旅行_note_

羽田発ドイツ経由フランス行きがカナダ経由フランス行きになった話①

こんにちは、ヒカルヒカです。

2019年2月。諸事情で日本に一時帰国し、フランスへ帰ろうとしたときのこと。まあタイトルが全てを物語っているのですが事の顛末を聞いて欲しい。

朝 - 悪夢の始まり - 

思えば、この日は悪いことがいくつも重なっていたのだ。前日あまりにも幸せだった反動がここで跳ね返ってきた。早すぎる。小出しにしてほしかった。

悪いことその①:春一番

春一番:その年の立春から春分までの間に最初に吹く強い南寄りの風のこと。

- ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より

この日は風がメチャクチャ強かった。荒れ狂っていた。そして私は千葉の南の方の人間なので、羽田までアクアラインバス(死ぬほど風に弱い)を使う予定だった。チェックイン開始時刻は午前中だったため、万が一を考えてトコトコ電車で陸周りすることに。つまり、所要時間が倍以上になるため7時くらいに家を出るハメになった。バスだったら8時半くらいだ。そこで超心配性の母がなぜか空港まで着いてきてくれることになった。「来なくて平気だよ」と言っていたが、のちにこの母の善意にひれ伏すことになる。

悪いことその②:飛行機の欠航

これが諸悪の根源。駅に向かう車の中で、私は何気なくiPhoneを開いた。ルフトハンザアプリから通知が来ている。

”ミュンヘン行〇〇便欠航のお知らせ”(確かこんな文)

私はリアルに五度見くらいした。頭が真っ白とはこのことである。母に「飛行機欠航って来たんだけど……」と言ったら母も「え……?」と黙りこくってしまった。我々は航路の旅に不慣れなので、そのような事態を経験したことがなかったのだ。でも、あまりにも風が強いから仕方ないのかなとも思った。

でも私は数千キロ離れたフランスの地へ帰らなければならない。Googleで”ルフトハンザ 欠航” ”国際便 欠航”と無駄に調べまくったが大した情報は出てこない。泣きそうだった。とりあえず空港には向かおうという話にまとまり、駅で電車を待つ。

そこで母は言った。

「アンタ、リュックどこやったの?」

私はここで初めて、自分が荷物を詰めたリュックを実家に置いてきたことに気が付いた。買い物しようとして街まで出かけたのに財布を忘れたサザエさんを馬鹿にできないうっかりさんだ。リュックには服や買い足した化粧品などが詰まっていた。あと通販していたドリミのAGF本も。これを置き去りにするわけにはいかない。ソッコーでついさっき駅まで送ってくれた弟に電話をかけ、リュックを急いで持ってきてもらった。非常に申し訳ないことをしたと思う。その弟にはリュックを改札越しに手渡してもらった以来会っていないので、帰国したら何かしら買ってあげようと思う。忘れていなければ。

そんなこんなで一本電車を遅らせて空港へと向かったのだった。

とりあえずカウンターでどうすればいいか聞いてみよう。どうにかなるはずだ。とこの時には既に開き直っていた。電車で爆睡した。

悪いことその③:欠航の理由、風じゃない

私は「みんな飛行機なくなって困ってるんだろうな~、阿鼻叫喚かな~」と考えていた。あまりにも性格が悪い。

ただ、羽田空港国際ターミナルに着いて電光掲示板を見たとき、私はこの日二度目の五度見をした。そう。私が乗る予定だった便以外は全て通常通り。

「風じゃ……ない……?」

多分漫画のキャラみたいになってたと思う。知らないけど。でも欠航便は私が乗る予定だったもの以外一つもない。あとここで私に追い打ちをかけたのが、5分差で離陸するANAのミュンヘン行の便は通常通りだったのである。

ここで私はひらめいた。ANAとルフトハンザはどちらもスターアライアンス。コードシェア便も多い。ということは、振替でANA便に乗れるのではないか!と。天才かと思った。

とりあえず私がどうこうできる話ではないので、本来のチェックイン開始時間を待ってカウンターに並んだ。同じく路頭に迷っている人がたくさんである。前に並んでいたマダムに「これ、欠航の便の列で合ってますかね?」と話しかけたらその人は「え、これ欠航なんですか!?」と仰った。私はこの便だけが欠航なことを話し、困りましたね……とお互い落ち込んだ。しかしその数分後、ANAのスタッフさんがやってくる。「〇〇便(先述のANA便)にご搭乗予定のお客様いらっしゃいませんか?」と。先ほどのマダムは自分のeチケットを見る。そして一言。「あ、私のあっちだわ」。戦友を失った。列を離れる時の申し訳なさそうな顔は今でも忘れられない。嘘です。忘れました。

再び一人で並ぶ。カウンターではグランドスタッフさんたちが、自分は悪くないのに頭を下げている。大変そうだなと思った。ただ、私より二人前くらいに並んでいたお姉さんが、先述のANA便に振り替えてもらっているのが聞こえてきた。希望が見えた!!

悪いことその④:希望は叶わなかった

いよいよ私の番。以下大体の会話。要所しか覚えてない。

私「欠航なんですよね?」

ス「そうです、申し訳ございません。お客様は本日18時50分発のエアカナダ・トロント行に振り替えられております」

私「トロ、え、トロントですか? あのANAのミュンヘン行の便に乗れたりはしないですか……?」

ス「大変申し訳ありませんが、既に振り替えられているのでこちらでは変更が出来なくなっております……。(旅程をポストイットに書いてくれる)こちらの時間に再度カウンターまでお越し下さい」

私「分かりました……(希望、潰える)」

隣のおば様がブチ切れてるのを傍目に見ながら、大人しく引き下がった。いや、分かってはいたんです。というのも、ルフトのアプリでなぜかカナダ経由の旅程が出たり消えたりしてて。「もしや……?」とは思っていた。が、現実となってしまった。

隣のブチ切れおば様への説明を盗み聞きした。欠航の理由は羽田サイドの問題ではなく、私たちが乗るはずだった予定の飛行機がまず到着していないのだという。前日ミュンヘンは大雪だったらしく、ミュンヘンto羽田便が欠航になってしまったのだそうだ。ここで私は気づいた。「ならもっと早く欠航の知らせ出せよルフトハンザ!」と。ドイツから羽田への所要時間はおよそ12時間。ということは絶対昨日の時点でその便が羽田に着かないこと分かってたじゃん……? もしもっと早く出してくれてたら私はのんびり空港に向かえたんだよ……? 気付いたところで全て後の祭りである。

ちなみにこの時点でまだ正午にもなっていない。当たり前だ、正午くらいに出る便に乗るつもりで家を出たのである。それなのに、+6時間空港で待機するハメになってしまった。マジで母に感謝した。着いてきてくれてありがとう。

振替の旅程は以下である。

18時50分に羽田発→(約11時間のフライト)→16時頃トロント着→(4時間ほどのトランジット)→20時頃トロント発→(約7時間のフライト)→翌日9時パリ着

何が楽しくて18時間も飛行機に乗らなければならない?と絶望した。

日中 - 空港での暇つぶし -

思わぬ空白時間をゲットした私と母はとりあえず腹ごしらえをすることにした。しかしこの先待ち構える長時間フライトで完全にストレスを感じていた私は食欲がなかった。食べる事が人生の生きがいみたいな女なのにもかかわらず。

ここで昼ご飯を食べた。本当は和食でも食べておこうかと思ったのだけど、全てがめんどくさくなったので店員さんがニコニコ立っていたここに決めた。セットで付いてくるオニオンスープがめちゃくちゃ美味しかったので、帰国したときに気力があればまた行こうと思っている。私は和風おろしハンバーグを頼んだ。大根おろしに飢えていたからだ。しかし運ばれてきたのはどうみてもデミグラスソースがかかったハンバーグだった。言ったらすぐに作り直してくれた。ありがとう。そのあとも「食事のタイミングが(母と)ズレてしまい申し訳ございませんでした」と丁寧な謝罪を頂いて、却って申し訳なくなってしまった。美味しかったです。

この時点で多分13時くらいだった。荷物を預けるのにもまだ3時間弱待たなければならない。ここで母のスマートフォンに連絡が入る。何故か父が来ることになった。いつかの休日出勤分の代休を充てたとかなんとか言っていたが、本当に何故来るのかわからなかった。(ならば一日休みを取って朝車で送ってほしかった(小声))母と「何しに来るんだろうね?」と言いながらベンチで休んだ。私はここ3日くらいかなりの寝不足だったので気づいたら寝ていた。

そこから1時間くらいして本当に父がやってきた。母に「何で来たのとか言っちゃだめだよ」と釘を刺されていたので堪えた。えらい。三人でタリーズコーヒーに行った。父がなぜか上機嫌で、飲み物もケーキも買ってくれた。多分、私に会えて嬉しかったんだと思う。そのあと本屋でナンプレも買ってくれた。これは私が羽田行きの便で全く眠れず、モニターのナンプレを暗闇の中ひたすらやっていたという話をしたからだと思う。

そして18時間のフライトを不憫に思った母がトラベルショップでクッションを買ってくれた。

ちょっと違うけどこういうやつ。腰を支えてくれるタイプのやつだ。もう私はあのクッションがないと長距離フライトに乗れないと思う。革命。

ようやく荷物が預けられる時間になり、再びカウンターへ行った。面倒くさいのでセルフチェックインにする。通路側は……空いてない。絶望。前日にきちんとオンラインチェックインができる時間にスマホいじって通路側の席を確保していたのに。追加料金を払って非常席口に座ることも考えたが、やめた。12時間のフライトを窓際の席で耐える覚悟を決めたのだった。ふう。

思ったより長くなってしまったのでいったんおわり。②に続く。


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