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お宮参り 男性育休記40/68

週末に合わせて、乳児のお宮参りの予定を組んだ。私、妻、2歳児、義父母、私の母、そして主役の乳児という大所帯で行く予定だったが、早速朝イチで私の母から「腰が痛いからやっぱやめとくわ」と連絡が入った。芳川一族のスタンスではこういうドタキャンは全然あることなのだが、義母が私の母のために手土産を用意していたのを知っていたのでただただ申し訳ない。マイナスからのスタートである。
ところで、この「お宮参り」もそうであるが、私はこういう日本古来の風習というか、宗教的儀式の類について、まったく必要性を感じない。生まれる前の「腹帯」の儀式、これから「お食い初め」などが控えているのも知っているし、2歳児のときも一応やったはやったが、本心では「マジでなに?」と思っている。犬にならないように腹に帯を巻く?マジで言ってる?と思っている。

ただ、別に私の納得のために全てがあるのでは無いことも分かっている。関係者で言えば、義父母がこういうことをきちんとやりたいというお考えなのが大きい。私は必要性も感じないが抵抗があるわけでもない。「珍しいコースの散歩」をしているくらいの気持ちで全然いける。
こういう、神仏に対してナメた態度でいるから、人生で何度も車に轢かれるのかもしれない。そんなことを考えながら、義両親が選んだ神社に移動する。義父母が選んだ、義父母にとっては昔から由緒正しいと思っている近隣で最大の神社である。

だがここは、私にとって「友達んち」である。同級生の実家だ。

中学校からは向こうが私立進学校に行ってしまったが、小学校のころはけっこう仲良くしていて、一時期毎日この神社に入り浸っていた。社務所というかご自宅にも何度か入り、スーパーファミコンでガンダムのゲームをやっていた。いま、神社は同級生とその母で運営されているのを見るに「バンダイの社長になっておれのガンダムを作る」と言っていた彼の当時の夢は叶わなかったようであるが、それでも神主とは夢がある仕事であると、大人になって分かることもある。これ以上バチが当たると次こそロードローラーとかに轢かれて即死するかもしれないので、一言だけにしておく。「この神社はめちゃくちゃ儲かっている」

まあそういうわけで、第一子のお宮参りも同級生にやってもらったのだが、今日は彼が地鎮祭で不在のためお母さんがご祈祷をやってくれた。そのあと一通り昔話をしてから「うちの息子はなかなか結婚できない、誰かいないか」ということだったので、いたら紹介することを了承した。といっても神社に嫁いでくれそうな未婚女性の当てはないが、もし紹介が成立したら神をも畏れぬ額で手数料を請求しようと思う。そのくらいいいだろう。

ケーキを買って帰る。午後は私の妹が家に来るのだ。忙しい一日である。

妹は、5月くらいに第一子が生まれるそうだ。今のところつわりもなく軽快なフットワークである。これから「寝かしつけ」という拷問が控えている同志を可哀想に思ったが、まあ、めでたい話だし、今から脅かす必要はない。妹はたくさん写真を撮って、2歳児と遊んで帰っていった。
2歳児といえば最近、義父母の家に無言で入り込んでは、無言で菓子、アイスクリーム等を簒奪して帰ってきて食べていることがある。今日もそれをやったので、「泥棒」と呼んであげたら、よその人である妹の前で泥棒呼ばわりされたのがショックだったようで偉く狼狽して泣いてしまった。
でも、それは泥棒だ。くださいと言って、もらえたら、ありがとうを言うんだよ。という私の言葉は泣き声で届かなかった。
夕食は義父母が用意してくれた寿司を食べた。寿司は美味い。寿司は正義である。その頃には2歳児は泣き止み、小さく作った納豆巻きをモリモリ食べていた。
乳児もぶくぶくと太ってきていて良いことだ。さすがに意味が分からなすぎるから、2歳児の時はやらなかった「初めての髪の毛で筆を作る」の儀式を、この乳児にはやってみようかななんて思う。そして成人したくらいのタイミングで渡すのだ。「お前の髪の毛で作った筆だよ」と。「えっ、気持ち悪」「使わねえ」「要らねえ」となり、「いくらしたの?」「1万くらい」「ざけんなよ、その金をくれよ」となると思うが、そこまで読んだ上でやってみたい狂気を感じる。

赤子の髪の毛で筆を作るって、呪物?呪術?いま流行りの?

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