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Outer Wildsクリア後感想

先日Outer Wildsというゲームをクリアした。
配信でプレイしたのでその場で色々感想を話しはしたものの、後になって語りたいことが増えたので別途こちらで感想としてまとめておこうと思った。

①これからプレイする人へ(ネタバレなし)


Outer Wildsについて、これからプレイしよう(あるいはプレイし始め)という人は②以降は絶対に読まないでほしい。
おそらくどのレビュー記事でも書かれていると思うが、このゲームは初見プレイの価値が全てだ。
もし任意で自分の任意の記憶を消すことができる能力ないし装置を持っているなら別にいいが、そうじゃないならクリアしてからじゃないと凄く損をする。(仮に今プレイを積んでいる、諦めているとしても将来的にプレイを再開する可能性は0じゃない)

ただ、何も知らずにプレイする上でプレイ上のスキル(操作方法のコツ)は別に知っていてもいいと思うので
ちょっとだけここに書いておく。それすらも知りたくないぜと言う場合はここで引き返してプレイしましょう。ゲーム自体の紹介は他で散々されているので、もし気になるなら適当に検索して読んでほしい。


ここから少しゲームを進める上でのコツを書いておく。もし序盤で詰まったり、どうしようという人は少し気にかけるとゲームを進めやすくなると思う。(他のレビューや紹介で散々書かれている内容なので、別に真新しいものは期待しないでほしい)

・視点感度と飛行感度
このゲームはデフォルトの視点感度がマジで高い。一瞬で酔ってしまう。
一旦最低レベルか、それより一段階高いくらいにしておいて徐々に調整することをお勧めする。

・メッセージを読むときにゲーム内時間を停止するオプションをONにする
これは何故デフォルトでOFFになっているのか意味がわからない。これをONにするとゲーム内で文章を読んでいる時に時間を気にせず読み進められる。感度と合わせて最初に設定推奨。

・ロックオンと速度同調を使う
このゲームのハードルの一つである宇宙空間での独特な操作感。
慣れるのには時間がかかるが「どこか特定の場所に行きたい」時はロックオンと速度同調を使うことがとにかく大切だ。とりあえず速度同調してください。

・航行記録を読む
主人公が乗る探査艇には航行記録という便利な機能がある。基本的にはここの記録を増やしていくことを目的にやっていくといい。旅先で見つけた情報・手がかりをわかりやすくまとめてくれるので、その場で理解できなかったことを再度理解する手助けにもなるはずだ。

・シグナルスコープを使う
忘れがちな装備だ。思った以上に色んな手掛かりにつながる重要アイテムでもある。
音楽を楽しみながら、困ったらシグナルスコープを辿っていけ。

・本当にどうしようもないときはヒントサイトを見よう
答えへの導線がガバガバなところがある。いくつかある。考えてもマジでわからないときはヒントサイトを見てもいい、重要なネタバレをせずに説明してくれるサイトがあったりするので頼ってしまおう。

おおよそ以上だ。
このゲーム、評価は高いものの何割かのプレイヤーは序盤の操作感、「なにしたらいいのこれ」という途方もなさ、宇宙空間の何とも言えない恐怖等、様々な理由でゲームを投げていると思う(私もそうでした)。

評価が高いゲームではあるが、人を選ぶゲームだ。合わない人の方が本来多いと思う。
ただ、もしもこのゲームに合う人だった場合、クリアまで進めて本当に良かったと思えるはずだ。
それを確かめるという意味でも、とりあえずは買って進めてみるということをオススメする。
もしダメだったとしてもソシャゲで十連回すのと対して変わらない値段なので、もうほとんどタダみたいなものだ。

あとマシュマロは焼いたほうがいい。
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※以下Outer Wildsの本編に関わる重大なネタバレが含まれます。

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②プレイ中感じたこと(ネタバレあり)


以下Outer Wildsをプレイしている時に感じたことを箇条書き。

<序盤>
・出てくるNomaiのキャラクター名覚えられねえ
・多分これどの星にも行けるよね、ということは闇のイバラにも…行きたくねー
・シグナルスコープって使い方がよくわからないな
・燃料の管理がシビアじゃない?(探査艇で補充できるが途中まで気付かなかった)
・脆い空洞のワクワク感がすごい

<中盤>
・とにかく宇宙の眼と量子が重要なのはわかった
・次にどこに行こう、プレイが終わると寝ながらずっと考えてしまう
・行けなかったあの場所はどうすればいけるだろう、寝ながら考えてしまって寝不足になる
・闇のイバラ、行きたくねー
・宇宙の眼の祭壇、未知のものを偶像化して宗教的な扱いをするというのは嫌なリアリティがある
・22分のループをどうやったら止められる?想像ができない
・ブラックホールとホワイトホールの時間差、高エネルギー研究所、そういうことね!
・3つ目の仮面は何とつながっている?ハーシアンじゃないとするとNomai?
・アンコウ許せねえ
・謎のアクションスキルを要求しないでくれ、詰んじゃうけどいいのか?

<終盤>
・深海のコア、行き方がマジでわからん…(結局ヒントサイト見た)
・太陽ステーションの行き方、まさかそんなシビアなことをさせるつもりか?(させた)
・苦労して着いた太陽ステーション、特に意味のある情報無いじゃん!役立たずステーションがよ
・量子試練の塔、こういう法則性をこの段階で新しく知ることになるとは
・量子の月、もしかしてもう行けるのでは……行けるじゃん!すげえ!
・solanumは何で生きている? 時間の流れがおかしいのか?
・宇宙の眼に入ることが目的で、太陽は寿命を迎えている。この星系はどうしようもない? いや、何か方法が…
・灰の双子星内部にようやく侵入、答え合わせ助かる
・闇のイバラにあるNomaiの船、何をするべきかは完全に理解した
・宇宙の眼に入るとどうなる? 月のかけらに乗った状態で観察をしない場合、自分も量子化して移動する。
ということは宇宙の眼に入ると量子化する? その後再観察したらどういう状態になるんだ?

おおよそこんなことを考えていた。
ちなみにヒントを見たのは二か所で、一つは深海のコア、もう一つは太陽ステーションでした。
(feldsparのヒントがわかりにくすぎる。太陽ステーションは考えたらわかったかも)

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③プレイ後に感じたこと(ネタバレあり)

・ゲームとしての体験
これは色んなレビュー記事で書かれていることだけど、このゲームは進めるモチベーションが『好奇心』ただ一点という非常にストイックな作りになっている。
私はプレイ時に「これ一緒に旅する相棒キャラとかいたらもっとにぎやかになるんじゃないの」と思ったことがあるけど、多分これくらいのことは開発側は考えていて、意図的に排除していると思われる。
(Gabbroが少しこの側面のあるキャラかもしれないが、Gabbroは適当な奴なので一切動かない)

何故そうしているのか。キャラクターのやりとりという要素をゲーム内で適切なサイズに抑えることで、このゲームの本質的な楽しさの邪魔をしないようにしているのではないかと私は勝手に考えている。
ゲームの構造としても顕著で、思えば最初から最後までずっと同じようなことをしている。
「あれはどうなっているんだろう」「確認のため見に行ってみよう」
「あそこにいくにはどうすればいいんだろう」「気になるので情報をとにかく集めよう」
「宇宙の眼に行くとどうなるんだろう」「情報を集めて行ってみよう」

気になる未知への好奇心で動いて、新たな情報を得るという探索ゲーの原始的な楽しさがずっと続くというのがこのゲームの大きなポイントだと思う。ループを繰り返して持ち越せるものが情報しかないというのもいい。

ゲーム中度々「ここ行けるかわからないし怖いから正直行きたくないな」というところもあるが、それを乗り越えて情報を得られた時の嬉しさは中々のものだ。こういうタイプの喜びが得られるゲームは考えてみると意外と珍しいし、アンコウはマジで許せない。


・ゲームのレベル設計

ゲーム内の情報の隠し方もよく作られている。情報さえあれば最初からどこの場所にも行けるので、製作者としては序盤に来てほしくないところを如何に隠すかというところに頭を悩ませたはずだ。
量子の月、灰の双子星内部、巨人の大海のコア、闇のイバラ内部
これらの場所は核となる要素が多く含まれている分、たどり着くために必要な情報が上手く散らばっているし、偶然辿りつきにくいような工夫がなされている。

そういった工夫を織り交ぜつつ、最終的に22分で完結する動作によってクリアができるというところもゲームとしてかなり美しい作りだと思う。22分という時間設定も絶妙で、時間経過による変化を含めてプレイヤーが飽きにくいようになっている(私は最後まで気付かなかったが、瞑想と言うループスキップ手段もあるし)。

一点文句があるとすれば、太陽ステーションの存在くらいだ。ここは本当に行く意味がないし、その割に情報のある場所までたどり着くのが大変だ。こういう場所に必須の情報を置くと取れないプレイヤーが出るかもしれないし、それでクリアできないとなると困るので必須ではない情報を置くという意図は理解できるが、それならアクション要素を軽めにすれば良かっただけではないか?(ワープ後のステーション間の移動の部分)と思ってしまった。


もしかして、太陽ステーションを苦労して建設したものの完全に無駄になってしまったNomai達の徒労をプレイヤーに追体験させようということなんだろうか。これにはIDAEAとPYEもにっこり。


・エンディングに関して

プレイ中とにかくこのゲームがどう終わるのかを考えていた。

最初はこの星系を滅びから救うことでループから抜けるのではないかと思っていた(方法はわからないが)。
途中、太陽が何かを起爆剤として爆発しているわけではないことを知る。単に寿命で爆発するならそれを止める方法はない、わかっている。
それでも何かこの星系の住民が助かる方法はあるんじゃないかと考えていた、灰の双子星プロジェクトで過去に送信できるものは記憶に限らないことはわかっていたので、ハーシアンだけどうにか過去に送るとか。
22分の時間制限があるからこれは無理だし、送った過去からさらに過去に行くには結局人為的に超新星爆発を起こす方法が必要(これはNomaiが失敗している)なので無理だろうなとは思いつつ。
途中で量子の月で量子の月のかけらが持つ性質「周囲のものも量子化する」というものが出たので、これを使って太陽が爆発しない可能性の星系に星系全体で量子移動するという手段は無いだろうかと思った。

ただ、結局この星系のみでなく宇宙全体が寿命を迎えていることが途中でわかり、これも無理だと理解した。
それに今はどの星にも意識的観察者となるハーシアンがいるので、仮に量子化が上手くいっても観察をやめるという条件を満たせないだろう(少なくとも22分の枠では)

プレイ中は最後の最後(それこそビッグバンの直前、solanumと話すまで)まで、それでも何か手段があるのではないかと思っていた。
勘の悪い私でも、エンディングで焚火を囲む段階になれば流石に終わりに気付いた。
この宇宙は寿命を迎え、もうどうしようもない(可能性は無数にあっても、どれも終わりに繋がっている)状態だということ。
宇宙の眼に辿りついた一人のハーシアンの役割とは、今までの宇宙の無数の可能性を壊し、新しい宇宙の可能性を観察することで新しい宇宙を創るというものだということ(解釈が少し違ってるかもしれないけど大枠はあってると思う)。
予想は外れ、何なら見方によってはバッドエンドのような気もする結末。
しかし不思議とこの終わりには安心感があった。これでよかったと納得できる結末だった。
演出がいいのも当然あるが、どうしようもない終わりに対しての希望とは何かと考えた時に、終わりそのものの回避ではなく、終わりの先を描写してくれたというのがとても良かった。

私が元々予想していた方向のエンディング(何らかの手段でハーシアン全員が助かる)では、確かにハッピーエンドではあるけど大枠での問題は一切解決しない。超新星爆発はいずれ起きることだし、宇宙もきっとどこかで終わりが来る。そして運悪くその終わり際に生まれる生命体もいる。これは現実でも同じことだ。

終わりが来るのは怖い。死ぬのが怖いのは、その後のことがわからないからだ。
わからないのは怖い。終わりの先と言うのは当然見ることが出来ないので、本来誰にもわからない。
わからないので怖いし、救いもないと感じる。
そんな終わりの怖さに対しての解釈と回答を出してくれたのがこのゲームの偉いところだ。
宇宙には終わりがあり、そこからまた新しい宇宙が始まる。ビッグバンを起点にした宇宙の解釈を宇宙の眼というゲーム独自の要素でわかりやすく表現してくれている。
エンドロールの後には新しい宇宙がどういう成長を遂げたか、その一風景を見ることができる。
本来見ることのできない未知であるはずの景色を見て「これでよかった」と本当に思った。

つまり何が言いたいかというと、このエンディングを見ることができて良かったということです。

・プレイヤー世界とのリンク

エンディングを迎えて明かされる宇宙の構造はそのままリアルの、プレイヤーである我々の宇宙にももしかすると当てはまるのではないか?と妄想することができる。これは宇宙について研究している宇宙に詳しいマンからすると「いやそうではないが」となってしまうかもしれないけど、私は一般人なので幸せに妄想をさせてもらう。

Nomaiとハーシアンたちが居た宇宙は我々のいる宇宙と比較してとてもコンパクトだったり、樹木のタフさが半端なかったり、ブラックホールとホワイトホールのルールが異なる等(現実のブラックホールはワープ装置ではない)違うところが多々存在する。これをプレイヤーとしては「まあゲーム的に星と星が離れすぎていると不便だし、都合だよね」とフィクション的な肯定と納得をする(これも当然間違った理由ではないと思う)。

しかしエンディング後、明らかにまた別のルールで動いている宇宙の星々を見ることでどうやら宇宙は終わりと誕生を繰り返し、そのたびにルールを変えているのではないかということを理解する。
私たちの宇宙は彼らの宇宙の積み重ねの先にあるのかもしれないし、その逆かもしれない。
マシュマロがどちらの宇宙にもあるというのも何とも示唆的に感じる、宇宙の眼を通していくつかの要素が前の宇宙から引き継がれているということであるならば、今私たちが食べているマシュマロもどこかの宇宙からの引継ぎで存在しているかもしれないし、これからハーシアンたちに渡るものだったりするのかも。
そういう妄想はとても嬉しいし、そのまま現実の宇宙の終わりに対する希望的な見方にもつながってくる。
そもそも宇宙が終わる前に間違いなく私は寿命を迎えるけど、自分の死のはるか先に何があるかということを考えると楽しいものだ。

過去は過去

個人的に好きなシーン

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プレイ後の感想は以上、本当に私にとって良いゲームだったということが言いたかっただけだけど長々と書いてしまった。

まだDLCの方は未プレイなので、しばらくしてからプレイしようと思っている。
正直本編の内容が良かった分DLCがあまり良く無かったらどうしようとプレイを迷っていたが、やはり好奇心には逆らえない。DLCによるOuter Wildsの幕引きがどういったものなのか、楽しみにしている。


以下配信アーカイブへのリンクです(宣伝)。


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