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2020年6月の自粛解除から半年間、ライブハウスで見てきたこと

2020年を振り返ってみるとコロナウイルスによる影響は外せないと思います。緊急事態解除宣言から約半年。私も6月からライブ現場に足を運びはじめられるようになり、いくつか撮影させていただきました。今回、私の見てきたコロナ禍における都内ライブハウスの姿をお伝えしたいと思います。

ライブハウスでは配信ライブが広がっていく

解除宣言から日が浅い6〜7月は配信メインのライブハウスが多く、国や自治体から営業ガイドラインがなかなか示されなかったこともあり、観客を入れることにかなり慎重な対応を行っていました。そのおかげで他業種に比べてもライブハウスのウイルス対策はしっかりしている方ではないかと思っています。

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配信ライブについての考察は前記事「ライブ配信とライブハウスの行く先」で書かせてもらったので、そちらを読んでいただきたいのですが、配信ライブにしかできないメリットは多いと思います。しかし、そのメリットが伝わっていない、生かされていない、そんな気がします。いくつか配信ライブの現場で話を聞くと、思ったほどアーカイブの視聴が行われていないようです。私自身も7月16日に配信による企画ライブイベント「ヨルノヒズミ」を開催しましたが、たしかにアーカイブの試聴は少ないです。

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最初は物珍しさでライブ配信に注目が集まりましたが、やはり、慣れてきて視聴者離れも起こってきているのかもしれません。ただ、メジャーどころのバンドとなると、一定の数字が出ているようなので、単にファン数の違いなのでしょうか。配信ライブにどれだけ魅力を付加させていくかが、これからのライブハウス&インディーズバンドの課題といえそうです。

奮闘するライブハウスのスタッフたち

いくつか現場を回ってみて、ライブハウスごとに配信ライブのスタンスが違うのがおもしろいと思いました。例えば、カメラはすべて固定式にしてスイッチング技術で見せるハコ、固定とハンディカメラを混ぜてバリエーション豊かなハコ、すべてハンディで撮影する人のセンスに任せるハコなど撮影方法も違えば、照明も従来のステージシステムを流用したり、新たに蛍光灯を加えたり、こだわりを見せてくれます。配信方法一つとってもライブハウスの個性が現れていて興味深かったです。

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そして何より、いずれのライブハウスもスタッフの皆さんの熱量が高いのが印象的でした。本当はPAで入店したけど動画撮影しかしていない人、バーカウンター任務だけど動画のスイッチングをしている人など、本来の役割ではないのに、配信が終わった後にはスタッフが集まって、動画を検証して反省会を行い、次の撮影のクオリティを上げるために研鑽を重ねていました。

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閉店するライブハウスが増えてきた

8月ぐらいになると、少しずつ客入れに挑戦していくライブハウスが増えてきましたが、第2波が来るなど、なかなか順調にはいきません。それでも入場者への検温&消毒、バーカウンターや換気方法の改善といった努力が各所に見られ、意識の高さも飲食店以上のものを感じました。

一方、これぐらいの時期からライブハウス閉店の知らせが増えてきました。下北沢GARDEN、RUIDO K3、K4、六本木morph-tokyo、代々木Zher the ZOO、天窓など、名前の知られたハコまでもが閉店したのはショックでした。秋葉原CLUB GOODMANも8月半ばで閉店という予定でしたが、周囲の応援や自助努力によって継続することになったのは良かったと思います。

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ライブハウスを守る人たち

2020年は、バンドにとってもライブハウスにとっても大きな変化を求められる1年でした。従来のように活動できないなかで新たな方法を模索しながら継続する人、制約を受け入れながら自分のスタイルを押し通す人、それぞれが都度、状況に応じて決断しなければいけないのは精神的にもキツかったはずです。

年末には第3波による地域限定の緊急事態宣言が行われましたが、いまもライブハウスの現場では、いろいろな人たちが自分の居場所を守るために懸命に戦っています。いつか訪れる日常の復帰を願いながら、ライブハウスを守っているすべての人たちへエールを送りたいと思います。

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