オタクが絶対にアンナチュラルを見たほうが良いたった1つの理由
1.主題歌が米津玄師の「Lemon」
以上!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
もうこれで終わりなんで……………………
アンナチュラルを見てない人とかこの世におらんやろくらいのスタンスで生きているので以下はどこが好きかという話をします。最終回までのネタバレもふつうにあります。
どこが一番好きか?と訊かれたらあの天下のLemonの擬人化とまで呼ばれた中堂系の過去を挙げる人は多いんじゃないだろうか。これに関してはもう良すぎて私に言えることな~~んもない。な~~~~~~~~~んもない。
私が好きなのはそう………………久部六郎(窪田正孝)。
民法のドラマで見れる質の男じゃないです 彼は
虚淵作品によく出てくる、「根はめちゃくちゃ善良なのに事態に押し流されて選択肢を間違え続け、とうとう取り返しのつかないところまで行ってしまう愚かな人間」が好きだ。彼らには間違ったことを行っている自覚がないか、もしくはその悪事がどんな結果をもたらすのかほんとうには理解できていない。フィクションに出てくる人間にしては愚かなので見ているこちらからすればもどかしいこともあるが、ああでも、現実にはこういうことってあるよな……と思わずにはいられないのだ。久部六郎はそれ。
彼は下世話なネタを扱う週刊誌の出版社でライターをしているが、そうしたネタを扱うことには根本的に嫌悪感がある。性根が善良なので。さらに、UDIの面々と仲良くなっていくにつれて記事のために潜入している………などという言葉では割り切れないほどその場所を大切に感じるようになってからも、六郎は自身の変化をきちんと把握できていない。「週刊誌側も話せばわかってくれるだろう」「みんなにバレたりはしないだろう」という危ういほどの希望的観測で動いていく。
選択を間違えている……………………!!!!!!!と見ながら何度も思った。UDIのみんなと本当に一緒に居たいなら週刊誌とは手を切るべきだった。ライターとしてやっていきたいのなら心を殺すべきだった。でもそのどちらもしないままで居る期間が長すぎた。だから週刊ジャーナルを辞めたときにはもう手遅れなのだ。
でもそれもあまり責められない。彼は8話に至るまで、自分の中でどれほどUDIでの生活が重要になっているか自覚していなかった。かわい~~……………………。自分の変化に自覚がない男ほどかわいいものないです……………………。
ミコトに対する恋心は、強い人に対する憧れでもあるのだろう。正しい人。絶望しない人。父親に抑圧されてくすぶっていることしかできなかった彼には、それがまぶしくて仕方ない。
久部家を覗いていると、家父長制のいいところ(悪いところ)全部出てる………と感慨深くなる。祖父、父親、二人の兄ともに優秀な医者。疑うことなく勉強に専念できたらいいのに、その環境に疑問を抱いてしまうところもいたって平凡だ。休学したところで新しくこれと言ってやりたいことを見つけられるわけでもない。彼は長い抑圧の年月の中で、アイデンティティを確立させることができていないのだ。
久部六郎の最高かわいいポイントは家父長制に反旗を翻すところだと思っています。父親に対して「あなたとは違う道を行く」と突きつける。以前ならやろうとも思わなかったことができてしまうのは、ひとえにミコトという光に憧れたからだ。ここにも彼の無邪気なまでの希望的観測が見える。「ちゃんと話せば父さんも分かってくれるかもしれない」。ずっと近くで支配されてきたのに、父親の価値観の強固さが見えていないのだ。
アンナチュラル、ひいては野木亜紀子脚本が信頼できるのはこうした親子関係を無理やりハッピーエンドに持って行かないところだ。どれだけ心を尽くして対話をしても分かり合えない人はいる。たとえそれが、血のつながった親子だとしても。だけれどそれは絶望でしかないわけではない。
六郎は色々と重なった思いが決壊して、父親から絶縁を告げられたのち、涙を流す。泣くんですよこの子……………………。彼は帰るべき家を失ってしまったのだ。けれども、それをUDIのメンバーはごく無邪気に、優しく迎え入れる。「おかえり」と声をかけて。
それはひとつの救いになっている。大きな喪失を抱えていても、もう取り戻せないものがあっても、もう一度笑うことはできる。アンナチュラルが全編通して語ろうとしている「絶望している暇なんかない」を象徴するように、六郎はふたたび立ち直れる。
なんか久部六郎はミコトのこと好きなのにぜ~~んぜん相手にしてもらえそうな気配ないし、父親には縁切られるし、週刊誌の人には怒鳴られるし、しかも記事書いたことUDIにバレるし、だいたい不憫なことしかなくてそういうところも虚淵の男っぽいなと思う。もちろん第一は「ああっ……いま選択を間違えている……………ああ~~~!!!!!ああ~~~~~~~!!!!!!」感がずっとあるところなんだけど。民法のドラマにこんなに見てて不安しかないキャラクター出てくることある? 本当にかわいそうなくらい根は善良なんですが………………。
世界観を同じくするMIU404の成川岳も”その枠”だっただろ、と個人的には思うので野木先生がこういう男を描くのが得意なのかもしれませんが。もっと見たいです! 根は善良なのに選択を間違え続けてしまう男!!
あと窪田正孝の「葛藤」の演技が上手すぎて、それあってこそ成立したキャラクターだったなとも思います。週刊誌とのこともあるけれど、中堂系とミコトの関係を疑ってふてくされているシーンが世界一カワイイです……拗ねてるとしかいいようのない表情が……。
アンナチュの感想がこれでいいのか? もっとまじめに話した方がいいんじゃ……と思いつつ今回はオタクの語りをしました。すみません。アンナチュって「法医学で事件を解決する話だよ~!」といっても伝わらない部分が99%なので勧め方が難しいなあと最近思います。一番オタクの引っ掛かりが良いのが「久部六郎、虚淵の男概念」なんじゃないか。事実だしな……。
アンナチュラルは全人類に響くし、アンナチュラルが好きな人には必ずMIU404を勧められるのでオトクだと思います(何が?)
そしてみんなで街中で流れているLemonで毎回中堂系を思い出して泣くオタクになろうな。
とても頑張って生きているので、誰か愛してくれませんか?