看護師のモラハラの体験:論文
今日は、看護師のモラハラ体験の論文紹介をします。
タイトルは
『職場における看護師のモラルハラスメントの体験~看護師へのインタビューを通して~』(松倉, 2007)
本論文では、モラルハラスメントの定義として、
「精神的嫌がらせ」で「精神的暴力」や「精神的虐待」とも呼べるひどい人権侵害。また陰湿ないじめや嫌がらせにより相手を辞職まで追い込んでいくものとしています(マリーフランス・イルゴイエンヌ, 1999)。
このフランス人のマリーフランス・イルゴイエンヌ医師の著書は両書なので、是非お読みください。私も何度も読み返しました。
この研究の目的は、
看護の現場において、看護師が受けたモラルハラスメントの体験を明らかにし、看護師教育への示唆を得ることです。
対象は20歳代2名、30歳代2名、40歳代3名、50歳代1名の8名であり、いずれも女性。
(8名集めるのは大変だったと思います!)
方法は半構造化面接を用いています
結果として、モラルハラスメントを受けた年数は、1年目、5年目以上、転職してからすぐ、など一定した結果はありませんでした
モラルハラスメントをした人は
主に上司と先輩・プリセプター。
(パワーハラスメントの様相も否定できません。)
モラルハラスメントの方法は
言葉や態度でした。
例えば上司からは
「あなたなんかいらない」などの言葉が見られています。
(こんなこという人いるんですね)
また無視なども態度としてあがっています
(無視をされると仕事にならないので、困りますね)
後輩からのモラルハラスメントも一部あり
集団対個人で行われていたとのこと。
同僚からあびせられた罵倒としては
「あんたはできない」「へたくそ」「あんな 奴に・・・」
があったとか
言葉遣いの問題もありあそうです。
また、これらを通して、
「このままでは看護師として向上できないという危機感を持った」
「モラルハラスメントにより抱いた退職願望」
ストレスにより
「発症した様々な身体的症状」
などが見られていました。
酷い場合は心的外傷に似た症状も見られています
考察では
「上司からのモラルハラスメントの場合、当事者である上司に相談はできず、また利害関係のある部門への相談も極めて難しいことから、退職という手段でしか自分を守る事ができないのが現状である。」
と述べられており、
やはり利害関係のないものが入って調整をする必要があると感じた
論文でした。
論文執筆まで大変だったと思いますが
貴重なデータをありがとうございます。
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