の1つとなっています。特にYoutubeは他のSNSを圧倒する利用率で、アメリカ合衆国の成人の約81%はYoutubeを利用しており、全Webサイトの中でもGoogleについで2番目にアクセス数の多いサイトとなっています(3番目はFacebook)。このような動画配信サイトで人々に多くの影響を与える存在は、Social Media Influencers (SMI)、いわゆるインフルエンサーの存在です。インフルエンサーはSNS上で多くのフォロワーを持ち、自分の生活や利用している製品をしばしば宣伝を行ったりVlog (ビデオブログ)の配信を行ったりします。彼らの影響力は大きく、最近の研究でも多くの若者が彼らのコンテンツを視聴するときに、遠い友人と会話している気分になることなどが示されています。また、インフルエンサーは自身の生活を露出することで、彼らへの関心が高まり視聴継続を生み出しているそうです。

インフルエンサーはその影響力の強さから、彼らの情報発信、特に健康情報に関する発信は人一倍重要なものとなっています。今回紹介するHealth Communicationに採択された"What Do Social Media Influencers Say About Birth Control? A Content Analysis of YouTube Vlogs About Birth Control."という論文は、インフルエンサーの発信するVlogに含まれた健康情報 (Hormonal Birth Control)について分析したものとなっています。

著者らは、分析するデータとして、Hormonal Birth Controal (ホルモン性避妊法)について述べているVlogに着目しています。ホルモン性避妊法は一般的に、信頼できる避妊方法と言われてるものです。著者らはYoutubeでHormonal Birth Controalについて言及している20,000人以上のフォロワー数を持ったインフルエンサーによって配信された50本の動画をレビューしました。レビューの方法として、コードブックを用いて2人のアノテーターによって設定した基準に基づき、動画の情報やHormonal Birth Controalに対する姿勢などのラベル付与を行いました。

動画の内容、特に一般的に安全であると言われているHormonal Birth Controalに対する姿勢について着目したところ、74%のインフルエンサーが利用しないことを決定したしそうです。ちなみに、利用しないことを決めた理由としてもっと自然になりたい (being more natural)や精神的な健康の問題 が大部分を占めていました。

著者らは、インフルエンサーが一般的に健康と言われているHormonal Birth Controalの利用を辞めている件をふまえて、他の避妊法と比較していないことや、自分の経験のみで話すことから、不適切な健康情報の発信につながる可能性を懸念していました。今回の論文では、難しい技術などは用いていませんが、このように1本1本の動画に対してコーディングし、知りたい情報についての傾向や統計情報を確認することも理解において有用となっています。

Pfender, Emily J., and M. Marie Devlin. "What Do Social Media Influencers Say About Birth Control? A Content Analysis of YouTube Vlogs About Birth Control." Health Communication (2023): 1-10.
URL: https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10410236.2022.2149091

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