【覚えておきたいあの試合】 真夏に繰り広げられたシーソーゲーム 〜2018年J2リーグ第30節 大宮vs山口〜

自分の応援するチームが試合に勝てなかったとしても、その一戦を現地で体感した時に「来て良かった!」や「また次も来たい!」と心から思える試合に遭遇することはないでしょうか。

私にとって、今回取り上げるこの試合がまさにそうなのです。


試合情報

大宮が5位、山口が8位という順位で迎えた一戦はお互いに4点ずつを取り合う乱打戦となりました。

両チームのスタメンはこちら。

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ハイライトはこちら。

得点経過はこちら。

プレゼンテーション1 [自動保存済み]


試合の流れを簡単に振り返りますと、先制点は山口でした。高木のクロスを大宮のGK笠原がパンチングで弾いたのですが、その弾いたボールがオナイウの後頭部に当たりそのままゴールに転がっていきました。しかし、前半終了間際にセットプレーの流れで前線に残っていた河本のゴールで追いつくと、後半開始3分に茨田の右足から放たれたシュートがゴールネットに突き刺さり大宮が逆転しました。ただ山口も笠原のキャッチミスのこぼれをオナイウが押し込み同点、さらに高井のクロスをジュリーニョが膝で合わせ再逆転となりました。その後再び大宮が追いつき、山口が再度勝ち越し、最後は山口のミスのこぼれ球を拾ったシモビッチのゴールで大宮が追いつき4-4で試合終了となりました。

ざっと試合展開を列挙していきましたが、流れが行ったり来たりするシーソーゲームであったことが分かると思います。

ハイライトだけを見ると、得点自体はミスが絡んでいたりセットプレーからの流れだったりと注文をつけたくなる部分があるかもしれません。しかし、お互いに死力を尽くして最後までゴールを目指し合う、まさに死闘であり、試合内容はぎっちり詰まった濃密な90分間でした。


現地観戦だからこそ体感できる暑さ

ここからはこの試合に対する私の思いを書き連ねていきます。ぜひ最後までお付き合いください。

2018年の開幕戦でレノファ山口と出会った私が、山口の試合を現地観戦するのは、この大宮戦で3試合目でした。過去2試合は1分1敗という成績であり「今日こそ勝ってヤマグチ1番をやるぞ!」という意気込みで大宮へ向かいました。

NACK5スタジアム大宮に到着し、アウェイゴール裏席に入場して真っ先に感じたのは「真夏の暑さ」でした。もちろん8月の試合ですし、暑さは想定して会場に向かったわけですが、想像以上の暑さを感じました。ただ暑いわけではなく湿度の高さと風の無さによるモワッとした暑さだったと思います。J公式によれば気温33℃、湿度60%と夏であれば普通ぐらいのコンディションかもしれませんが、体感としては普通ではない暑さでした。

当時大宮を率いていた石井監督のコメントにもありますが、私は暑さという要因がこの乱打戦を演出したと思っています。なぜなら、暑さによって運動量が少なくなれば試合展開がオープンになりやすく、かつお互いにそんなの関係ないと言わんばかりに相手のゴールを目指し続けていたからです。

試合終了後の満足度の高さや今日までこの試合が強く印象に残っている要因の1つには、尋常ではない暑さをスタンドで自ら体感しつつ、ピッチ上で両チームの選手たちが90分間ゴールを目指す姿を目の当たりにしたことが大きく関係していると思います。


「応援するチームであろうとなかろうと」「勝とうが負けようが」魂を揺さぶられるサッカー

この試合を取り上げているキーワードの1つが暑さだとすれば、もう1つのキーワードにはプレーに表れていた両チームの選手たちの「戦う姿勢」が挙げられます。この試合の両チームのプレーはいつも以上に心に響くものがありました。それが一体なぜなのかは分かりません。

ただ、霜田監督の試合後のコメントを見ると、私が抱いた感覚はおそらく私の個人的なものではなくこの試合を観戦したサポーターの多くが感じたものではないかと思います。それがどれだけの数のサポーターに対してかは分かりませんが、少なくとも霜田監督は、心に響く試合ができたという自信を持っているはずです

いつもなら霜田監督のコメントを引用してここに載せるのですが、今回は必ず目を通していただきたいのであえてリンクを貼るのみに留めます。ぜひ下のリンクをクリックして霜田監督のコメントを読んでください。


そして、この試合を観戦し胸を打つ感覚を持った人々には、当該サポーターだけではなく第三者的に観戦したサッカーファンも含まれるのではないでしょうか。それが表れていると感じるのは、この試合の実況解説を務められた西達彦さんと佐藤悠介さんの反応です。

ハイライトの動画を見ていただくと、ラストプレーの西さんの実況の声のトーンや試合終了後の佐藤さんの「いやーすごいゲーム…」というコメントから私が言わんとすることが伝わるのではないかと思います。また西さん自身、試合終了後にこの試合についてのツイートをされているのですが、そのツイートにも、この試合の様々な要素が詰まっていると思います。

西さんのツイートによれば、山口サポーターで私のような感覚を持つというのは少数派なのかもしれません。ですが、私は西さんのツイートにあるようにこの試合からは色々な問題にフォーカスする気にはなれませんでした。後半アディショナルタイムでの失点で勝利を逃し、結果として6月から続いていた勝ち無し記録が10試合に伸びたとしてもです。

当たり前のことですが、感じ方は人それぞれですから、私の感覚を押し付けるつもりはありません。ただ一つこのnoteで強調したいことがあるとするのならば、それは「この試合を観戦できて良かった」「またレノファの試合を観戦しに行きたい」と心の底から思えたという感覚です。応援するチームが勝利できなくてもここまでの感覚になれる試合には、そう巡り合えるものではないと思っています。

その意味でこの試合は、私の中で伝説の試合として一生記憶され続けることでしょう。

そして、今後1試合でも多くそのような試合に巡り合えることを願って本記事の締めとさせていただきます。


*文中敬称略

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