関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式の陰で起きている警察問題
関東大震災における朝鮮人犠牲者の追悼式が9月1日、午前11時から開催された。今年はコロナウイルス 感染症対策の観点から一般参加を中止し、インターネットでの中継を実施した。
開始時刻の11時前になると都立横網町公園の安田学園口側には、朝鮮人追悼式を妨害する目的で、ヘイトスピーチ団体「そよ風」が主催する「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」を挙行するため、墨田区の鈴木信行区議らが参集。
「そよ風」は今年8月にヘイトスピーチ認定された団体。2017年から毎年、「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」と同日同時刻に開催し続け、関東大震災で発生した朝鮮人虐殺の歴史をデマだと主張している。
この日は昨年よりも厳重に柵を設け、警察も増員。安田学園側以外にいた公園内の警察官を合わせると総勢100人近くが配置されていた。私服警官も多かったので、実際にはもっといたかもしれない。
粛々と朝鮮人追悼式が執り行われる中、ヘイトスピーチへ反対する市民たちの姿を「そよ風」の関係者らが無許可で撮影し始め、それに抗議する市民の声が聞こえた。警備しているはずの警察官たちは、撮影を止めないばかりか市民の声を聞き、駆けつけた報道陣を阻む行動に出た。挑発的な行動をとる「そよ風」のメンバーを守るかのような警察官たちは、何を警備するために配置されたのだろうか。
市民側からの抗議の声が高まり、報道陣が増えてきたところでようやく撮影を取り止めさせた。ただ、その後も警察と記者との間では、こんなやりとりがあった。
記者「なぜ取材を阻もうとするのか」 警官「危ないので」 記者「どんな危険があるのか」 警官「様々な可能性があるということです」 記者「様々な可能性とは?」 警官「議論はしません」 記者「議論はしてませんよ。質問しているんですよ。答えてください」 記者を無視して、市民側を向きながらおちゃらけた調子で「安全に式典を実施するためのご協力をお願いしてまーす」と言おうとしたが、その若い警官は噛んでしまい最後まで言えず「言えてないじゃないか」と突っ込むとヘラヘラとしていた。
こういった状況の中で、実際の警備行動にあたるのは若い警官が多い。指揮権や決裁権を持つ責任者たちは遠巻きに監視しているだけだ。若い警官たちはただ命令されているだけなので、自分たちでは何も判断できない。だから、場を乱し危険にさせているのが「そよ風」やそこに参加している者たちにも関わらず、彼らを守ろうとするかのような警備に疑問を持つことなく記者を排除しようとする。
今年も追悼文を送付しなかった小池百合子都知事の対応は、ヘイト団体を助長させる要因となっている。公安警察の暴走は首長たちのネトウヨ化にある。歴史的な事実を認め、ヘイトへの断固たる姿勢を見せなければ今後ますます差別者たちを増長させるだけだ。
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