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宮代大聖が山口で見せたポテンシャルの高さと残した飛躍へのカギ

この記事は川崎フロンターレアドベントカレンダーの第18日目に寄稿するものです。


フォアリュッケンと申します。フロンターレのアドベントカレンダーには2連続2回目の参加になります。このような機会をいただきありがとうございます。

早速ですが、今年のテーマは7月の時点で決定していました。

「宮代大聖のレノファ山口への期限付き移籍」

このリリースを見た瞬間に宮代の山口での半年間を書こうと思いました。というのも、私はずっとフロンターレが好きだったのですが、ひょんなきっかけで昨シーズンからレノファ山口も応援するようになっていたからです。たまたま自分がフロンターレ好きでレノファ好きだったこともあり、こんな巡り合わせもなかなかないだろうということでこのテーマに決めました。

そんな訳で宮代大聖の山口でのプレーを振り返っていきたいと思います。


出場記録

宮代は山口で19試合に出場(うち先発出場17試合)2ゴール2アシストという結果でした。欠場した試合は1試合しかなく山口でのほとんどの試合に絡みました。多くの試合経験を積めたことは非常にポジティブなことだと思います。一方でゴール数に関して言えば、彼の能力からすれば少し物足りないかもしれません。その点は後ほど書いていくつもりですが、1つ言えることは宮代でさえもゴールを奪うのにこんなにも苦労するということだと思います。

それでは宮代が得点に絡んだシーンをアシストから振り返っていきましょう。

アシスト

宮代の山口への期限付き移籍は7月16日に発表されました。この時点で山口は7勝5分10敗の15位となかなか厳しいチーム状況でした。そんな中での移籍となり、最初の試合は7月20日のホーム新潟戦でした。その試合に宮代はいきなり先発出場することになります。

これにはフロンターレサポーターの皆さんは「もうスタメンで出るの!?」と驚きを持ったかもしれませんが、山口サポからしてみれば「早速スタメンきたか!やっぱりな!」「スタメンだろうと思ってたけど、本当にきた!」という逆の意味での驚きがあっただろうと推測します笑。なぜなら、霜田監督は結構そういう起用をするからです。新潟戦の試合後の霜田監督のコメントを見ても、宮代に対する大きな期待を感じることができます。
以下宮代についてのコメントのみ抜粋します。

-宮代大聖選手の起用意図と90分での評価は?

 夏の移籍の場合、即戦力として考える選手ですので、その選手が何歳であってもチームにとって必要な選手というところで来てもらった。その選手を1週間掛けて、先発で使うのか、途中で使ったほうが良いのか、そういう準備をしてきたところ、十分に先発に値するプレーを練習でやってくれたので、それ通りのプレーをやってくれたと思います。もうちょっとのところで点は取れませんでしたが、彼のクオリティーやパワー、ゴールに向かう執念は本当にストライカーだと思いますし、将来が楽しみな選手だと思います。
-宮代選手はどういう選手だと捉えていて、チームの中ではどのような役割を期待しているか?

 今日のこういうピッチコンディションの中でもボールが収まる。相手のセンターバックを背中に置いてでもボールがしっかり止まる。自分でも運べるし、両脚でパワフルなシュートを打てる。ストライカーとして高いものがある。もちろん19歳なのでいろいろなところで足りないですが、十分にレギュラーとして、あるいは戦力として計算できるプレーを見せてくれたと思います。最前線で体を張ってボールを収める。今日はサイドからなかなか飛ばせずにクロスが少なかったですが、サイドアタックで点を取る、クロスで点を取るとう形がありますので、そういうところに飛び込んでいける。点を取る、味方に点を取らせる。数字を残せる選手だと思います。


そして、宮代はその試合でいきなりアシストという形で得点に絡みました。

このゴール動画と霜田監督のコメントを見ていただければ分かるかと思いますが、宮代のプロ初スタメンの試合は見事なまでの「田んぼサッカー」でした。ただ、この状況下で宮代はポテンシャルの高さを見せつけました。

アシストシーンでのロングパスは、フロンターレで出場機会がない中での初スタメン、そしてピッチの状況、後半アディショナルタイムという時間を考えると大きなインパクトを与えるものでした。


2つ目のアシストは、初出場から3試合目の7月31日に行われた横浜FC戦でした。このアシストシーンは山口というチームの中で宮代が見せていた強みが発揮されたシーンだと思います。

山口のサッカーの中で宮代が最も強みを発揮していたのが、このような自陣からの長いボールを宮代が収めて時間を作って相手を押し返すプレーだったと思います。このアシストシーンは、楠本からのクリアがそのまま裏に流れて宮代がドリブルで持ち運ぶという形でしたが、相手のCBを背負っても収めて味方にボールを落としたり、相手の力を利用して収めたところからそのままターンして運んだりといったプレーはJ2でも十分彼の強みとして通用していましたし、山口の貴重な前進手段でした

ここまで3試合で2アシスト、そして宮代自身の決定機もそれぞれの試合であり、チームは1分2敗と勝てませんでしたが、移籍後のスタートとしては悪くないように思われました。この時には、初ゴールを挙げるのは時間の問題だと思っていましたが・・・。


ゴール

宮代のプロ初ゴールは横浜戦から2ヶ月後の9月28日のアビスパ福岡戦で生まれました。皆さんこのゴールはご覧になられたと思いますが、ここでもう1度振り返ってみましょう。

山口に来て11試合目、放ったシュートは20本、これだけ苦労してのプロ初ゴールでした。このゴールは本当に紙一重で生まれたものでした。というのも、このCKの前から工藤壮人が宮代との交代でピッチに入る準備をしており、本来なら宮代はこの時ピッチの外にいてもおかしくなかったのです。ただ、交代をベンチが待ってCKをやらせたところ交代するはずだった宮代がゴールを挙げたのです。

確かにこの試合で宮代はシュートを6本放っており、チャンスは作っていましたが、それでも交代を待つ判断をしたベンチは結果的にお見事でした。この辺りは霜田監督が試合後のコメントで胸の内を少し明かしています。

-宮代大聖選手のゴールは今後にどういう意味を持つか?

 本当に能力があって、可能性があって、いずれ日本を背負っていけるような素質を持ったストライカーだと思っていますが、そういう選手でも1点を取る重みのようなものは、彼が苦しんでいたのはずっと身近で見ていました。
 今日も何回もチャンスがあり、決定的なチャンスをものにできなくて、そういうところで最後の最後でメンタルの強さを見せてくれた。どこまで引っ張ろうかと我慢比べのところはありましたが、最後の最後に点を取ってくれて非常に嬉しいです。彼が1点を取って、感極まった表情を見たときには、彼の今までの苦労を見てきただけに、非常に彼のプロ初ゴールが思い出に残るゴールになるのではないかと思います。
 ただ、まだまだチャンスを決められないし、これからもたくさんゴールを取ってもらわないといけないです。彼がどれだけ伸びていくか、他の選手と競争しながら楽しみにしたいと思います。

結果的に我慢比べに勝ったということですね。このゴールは永久保存版です!


そして、2ゴール目はシーズン残り2試合のタイミングで生まれました。昇格争いの真っ只中にいた山形相手の先制ゴールでした。

相手のライン間で宮代がボールを受けて、そこから中を崩してという良いゴールでした。
また、この試合はホーム最終戦、そして坪井慶介の引退試合であり、その中での貴重な先制点となりました。このまま勝利できればよかったのですが2-0から悪夢のような逆転負けを喫してしまいました・・。

以上が宮代が絡んだ得点シーンの振り返りとなります。


まとめ

宮代は山口での半年間でどういったことを感じたのでしょうか。

ここからは応援する立場である私の想像になります。
まず、試合に出場する機会を多く得られたことは非常に良かったと思います。そして、彼のプレーがJ2という舞台で十分に通用することを示したことも良かったです。相手のディフェンダーを背負ってもボールを収めることができ、そこからターンしてボールを運ぶプレーは相手に十分な脅威を与えていたと思います。

ただ、これらと同時に求められたプレーでチームに貢献しつつFWとしてゴールを奪ってチームを勝たせることの難しさを感じたのではないかと思います。これが今後に向けて大きな経験だったのではないでしょうか。

フロンターレから違うチームに行けば、当然サッカーの中身が違いますし、求められるプレーも少しずつ変わります。山口はチームとして宮代のゴール前での持ち味を活かしてあげることがなかなかできませんでした。一方でその中でも自分の良さを出しつつ求められたプレーでチームに貢献しゴールも決めることを個人としては求められます。

この難しさと戦った半年間だったのではないでしょうか。この経験はフロンターレでも必ず活きてくるでしょう。フロンターレのサッカーも変わりつつある中で来年はさらなる変化があるかもしれません。必ずしも川崎のサッカーが宮代にとって活躍しやすいサッカーになるとは限らない中で、山口で感じたことを活かす日がやってくるだろうと感じています。

12月18日現在、来年宮代がどこでプレーするか確定はしていません。どこでプレーするとしても今年の川崎と山口での経験を糧に更なる結果を残してくれることを期待したいと思います。


以上が宮代の山口での半年間の振り返りとなります。最後までお読みいただきありがとうございました!

明日は@reona32さんの投稿です!


おまけ

・宮代の初先発のハイライトはこちらの動画をどうぞ!4分15秒あたりから宮代のプレー3連発となっています。


・フロンターレ関連で言うと田中パウロ淳一と吉濱遼平、高宇洋が今年の山口でプレーをしました。パウロはチームとして彼の活かし方を見つけることに苦労した印象でした。しかし、シーズン終盤はジョーカー的な役割で得点に絡んでくるようになりました。吉濱はスタメン定着とはなりませんでしたが、山口サポーターが選ぶ6月の月間MVPに選ばれるなど活躍を見せました。高は8月に加入し山口の救世主になりました。特に宮代とのホットラインは正直来年も見たいです笑。山口の中で唯一と言って良いと思いますが、宮代が相手のディフェンダーを外した瞬間に彼の足元に速い縦パスをつけることができる選手でした。(山口の最終節の徳島戦は後1週間ぐらいは見れますので、よろしければぜひ。10分20秒あたりからのシーンだけで良いので・・・他は見なくて良いですよ笑!)


*文中敬称略
*霜田監督のコメントはレノファの公式サイトから(http://www.renofa.com)

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