自分の心地よいスピードで。

ふと、自分の就職活動のことを思い出したら、今のスピードとの差にかなり愕然とした話。

2003年。私の就職活動は、氷河期と呼ばれる世代だった。
今調べてみたら、私の世代の就職率は92.8%
氷河期とはいえ、復調の兆しがみえてきていた頃だった。

とはいえ今のシューカツから比べたら、私の就職活動なんて、楽勝だったなぁと今更ながら思う。

当時リクナビはあいうえお順だったし、
(新卒で入った会社は「あ」で始まる会社だったので、よくネタになった)
上の世代からは「俺のときは、はがきだったんだぞ」と言われたもんだ。
っていうか、就活の解禁日がいつだったかすら記憶にない。(10/1だったかなぁ)
当日、リクナビのオープンを待っていたことは覚えている。

マイナビと日経就職ナビはあったけど、登録しただけで、リクナビ一本でやるもんだった。あのころからみん就は口コミサイトとして活用していた。ブラック企業という名前はなかった。忙しいもんだと思っていた。

Googleはまだ、ただの検索エンジンだった。
でも当時から結果のトップに出てくるのが本当に的確で、yahooしかなかった当時はすごいと思ったものだ。
2chで業界・業種別に就職偏差値のスレがひたすら更新されていた。

よく考えてみたら、そのころは、中小起業と大企業というカテゴリしかなかった気がする。ベンチャーなんてカテゴリはなかったし、学生起業家なんかも聞いたことはなかった。
(当時からあったとは思うけど、片田舎の学生だった私にはその情報にたどり着く方法を、当時持ち合わせていなかったのだと思う。)

私の大学は、当時、日本で一番小さな国立大といわれていて(もう大学としてはなくなってしまった)進路は、公務員か就職か進学。
公務員試験は受ける気にならなかったし、早く自立したいの一心で必然的に就職を選んだ。就職するならITってことだけ決めていた。
決めていたというか、大学の専攻から消去法的に選んだ進路だった。

私には、大企業を望む選択肢はなかった。自分自身、やっていける自信がなかったからだ。中小の小さなSIerに入った。当時はIT業界ってだけで、結局なにも知らなかった。

iモードは大学2年のときだった。出たばかりの頃は、インターネットというのは基本オタクがやるもので、廃人の象徴のようなものだった。当時インターネットを満足にするには、22時以降のテレホタイムしかなかったしね。
携帯でまでインターネットやりたいとかどれだけ廃人なんだよ、と思っていた。

入社してすぐの頃、メールで会議の招集がかかっていたんだけど、当時メールは遊びの道具だという意識が強くて、会社で遊んじゃいけないとおもって、必要なときだけ見るようにしてたら招集に気が付かずに「なんでメールみないの?」って言われた。
私だけじゃなくて、数名同じことをして、仕事中ってメール見ていいんだと驚いていた(笑)

その会社には、15年かけて、ゆっくりゆっくり育ててもらった。
気がついたらベンチャーに転職していた。それも人事だ。

どのぐらいのスピードで成長してきたのだろうか?
ふと、周りを見回してみると、周りはベンチャーばかり。
日々これでもかと熱い発信がなされ、人は熱さを伴って、突っ走っていく。

2003年の私がみたら、絶対ついていけない、と言うだろう。
あの頃からみたら、本当に進むスピードがおかしな事になっている。
当時の私がいま就活しろと言われたら決まる自信がまったくない。

私たちの頃は、大企業に入る方が良いと言われていたけど、だからってそうじゃない選択を蔑むようなことはなかった気がする。
勝ち組・負け組という言葉がなかったから、その選択は今の自分ではベストであるし、仕方がない、と思えることができていたのかも知れない。

今は本当に大変だ。自分のペースを保つことにもひどくエネルギーがいる。あなたはあなたのスピードで成長すればよい、ではおいていかれる、という感覚が今の私ですらあるのだから、下の世代はなおさらなのかも知れない。

これは、わたしが感じているだけなのかしら。
それとも本当に世の中はこうなっているのか、どちらなのか。

あなたの心地よいスピードでよいのだよ、と許される空気が残っていますように。

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