18歳の娘に伝えたいお金の話(1)~お金の歴史

おはようございます。🐤

さて今日は「18歳の娘に伝えたいお金の話」ということで、できれば複数回にわたって、体系だってまとまったお話にしたいと思っています。

お金の話は最終的にはブロックチェーンにたどり着くのですが、そこにいくまでにかなり長い道のりで、既存金融の歴史としくみをやっていかないといけません。

なぜ18歳かというと、今年の4月から法律が変わって成人が18歳になるからです。そしてうちの娘ちゃんは18歳で4月から一人暮らしを始めるからです。成人とはつまり、詐欺にひっかかっても「子どもだから」と守られない年齢になるということです。

これまでは20歳にならないとできなかったけど、これからは18歳になったらできること、特に金融商品に重きをおいてリストアップすると次のようになります。

  • 銀行口座の開設

  • 証券口座の開設

  • カードローン

  • クレジットカードの作成

  • 生命保険や損害保険の契約

  • 住宅の賃貸などの契約

  • その他、携帯電話など各種契約

世の詐欺師たちは「世間知らずのうちに一発ひっかけてやろう」と新成人にターゲットを絞って毎年毎年電話や街頭で狩りをしたりいろんなワナをしかけたりするのです。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220301/k10013505971000.html

そんなワナにひっかからないように、数字に強くなってほしい、お金を扱う感情に負けないでほしい。そんな思いで記事を書いていきます。長くなるかもしれませんが、18歳に、いや、娘ちゃんに届きますように。うざがられませんように。

いや、うざがられるのは別にかまいません。目的は「数字を苦手とせず」「お金を扱う時の感情のコントロール」を身につけることです。そのために、できるだけ伝わるように書いていきたいと思います。

世界がもし100人の村だったら

さて、お金のお話です。
「お金の話」というともしかしたら嫌悪感をもつ人が一定数いるかもしれません。そういう人のためにきれいに伝えるには、「社会の話」と言いかえるほうがいいかもしれません。

世界がもし100人の村だったら」という本を知ってますか。この本はこんな問いかけから始まります。

「今朝、目が覚めたとき、あなたは今日という日にわくわくしましたか?」
「今夜、眠るとき、あなたは今日という日にとっくりと満足できそうですか?」
すぐに「はい、もちろん」といえなかったあなたにこのメールを送ります。これを読んだらまわりがすこし違って見えるかもしれません。

https://www.amazon.co.jp/dp/B01CEA637C/

このように始まるこの本は、世界全体をたんたんと数字で俯瞰しています。僕はこの本を読んでたった一人の人間の悩みがいかに小さいかということを感じました。この本は現代社会の仕事や学校、人間関係に少し疲れた人の心に刺さり、大ヒットしました。

この本がお金の本だと感じる人は少ないでしょう。しかし経済のことを基本に立ち返って考えるときにこの「世界がもし100人の村だったら」のように考えるとすごくわかりやすいと思います。

小さな社会の誕生

すごく原始的な小さな村を想像してみます。人数はそうですね、15人から20人くらいでしょうか。

村人は木と藁で組んだ家に住み、獣の皮の服を着て、木の実をとったり、魚をとったりして暮らしています。

男の人の何人かは、狩りが得意です。
また何人かの男の人は、まきひろいやまき割りが得意です。
石や木を工作して、道具を作る人もいました。

女の人の何人かは、貝や木の実を集めます。
服を作ったり、かごを編んだりするのが得意な人もいました。
そして、子育ては女の人が得意としています。

そうやって、それぞれが自分の得意な技能を、自分たちの村のみんなのために役立てています。もう年をとって動くことがままならないおじいちゃんやおばあちゃんも、なんらかの理由で働けない若者も、なにかしら自分でもできることをして、みんなで助け合いながら暮らしています。

何も不自由のない平和な世界に思えます。
ところでこの世界に「お金」はありませんでした、必要がなかったからです。

物々交換の限界~お金の誕生

物々交換には限界があります。
キャベツ農家のAさんはどうしても魚が食べたいのに、魚屋のBさんがキャベツを嫌いだと、いつまでたってもAさんはキャベツを魚と交換してもらえません。

このように需給がうまく一致しないということがよくあります。

そこで考えられたのが「お金」です。最初は「きれいな貝がら」とか「きれいな石」などがお金になっていました。これは物々交換の仲立ちをするものです。

お金にはつぎの3つの性質をもっているものが望ましいといわれています。

  • 交換の仲立ち(誰もが価値を認めるもの)

  • 価値の保存(腐らない)

  • 価値の尺度(数量で表しやすい)

「お金」という、この世の価値を数量で表すことができるものを物々交換の間にはさむことで、人々の間のものの交換をスムーズにすることができるようになります。

さきほどの例でいうと、魚屋のBさんはキャベツとは交換できませんが、お金となら交換します。お金であれば、そのあと何とでも交換することができるからです。

「交換の仲立ち」ができるためには、誰もが価値を感じるものが望ましいです。そして腐ったり劣化するものではいけません。だから、腐食のしにくい「金」のような金属はとても好まれました。「金」は「お金」という字に使われているとおり、いまでもお金の代名詞のように使われることがあります。

他にも「塩」「米」など保存のきく食品が価値の仲立ちに使われた時代もありました。

「サラリーマン」のサラリーの語源は「Salt(塩)」と言われています。かつては塩が価値があり、保存もきいたので塩がお金(給料)となっていたという文献が残っているようです。

また、「加賀百万石」の「石」はお米の量を表す単位で、約180リットルです。もっと小さい単位は、もちろん一合(0.18リットル)、一升(1.8リットル)、一斗(18リットル)というものもあります、一石は単位が大きすぎて聞きなれないですが、小さい単位はよく耳にしますよね。

で、何が言いたいかというと、お米の取れ高がその国の力を表すものとされていたことがわかるということです。武士のお給料も一部はお米で支払われていたそうです。

お米も塩も、「保存」がきき「数量」で表しやすいので「交換の仲立ち」になりやすかったんですね。だからお米や塩も「お金」の一種といえます。

紙幣の誕生

さて、お米や塩は持ち運びに不便だったり、湿気たりしやすいこともあり、やはりお金の王様といえば「金」でした。

しかし、金はあまりに希少価値が高すぎて、庶民にまで広まることができません、なので銀や銅、錫(すず)などがお金になりました。

銅貨や錫の貨幣は、金に比べるとたくさんとれたので、たくさん作ることができました。その分、たくさんだと重くなって不便なところもありました。

そこで出てきたのが「紙幣」です。これはもともと「金との交換券」として、特別な紙で作ったり印鑑を押したりして偽造ができにくいようにしたものです。

紙幣はとても便利でした。いつでも両替屋にもっていけば金と交換でき、保存もきき、数量も表すことができます。金や米と違って、「紙」自体には価値がないはずなのですが、金と交換が保証されているので、使われるにつれ「紙幣」自体に価値があるという勘違いが常識になって、世界に浸透していきました。

人々の間で「紙幣には価値がある」ということが常識になると、お金の発行者によってひっそりと金との交換が保証されなくなりました。つまり何にも役にたたないただの紙切れになったのですが、奇跡的に紙幣の価値は下がりませんでした。

こうなると紙幣は印刷さえすればいくらでも発行することができます。社会的な錬金術の完成。これを「お金2.0」と呼ぶことにします。(流行るといいな)

紙幣より大事なのは社会への貢献

さて、「お金2.0」には何か価値があるでしょうか、これまでのお話によると「金と交換できない紙幣」には本来何の価値もないということがわかると思います。

少し話を遡ると、金や米にはそれ自体に価値がありました。「お金1.0」のころの紙幣はそれらと決まった割合で交換できるので、とても扱いやすく便利になりました。

そして、「お金2.0」になってからの紙幣は、決まった割合ではないものの、その時の時価で金や米と交換することができます。

ただし、気をつけておかないといけないのは、お金の発行者の裁量で発行ができてしまうことです。アルゼンチンという国では、たくさんお札を発行するので毎年60%のインフレが発生しているそうです。

毎年60%のインフレとは、今100円で買えているものが1年後には160円になっているということです。2年後には256円、10年後には10,000円を超えます。100円で買えていたものが、10,000円ださないと買えない、その分お金の価値が落ちているということです。これでは「価値を保存」できていないので、お金の大事な機能を果たせていません。

そうならないように、国は紙幣の発行をコントロールしています。僕たちは国がうまく紙幣の流通量をコントロールしてくれて「価値を保存」できると信頼しています。

だから安心して貯金しているのですが、ほんとにそれが続くのかはわかりません。

遡って考えてみると、お金の必要がなかった時代、みんなで助け合って生きていた時代には、村での自分の仕事をすることが生きることにつながりました。

お金はただその仕事の価値の交換をスムーズにするために作られたツールだったはずです。

だから、ほんとうに大事なのは「他人の役にたてること」「人々の間で、自分のできることをしっかりとすること」「人々の間で信頼を得ること」であるはずだと僕は思います。

現代社会でいうと、僕たちは道路や水道、電気などが整備されていることでとても便利に暮らすことができていますが、これは誰かがこれまでに払った税金だったり、自分が払っている水道料金、電気料金のおかげだったりするのです。

自分がするべき仕事は、もちろん自分で探すべきなのですが、自分ひとりでは探せない人は親や友達を頼ったり、ハローワークというところで仕事探しをサポートしてくれたりします。

「他の誰かのために貢献すること」が大事だということがわかれば、なんとか生きていくことはできます。ひいてはそれが自分のためになります。

まとめ

お金とは何かを説明すると、それは必ず社会のしくみにつながります。
これからおいおい説明する、税金や手数料も同じです。

お金はただの流通の潤滑剤にすぎない、信用こそが大事です。

そう考えると、会社員というのはお金と「その会社内での信用」を積み重ねることができてとても良いポジションに思えます。もちろん自営業、フリーランスも同じです。継続することが信用につながる仕事だからです。

一方、お金だけを追い求める「トレーダー」などは、信用が積み重なるかというとそれは難しいと思うので、少し効率が悪いかもしれません。

お金も大事だけど、それよりも信用とかコミュニティでの貢献が大事だよ、というお話でした。

というわけで次のお話と全体の組み立てを取り急ぎ考えなきゃ、もうあまり時間は残されていません。

続き⇒18歳に伝えたいお金の話(2)|ヒヨコロ|note

それではまた、DeFi〜(@^^)/~~~


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