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東京デッキ構築

さて、前回の日記にて無事東京生活をスタートさせた私であるが、実際に暮らし始めて見ると「あれが欲しいなあ」「なんかこのままでは不便だな」ということがいくつも見つかるものである。イラストをツイッターに上げると塗り残しが見つかるみたいな感じだ。
とはいえ、マンスリーには必要最低限のものは揃っている。
・ベッド&寝具  ・テレビ  ・冷蔵庫 
・電子レンジ ・洗濯機 ・掃除機 ・電気ケトル
というところであろうか。これに加え、管理会社のオプションで「構築済み一人暮らしスターターデッキ」みたいなのを頼んでおいたので結構そこそこの暮らしはできるものである。ただ、もっと満足に暮らしたいというだけだ。
私はこの東京で完璧に満足したいのだから…。

大体100均のやつだけど揃ってるのってめちゃくちゃありがたいよね

タオルや化粧品をしまうボックスみたいなのが欲しいなあ、ゴミ袋をかけるS字フックみたいなのも欲しい、スポンジの水切りも欲しいなあ〜と品川駅前のセリアや近隣のキャンドゥーに通いつめてあれこれ適当なものを見繕ってみる。
S字フックを買うことすら、なんだか新鮮な気持ちだった。
私の実家は異常に物に溢れているので…S字フックなんかだったらおそらく、洗面所の隙間なんかを漁れば何個でも見つかるだろう。
物がありすぎて「仕入れ」が自宅内で済むのだ。
そんな…キノコなら腐った木を探すといいよみたいなハント感覚で家に暮らすなよ!!!

私の家だから、私が欲しいものは私が決めて買って私が置きたい場所に置けるのが嬉しい。この先東京を去るまで。よかったなあ。

夜に、オプションで頼んでおいた物干し台を組み立てた。
私は手先が不器用で…例えば家庭科の時間にミシンにボビンをセットするのが何回やっても何回やっても何回やっても何回やっても(エアーマン)できなくて友達になって貰ってたとか…鶴が折れないとか…まあそんな感じなのだが、家庭内でもそういった「何かを組み立てる人員」としては見なされてこなかったように思う。
肘ちゃんはできないでしょ、ということだ。
それは家族の年月が生み出す思いやりであるが、役割という筋肉をもがれているようでもあった。きっとこの物干し台だってこの場に母が居れば兄か父に組み立ててもらいなよ、と言うはずだ。
でも今は私が組み立てるしかない。

夜だっちゅーのに恐ろしいほどパイプを取り落としまくり、最終的には謎のパーツが何点か余ったが(余ることあるかよ、こんなの)無事完成した。嬉しかった。

後から気付いたが、どう考えてもヨガマットの上でやるべきであった。
東京を去るときにはこれに収めて捨てよう、と思って、箱は冷蔵庫の横に忍ばせておいた。終わりをいつも予期しながら組み立てる暮らしってなんか変な感じだ。


それからは怒涛の遊び倒し期間であった。漫画家の笑顔が一番憂いなく光り輝くのは脱稿直後の期間のみであるから、まあここに予定を詰め込むのは正しいはずである。それにしてもアホみたいなスケジュールだが、仕方ない。
夏休みはやっぱり短い やりたいことが目の前にありすぎて(大江千里)状態だ。

・ファンミ

神クズのファンミーティングに行った。時間があったので開場前に沖縄料理店で担当さんとソーキそばを食べ、駅前のヨドバシで電源タップを買った。ファンミーティングは端的に言って素晴らしかったが、堀江さんの絵は怖かった。


・一迅社で作業

一迅社に行き仕事をした。私は会議室、担当さんはご自身のデスクで離れて作業をしていたので、互いに社内にいるのにチャットでやりとりをするという……社内恋愛カップルみたいな状態に陥っていた。コンビニに一緒に弁当を買いに行けてHAPPYだった。(やっぱ社内恋愛じゃねーか)

しかし、台無し。

・五反田進出

sideMの舞台・アイマスのライブに行く予定があるのに愛媛から持ってきたペンライトが乾電池キンブレのみ(アイマスイベントは規制があり、ボタン電池式のものしか使えない)であることに気づいたため、五反田のドンキに買いに行く。
ついでに新しいシャンプーも買った。めちゃめちゃいい匂い。シャンプー一つとっても、私が管理権を握っていると思うと気分がいい。
ていうかドンキって全てがあるなあ。ドンキと100均とまいばすけっとを合わせればこの世で手に入らないものってないかもしれない……。

五反田周辺をウロウロし、夜は地方民憧れの鳥貴族で一人で飲んだ。
一人でお酒を飲んで、自分の力で家に帰るっていいなあ。
私の家は最寄りの駅からも遥か遠いので、お酒を飲んで電車で帰ったら(終電10時半)家族に迎えにきてもらうしかないのだが、「頼らなくてはいけない」ということがただただ肩身が狭かったのだ。頼っていいよ、頼って欲しいと言われたとしても…。

自由のハイボール、自由の鳥貴族。私だけの鳥雑炊。

若者の喧騒すら美味しい

・サイステ鑑賞

午前中は神クズの仕事があり、(4日連続で担当さんに会っている、すごいね)午後は夕方からアイドルマスターsideMの舞台を観に銀河劇場に向かった。
信じられない、自分の家から歩いて劇場に向かえるなんて……。
舞台は素晴らしく、そして8月にはテニミュで再びここを訪れることになると思うとマンスリーの立地のすばらしさにますます感動するばかりであった。夜は天王洲の飲み屋で一人で飲んで帰った。
「飲んで・帰れる」ということがあまりにも嬉しすぎて、愛媛で1年かけて積み上げてきたダイエット貯金を高速で叩き崩している。もう知らん。後は野となれ肉となれだ。


・自炊の進化

しばらく食パンを魚焼きグリルで焼いて食べる暮らしをしていたが、いい加減米を炊いて食べる暮らしをしたいよ!と思って頼んでいた耐熱ボウルが届いた。
どうでもいいが、「置き配」という経験が今までになかったので、オートロックを解除してずっと待っていたのに永遠に配達員がピンポンを鳴らさないので(エレベーターからここに来るまでの間に…失踪した…!?!)とガチで心配になってしまった。ドアを開けるとアマゾンの箱が寂しげに佇んでいた。

18cm、意外とちょうどいいサイズ

スターターデッキにフライパンは含まれていたが、それだとおかずを複数作りづらいということでもう一つ買っておいた。マンスリーに、フライパン2個ォ!?という感じだが、結果的に深めのフライパンが2個あるとフタ代わりにもなるので結構便利である。

研いだ米を1時間水にかして、ラップしてレンジで500w、3分ずつ様子を見ながら再度加熱。加熱。終わったらしばらく蒸す。レンジ内のターン皿にビタビタに吹きこぼれた米汁を拭き上げる。完成っ!はあ~~~~~~~~?ダリィ〜!!!
こんなことよっぽど家にずっと家にいてかつ時間に余裕があるヒマ人しかできんわ!!!!という感じだが、私にはそれができる。
マンスリー暮らしだから、流石に炊飯器は買えない。しかし、私には時間があるのだ。
自分が炊いたお米って、いとおしい。

米って美味しいや


・先輩の演劇に行く

午前中にずっと楽しみにしていた銀座松屋のOSAMU GOODSポップアップショップに行ったのち、高校の演劇部の先輩が出演している舞台を見に行った。

まさか人生初の推しジャンルコラボカフェがオサムだとはね…

こんなことでもないと降りないであろうなあ、という駅で、本当に盛大に迷って迷って迷って住宅地を彷徨ってしまい、永遠に辿り着けないんじゃないかと思った。
途中見覚えがある建物があって、しばらくなんだろう?と考え込んでいたが、ドラマ版の孤独のグルメに出てた店だ!!と気づいた。たまたま最近原稿中に流していたのである。
ロケ地って、現実に存在してるんだ!!!!すっげーー!!
田舎者あるあるだと思うが、テレビの向こうは自分の世界と断絶している場所だと思っているので、いざ自分の目の前に広がっていると尋常じゃない高揚感に包まれてしまうものだなあ。

今日は別の演劇部の先輩(Mちゃん)も観に来ると聞いていたので、先に入って今か今かと客席の出入り口を見つめていたが、Mちゃんは私がコンタクトになっていたばかりに私だと認識できなかったらしく普通にガン無視されてしまった。俺だよ!!オレオレ!!!!
舞台はとても意欲的で、こういう閉鎖的な空間で感性をびしびしに引き延ばしながら鑑賞する体験って久し振りだなあと思った。非常に面白かった。

Mちゃんと感想を語りながら駅に向かったが、帰る方向が真逆だからこのホームでお別れだね…ということになった。
Mちゃんの帰る電車が先に来たが、「肘樹が帰るのを見届けてから帰るよ」と一本見送って、しばらくお喋りをしてくれた。

雨が降った日の帰りに「肘樹、絶対傘持ってないだろうから……」(英国紳士)と部室まで迎えに来てくれていたようなMちゃんの優しさというものは、高校の頃から一点の曇りもなく、そして変質していないのだなあと思った。そしてそれを遠慮しないで受け取る私の図々しさも…。

ずっと先輩の舞台を見たいと思っていたのにいつも口だけで行けずじまいだったので、東京に来ているうちに舞台期間が被って本当によかった。

帰りに渋谷で明日への神話(昔愛媛で修復作業をしていたので馴染みがある)を見かけ、一晩で三人の知り合いに遭ったような気持ちになった。

愛媛で会ったよね〜!前!


・ピザ焼く女

お友達のやきもちさんのご自宅に伺って、小学1年生の娘さんとピザ作りをした。
以前の記事で「夏には肘樹先生とパンを焼きたい」と言ってくれていた娘さんであるが、協議の結果「ピザの方が簡単かもしれない…」ということになった。

娘さんから「肘樹先生とリンクコーデしたい☺️」という連絡が来ていたので黒Tとジーンズで赴く。うわあああああああーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!俺の人生初(そして最後になるであろう)のリンクコーデ……捧げます!!!!!!!! 嬉しいなーーーーーっ!!!!!!!!!!!!!!!!

やきもちさんは「ピザ作ったことないので、後は先生…任せました!!」と力強くバトンパスしてくれた。強力粉と娘さんの笑顔の行方が私の肩にかかっていると思うと責任重大であった。

娘さんと楽しく分量を量り、楽しく生地をこね回していたが、(まずいな…なんかぁ……どう考えてもこの緩さではしくじるな……)という直感が働いた。
しかしここで「悪ィ、こいつ…ダメかも……」とか言い出すのもピザ管理長としての名折れである。何でもない様子を装って「ちょっと…強力粉足そっかァ!😁✌️」と軌道修正した。
リカバリーはうまくいき(後から確認したが途中旗色が怪しかったのはバレてなかった)、生地の発酵時間で娘さんとスーファミぶりのマリカーをして遊んだ。

私が内心焦っている状態のやわらかピザ生地。

旦那さんも加わり、4人で食べた手作りピザはとっても美味しかった。
ていうかなんか、私って………家族団らんの休日に突然ポップした謎の女すぎる。
かなり理想的な謎さだ。いつか後から思い出しても幻になりそうな感じの。

その後は開催間近のテニソニに持っていくためのうちわを作ろう!ということになり、アラサーつくってあそぼでチョキチョキペタン!!を大展開した。
先に申し上げたように私は死ぬほど不器用なのだが、ギャーギャー言いながら作ると案外楽しいものである。
あんなに神クズ作中に描いておいてなんなのだが、私は応援うちわを作るのが生まれて初めてだったので「そもそもあのでっかい文字って、みんなどうやって作ってるんだろう……?レタリング…???」というレベルだったが、旦那さんがトレス用に文字を大きくプリントアウトしてくれた。
や、優しすぎるぞーーーーーっ!!!(デュークバント)

すーごくいい一日だった。


怒涛の日々を送る中で、私の頭にいつも浮かんでいたことは「選択の自由、選択の責任」ということであった。

田舎で暮らしている身であれば、「遠いから」「休みが取れないから」「店が無いから」「もう辺りが真っ暗だから」「もう電車もバスもないから」と行動を取れない・取らない理由がいくらでも見つかるのだが、東京というのは全てがあり、道が明るく、どこまでも繋がっている電車が遅くまで走っている街なのだ。

つまり、やる気と元気(井脇)があればたくさんのことができるし、なんにもないのは自分の選択の結果だ、ということが田舎よりも身に迫って感じられるのである。
重苦しくて押しつぶされそうな気もしたが、とてつもなく素晴らしいような気もした。どっちもあるんだと思う。
その両方を手にできる今年の夏があって幸せだな、と何度も感じながら過ぎて行った日々であった。

かわいいの全てがある壁

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