見出し画像

2022年元日に買った靴の話

一人前になるということは、自分に似合うものをよく知ることだと思う。
似合うものをよく知っているということは、自分のことをよく知っていることと、世の中に溢れる物事をよく知っていることをバランスよく兼ね備えている状況だと考える。

社会に出たばかりの頃は、後者を「社会経験が足りないこと」と解釈した。自分の未熟さや至らなさの最大要因だと思い込み、世の中を知るために様々なことにチャレンジし、様々な人と関わることに重きを置き、時間と金と精神を費やすように暮らしていた。

次の春が来たら、社会に出て丸6年になろうとしている今、大事なことはそれだけではないことを知っている。
様々なチャレンジ、経験、人間関係にどれだけ取り組んでも、目的や目標=自我がなければなにも得るものがない。他者から見てもただ遊んでいるように見えることだってある。
なぜそうするのか、なぜその選択をするのか、根拠や思考プロセスこそが自己理解だと思う。
それらを掛け合わせた組み合わせの総数が、経験となり、そこから選び取る組み合わせが個性となりその人らしさとなる。今の私はそう考える。

と、大袈裟に語ってみたが、
本日のテーマは、身なりに関わることである。身なりとは言うまでなくファッションである。
これもまた、私が社会に出て奮闘して来たことのひとつだ。

社会人になってから今日まで、スーツを着用する仕事をしている。
貸与もしくは購入させられる制服があるような会社や私服の会社があることを思えば、自由にスーツを選んで着れば良いというのは、大学生の私からしてみたら、なんて楽なんだろうと思う服装だった。私服ほど自由すぎないので「何を着ていけばいいのか」に困らず、毎日考える必要もない。でも、皆同じ制服ほど堅苦しい感じもない。スーツさえ買えば悩まないし困らない。恥をかかない。


しかし、現実は違った。スーツと一言で言っても、さまざまな種類がある。生地、色、形、パンツ、スカート…というように。そして値段もピンキリである。

安くベーシックなものでも困らないが、それを着ているだけでは、それを全力で選んだのか、いろいろ検討してそれを選んだのか、「なぜ」の部分が表現できないではないか。
つまるところ、一見差がつかないように見えるアイテムだが、めちゃくちゃ差がつく。おしゃれセンスがないことはバレないが、ただスーツを着ているだけなのにおしゃれな人はめちゃくちゃおしゃれなのだ。

どうせ着るならおしゃれな方がいいに決まっているのに、お金と意欲がない。困った。
仕事着にかけるお金があるなら私服を買いたいというそもそもの最低条件のせいで、検討できる商品は限られる。



靴も同じくだ。就活生時代からスーツに合わせてパンプスを履き続けている。今は何足目だろう。
この単語が出てきたここからが本題だ。前置きがさすがに長すぎた。

社会人としての時間は、靴の試行錯誤の歴史と等しいと言っても過言ではない。
最初は、就活を始める際にリクルートスーツを購入したところから始まる。
大手のスーツ量販店に行き、既製品の中からいくつか試着をして、これならという物を選んだ。
その店で、適当なパンプスとリクルート鞄を購入した。
これが私が自分で買った初めてのフォーマルパンプスだ。
適当なパンプスと言っても、7000〜8000円した。さまざまな形がある中で、ストラップ付きがかわいく思い選んだ。ヒールの高さは5cmにした。就活用のパンプスでは5cmはノーマルの高さだと聞き選んだ。就活生が履いていて過不足ないという意味だ。
後々就活が進んで行くにつれ、みんなもう少し低めのものを履いていたなと感じたりもした。

このパンプスは結構気に入ったが、当時8月1日面接解禁という猛暑下の就活スケジュールで、さすがにスーツ・パンプス共に替えが欲しくなり、慌てて近所の西友で調達した。
この時買った西友のパンプス(¥3000くらい)が、とても好コスパで、その後就職してからも履いていた。
最初に量販店で買ったストラップ付きのパンプスを、他大学の見知らぬ就活生に「ストラップ付き歩きやすそうでいいね、私もその形のパンプス買おう」と言われたことに図に乗り、この西友パンプスもストラップ付きにした。

この時、パンプス歴2足目にして、パンプスは、ストラップ付きかつヒール5cmが最強論を勝手に唱え始めた。

この2足は、在学中就活以外の正装場面でも履いていた。
そのまま社会人になったが、尚この2足をローテしていた。

しばらくして、量販店パンプスとの別れがやってきた。
無惨な壊れ方をしたためだ。
死因は酷使だ。通勤で利用する電車の最寄駅まで徒歩20分(坂2つ。行きが下り、帰りが登り)を毎日歩きすぎた上に、毎朝電車の時間ギリギリで下り坂をパンプスダッシュしたせいだ。
「そりゃ、壊れるわ」とも思ったし、「それでも数年履ける上に走っても壊れない西友パンプスなんなんだ」とも思った。


靴は値段じゃないのでは?西友パンプス最強説浮上。


そこから、何足と靴を変えたが、やはり坂道ありの徒歩ルートがいつも致命傷だ。特に毎朝下り坂を駆け下りるのは、靴にかなりの衝撃がかかるし、多くの靴が、2つの下り坂を毎朝全力疾走で駆け下りることを想定して作られていない。
「走れる」などと謳うパンプスもあるが、箱根駅伝出場気分になるほどの下り坂を爆走するほどの走りではなく、どうせ丸の内の舗装されたアスファルトの上を軽やかに颯爽と駆けるような走りを想像しているに決まっている(あくまで一個人の偏見です)。

そこで、通勤靴と社内靴を分けることを思いついた。
仕事中はきれいな靴を履いていられるようになったが、常に2足靴を用意しておく必要があるので、1足にかけられる予算が低減。さらにコスパ重視の靴選びとなる。


一時期、ショッピングセンターのPB商品を履いたりもした。
別の時期には、高い靴は作りも良いのでは?という仮説を立て、百貨店で高い靴を買ってみたりもした。
しかし、どれも坂道ダッシュを持ってしてあまり変わらなかった。(そもそも坂道を走らなくても電車に間に合うように起きろという話なのだが。)
むしろ、ヒールで全速力を続けて膝が痛むようになったので、ヒールを履き続けていいものか頭を悩ませたほどだ。


そんな時に出会ったのが、天下のORiental TRaffic様だ。
ORiental TRafficおよびWA ORiental TRafficの靴は、通勤靴と社内靴を分けたい、安くてかわいい靴を履きたい、フォーマルだけどおしゃれな靴を履きたい、そして爆走しないとならん時がある、という私の状況を全て飲み込み、受け入れ、叶えてくれた。

初めてORiental TRafficの靴を履いた日から、今日まで何足お世話になったか分からない(回し者ではありません)。

通勤用、社内用だけでなく、休みの日に履く靴、夏はサンダル、冬はブーツ、雨の日用と、靴に困ったらORiental TRafficの店舗に行くと解決してくれる商品が必ずある。圧倒的信頼感。複数買いしやすい価格帯。
そして、だいたい人に褒められるし、「ORiental TRafficの靴いいよね」とOL同士の会話で盛り上がるしな。


現在、仕事中に履くパンプス、雨の日用通勤靴にORiental TRafficの靴を選んでいる。
ストラップ付きの5cmヒールのこだわりもいつのまにかなくなった。
それ以上にデザインがかわいいので欲しくなるし、なにより歩きやすい。
良い靴選びの指針を持てたような安心感がある。だからこそ、冒険もできるようになる。


そして、元日に新年から履くための新たな靴を買うに至った。
冬の通勤靴には、ここ数年同じショートブーツを履いていた。
これも、学生時代に購入したため、ヒールは5cm。今の私には必要のない高さのヒールであったが、大変気に入っており、数年履き続けていた。
これが年末に例に漏れず壊れてしまった。

かつて、ヒールの高さが自分の虚勢や見栄とリンクしていた時期があったが、そんな時期も通り越した。なぜなら、足が痛い。情けないが、アラサーにもなれば将来を考えてしまう。見栄や虚勢を張ったところで返ってくるものはないと気づいた今、自分の体を大切にすることがなにより大事な軸になる。
決して、ヒールのある靴を悪く言っているわけではない。
私の通勤経路がヒール歩きに向かないというだけだ。

靴屋に行き、ショートブーツを探した。
最初は似たような形の物を探してしまっていたが、最終的に選んだのは、le coq sportifのウィンターブーツだ。
le coq sportifといえば、スニーカーの印象が強い。驚くほど軽くてかわいい靴が多いが、一度も履いたことがなかった。
ましてや、仕事の日に履く靴を検討する際に売り場を見ようと考えたことがなかった。
しかし、見つけた瞬間、歩きやすさや軽量さにビビッと来てしまった。
通勤用と言えど、スーツ姿にカジュアルすぎる気もしたが、なんてことはない。スウェード素材がきちんと感を出してくれる。
そして、防水・消臭機能も備わっている。優秀。

今年最初の買い物はとても満足した。
その靴を履き、出社しているがすごくいい。軽やかに歩けている気がする。
やはり歩きやすいといのは大事だ。気持的にも自分の足で前に進める気分になる。

ファッションとしても、どんな靴を履くかは重要だが、今の私は踏みしめながら、でも軽やかに歩ける靴が最優先の条件だ。
そんな靴が自分好みのデザインだったり、着る服にとても合うものだったら最高だと思う。

次は社内で履く靴をぼちぼち検討したい頃だ。仕事では運転もするので、そう高いヒールは選べない。でもそれでいい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?