絵本で子育て〜あたりまえを表現する難しさを知る『あたまをなくしたおとこ』
見えないものを言葉で説明する難しさと楽しさが存分に描かれています。あらためて自分や子どもの顔を言葉であらわしてみましょう。同じ説明を聞いても人が別々のことを想像していることがわかります。
タイトルから、あたまのない男のお話であることはわかります。読み進むうちにその奇想天外さが当たり前になっていきます。
息子は小学4年生の時に落語にはまって食事中も寝る時も聞いていました。〜ちなみに桂枝雀さんにどハマり〜
このおはなしは落語のようです。
あらすじ
ある朝、目覚めると頭がない!
家じゅうを自分の頭を探し回る男。
たんすの引出やクローゼットは散らかり放題。
なぜ頭がないのか思い出そうとする男。
「あたまが ないのに おもいだすのは むずかしい。」
なかなか見つけられずにベンチに腰かけていると、
ひとりの男の子がやってきます。
男は、男の子と語り合ううちようやく、
なくした頭がどんな頭だったのか、わかりました。
さてこの特徴を読んでどんな頭だと想像しますか?
結果は絵本をご覧ください。
夢落ちと奇想天外
物語の結末を「夢でした」で終わらせる手法です。
落語でも夢落ちの噺はありますが、
落語は結末がわかっていても演者や演出次第で楽しめます。
このおはなしも同様に楽しめる作品になっています。
あたまがない。
奇想天外なはじまりの絵本ですが、それが絵本の世界です。その世界を存分に楽しみましょう。
絵本の細部を観察してみると、
毎回いろんなことが目に飛び込んできます。
読むたびに楽しみを見つけることができる絵本です。
男のあたま(顔)がとても意外だった記憶が残っています。読む人見る人によって同じ説明を聞いても想像していることが違うということでしょう。
人と自分は違って当たり前、ということがわかります。
小学校でよく読みましたが、クラスにいる20人の子どもたちはそれぞれに思いも思いのあたまを思い浮かべていたことでしょう。
考えていることは人それぞれ違う、同じであることが珍しい、
と認識するところから互いの理解がはじまります。そんなことを愉快に伝えてくれる絵本です。
認めることから
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あたまをなくしたおとこ
クールHビショップ文 ロバートマックロスキー絵 もりうちすみこ訳
瑞雲舎 2011/5発行
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