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悪意は人を酔わせ、そして滅ぼす

伊勢佐木町のカスタマカフェで勉強してから三軒茶屋に。お芝居のチケットを取っていました。

最高の劇場

世田谷パブリックシアターは、ホントに素晴らしい劇場です。芸術を観るための非日常空間。四角い舞台とは違う奥行き感というか、舞台中央が手前に迫り出してくるような遠近感があり、席数が少ないことも相俟って、どの席にいても没入感がある。劇場にいることを忘れる。

愛之助さんを観たかった

今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観ていて、宗時役の片岡愛之助さんを好きになっちゃったんですね。ちょうどお芝居がある、調べたらシゲちゃん(戸次重幸)も出る。大好きな世田谷パブリックシアターで喜劇の名作、観て損はなさそう→購入。

Mr.残念が大変残念(褒)

シゲちゃん演じるピエールが催す悪趣味な晩餐会に、愛之助さん演じるフランソワを招いたものの、当のピエールがギックリ腰に。ピエールの元を訪れる面々と、降りかかる不幸の数々…というドタバタコメディ。

意識高い系実業家のピエールと、空気の読めない実直なヲタク公務員フランソワは、利己と利他、悪意と善意の対比であり、利己的で悪趣味でギックリ腰のシゲちゃんは、最低で残念で大変良かった。細マッチョが無駄に脱ぐのも意識高そうで良かった。

奇人は誰か

おそらく富と名誉を得て悪意や欲に酔ったピエールは、自身の利己性で身を滅ぼす(寸前までいく)のだけど、ピエールとフランソワ、どちらの異常性もギリギリ共感できる範囲というか、強い嫌悪感を持たない程度、絶妙に「くせもの」レベルなのが秀逸だなと。

タイトルにいう「奇人」はフランソワなのだけど、最終的に一連の出来事は根本的にピエールの異常性によるもの。でも彼もギリギリ憎めない、というか、これくらいは健全な人間性の範囲だろうという気がする。

一連の人物で明らかに異常だったのは、声のみ出演のムノーくらい。それも性癖の範囲といえばそれまでだし、マルレーヌもしかり。あんな人は稀だけどいる。

愛之助さんの純真さは異常

誰もが少しずつ異常で、少しずつ奇怪、それを手を叩いて笑って観ている観客も含め、This is human societyだな〜。目当ての愛之助さんはというと、序盤の長台詞がまず圧巻で、小柄なのに太ーい存在感がさすがでした。

そして宗時同様ピュアが溢れるフランソワ。役柄とはいえ、純真さが滲み出ていると思う。校外学習以来まだ観に行ったことがないんですけど、愛之助さんきっかけで近々歌舞伎デビューしてしまう気がするー。

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