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健診とスカウト 男性育休記52/68

育休を取る前から、この日指定で自分の健診が入っていた。法的には健診は就業時間内に行くものなので、育休中から日程変更すればいいのだが、せっかくろくに酒も飲まず、リングフィットもしているこのタイミングがいいだろう思ってそのまま受けることにした。

いくらでも変更できる、という事実を妻が認識しているかわからないが、「健診で出かける」の申し出は割とすんなり受け入れられた。育児の手が欲しいのと、コロナとで私の外出制限は非常に厳しい。妊娠中のひどいつわりから、食欲不振、切迫早産での入院、0歳児が生まれてからも小刻みに起きて授乳をしていて寝不足の妻のご機嫌は、長らく安定して悪い。だから2021年は外で飲みに行った記憶が無い。いや、ご時世的にも家庭状況的にも「そらそうよ」という感じ、そらそうよ、そらそうなんだけども、でも、酒飲み人生でこんな1年は初めてである。お酒、家ではほとんど飲まないので、2021年はコロナ前に比べて95%くらいダウンしていると思う。一方で、なきゃないで、意外と別に大丈夫なもんだなぁとは思う。いや、行きたくはあるのだが。おかげで小金が余っている。


健診は例年通りバリウムが辛いこと以外は問題ない。書いている現在はとっくに結果が出ているが、極めて健康、肝臓関係は特に健康。そらそうだ。そらそうでないと、さすがに困る。

さて、健診後にもう一つ訪問先がある。

秋に転職した先輩から、「芳川さんと会って話がしたい」と呼ばれているのだ。人心掌握に長けたこの先輩は転職した時点で「早いけど」と出生前に出産祝いをいただいていることもあり、私から妻へも「内祝いにお菓子を買って渡したい」と言えば、なんの苦もなくこの外出も連ねることができた。
ここまで、おそらく先輩は読んでいた。人身掌握に長けるとはつまりこういうことだ。恐ろしい人である。

で、話がしたいって何なのかなというと、まあ多分そうだろうなと思ったが、いわゆる引き抜き、スカウトであった。目下育休の私の、復職後のニーズを正確に把握しており、「基本リモートでいい」「実態としては週2くらい出勤している人が多い」ので、バランスが良い。私はたぶん、フルリモートは向いてないのだ。飽きてしまう。仕事内容は、前職でやっていた業務の中でも特に得意な分野だ。知識で言えばこの先輩より私の方がある。そこをこの人もわかっている。面接も、この先輩がするそうなので、不採用になることはないだろう。東証一部上場企業のようなので、まあ多分、労働時間等についてに関する目に余るほどのブラックな環境では無いだろうと思う。

今の仕事が別に嫌なわけでも無い。通常業務と別に、めちゃくちゃ真面目なコラムを書かされていて、それの反応と評判も良い。割と能力を活かしながら、やりたいこと(文章を書くこと)もできている。

でもなあ。

でも。

感じ悪いことを承知で、書く。

今の仕事ははっきり言って私にとってはめちゃくちゃ楽勝なのである。

年度初めに立てられた2021年度の目標を、4ー9月の半年で200パーセント達成をしている。だから10月から遠慮なくこうして育休を取った。ちなみに同じ業務を10人でやっているが、達成しているのは私だけである。周りのおじさんから「コツを教えてほしい」とか聞かれるが、私はこの日記同様、仕事においても全ての行動記録を尋常じゃない文章量で残しているので、全部読めばわかると思うし、好きに真似すればいいのにと思うのだが、意外と真似してくれる人がいない。「そういうんじゃなくてコツを教えてほしい」と言うおじさんたちは一体なんなのだろうか。もっと楽ができると思っているのだろうか。おかげでコツという言葉が嫌いになった。

で、まあ、私の仕事は、楽勝ではあるのだが、一方で土日や夜の仕事、あるいは出張が入ってくることが多い。それに対しての代休は取れるのだが、とはいえ子どもとの時間が削られるのは間違いなく、そこが不満なのだ。でも、夜間や土日の仕事ができないなら、成果を上げるのはおそらく不可能な業態でもある。

生活環境が変わったのも大きい。

夏から、2人目の出産に合わせて妻の実家隣に越してきて、勤務地からは極めて遠くなった。1時間も残業するともう2歳児が寝ている時間の帰宅になってしまう。いや、父親なんだから猛烈に働いて稼いで子どもに楽させろという御仁もまだまだまだまだたくさんいると思うが、なにせ妻実家の隣に進出しており、たぶん今すぐ私が死んでも、保険金やら妻の実家の遺産やらで子たちはどうにでもなるだろう。相続の話ももうあらかたしてある。妻実家のおかげで「食いっぱぐれそうな心配が全然無い」のだ。

だからやりたいことをやって生きていけばいい。やりたいことはまず、子どもとたくさん話すことである。あとは、文章を書くこと。これは今もやっているがメインでは無いし、かといってそれをメインにして食べていけるともまったく思ってない。でも今現在、仕事のコラムを校閲されながら続けるよりは、趣味でも好き勝手書いている方が気楽だとやっと気づいた。1人でも読んでいてくれれば、極論を言えば相方のひよこさんが読んでくれているならそれでいい。あとは、たまにサウナは行きたい。収入は無いよりはあった方が良いが、なにせ食いっぱぐれないのでこだわりも無い。できるだけ拘束時間を短く仕事をしたい。だから先輩の提案は渡りに船ではある。業態から考えて、平日日中をはみ出す可能性は無いし。

軽い気持ちで来たが、断れるロジックがない。どうしたものか。

悩みつつ、内祝いとしてお菓子を先輩に渡して別れる。私を新プロジェクトの責任者に据えようと考えてるようで、年明けに役員決裁後、採用面接ができるらしい。まあ、内定をもらってからまた悩もう。給料提示とかも見て。

戻って妻子と合流して、家電量販店に行く。家事の負担を減らすために、最新のドラム式洗濯乾燥機を買うのだ。なんか、子がいるともらえるコロナの給付金もらあるらしいし、正しく消費して経済を回したい。パナソニックの一番良いやつに目星をつける。

30万くらいするのだが、「この先食いっぱぐれない」という安心と、飲みにいけないことによって貯まり続ける個人の口座残高を考えると全然気にならない。時間は有限なのだ。こんなことで悩んでいる暇はない。さっさと決めよう。人生は洗濯の連続なのだから。

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