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ばななさんデー

今日は、ばななさんに始まり、ばななさんに終わった。

お昼頃家を出て、本屋に寄り、「すぐそこのたからもの」の文庫を買って、電車で読みはじめた。ばななさんとご家族とのエピソードが綴られたエッセイ集には、きれいな空気がたっぷりつまっていた。曇りがちだった心を、優しく洗いながしてもらったような気持ちよさ。チビちゃんが口にするシンプルなひと言に、はっとさせられるばかり。涙目になって吊り革を見上げては本に目を落とす、そのくりかえし。移動の1時間はあっという間に過ぎた。

吉祥寺で人に会い、昼日中の居酒屋で焼き鳥をたらふく食べた後、また1人で電車に乗り、下北へ向かう。移転後はじめてのB&Bへ。入り口のばななさんコーナーを眺め、まだ持っていない書籍の購入を迷ったけれど、今日買った本をもうすこし大事に読み返したいと思い、見送る。
移転前のお店に「下北沢について」の1冊めを買いにいったことを思い出した。

ほぼ日の「生活のたのしみ展」で仲良くなった友達と2ヶ月ぶりに再会し、ティッチャイで夜ご飯。辛くて激ウマなタイ料理をいただきながら、近況報告。大学生の彼女は、春には就職で引っ越してしまう。

糸井さんに惹かれるようになったのも、ばななさんのエッセイがはじまりだった。そこから、糸井さんの既刊書籍を拝読し、ほぼ日のファンになり、「生活のたのしみ展」のアルバイトまでさせていただくことが出来た。
5日間同じブースでアルバイトした彼女も、ばななさんの大ファンで、好きな小説について盛り上がり意気投合した。

ティッチャイを出て、駅に向かいつつもなんとなく帰りがたく、路上で立ち話をしていたら、私たちの前を、ばななさんがすっと通っていかれた。ご家族と一緒に、にこにこと笑いながら。びっくりした。

「すぐそこのたからもの」、大切な家族の時間。
あの本で感じたきれいな空気が、そのままふわっと目の前を過ぎていった。声はかけられなかったし、かけなくてよかったなと思った。良い時間を過ごしてください、と思って背中を見送った。

私だけの「すぐそこのたからもの」を大切にしようと改めて思いつつ、下北の駅で、彼女と笑顔で別れた。


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