クリプト民向け相続講座
おはようございます。🐤
今日はクリプト民向けに相続のお話をします。一杯飲み屋さんでするようなお話なので、一杯飲み屋さんで聞くように読んでみてください。
まず開口一番に言いたいのは、資産運用とか副業とか、トレードだとか仮想通貨とかFXとかの稼ぎなんて、相続に比べたら微々たるものです。
相続はそれくらい大きいです。
この分野を学ぶと学ばないとでは、お金のない人も、お金のある人も、自分の資産にとてもとっても大きな影響があります。
相続の大きさ
相続はどれくらい大きいのでしょうか。
それは一人の人間が一生で稼いで残した額です。
👵「うちにはお金はないわよ~あてにしちゃだめよ」
というお母さんも、1600万円~3200万円くらいはあなたに残してくれるかもしれません。
さて、仮に親が3000万円の資産をあなたに残してくれたとします。その3000万円にかかる税金はいくらだと思いますか?
「相続税は高いって聞いたことあるから、そうだな~、半分くらい持っていかれちゃうんじゃないの?」
いいえ、ゼロ円です。
基礎控除という枠が最低でも3000万円はあるので、3000万円が丸々あなたのものになります。
日本ではだいたい1年間に150万人くらいが亡くなりますが、それら一人一人が3200万円ずつ残すということは、日本全体の相続の規模は
150万人×3200万円=480,000億円
つまり、1年で相続されている資産はおよそ48兆円もあると推測できます。ほんとかどうかわからないですが、現実に支払われている相続税が3兆円あるので、まあそう遠くない数字だと思います。
「48兆円」と言われてもいまいちピンと来ないくらい大きな額ですが、だいたい日本の毎年の新成人みんなにフェラーリ(4000万円)を1台ずつプレゼントできたり、ディズニーのアニメ映画(製作費100億円)を毎年4800作品くらい作れたりします。
どうでしょうか、老後2000万円問題とかありましたが、もう解決してましたね。これくらい「相続」というもののパワーはすごいのです。
ところが、みんな「親が亡くなる時にお金の話をする」ことを不謹慎とか思うから、誰もその話をしないのです。親がいくらもっているか誰も知らないし、その対応のしかたも使い道もわからないのです。
なんともったいない。
なので、相続のことはしっかり学びましょう。
そして、日本の高齢者の心理をよく知って、どうやって相続の話を切り出していくのか考えていきましょう。
相続の基本
相続とは、亡くなった人の資産をもらうことです。
相続する人=もらう人のことを「相続人」といいます。
対して、亡くなった人のことを「被相続人」といいます。
そして、相続は基本的には家族間でおこないます。
ごくごく普通のケースを考えると、おじいちゃんが亡くなったら、まずはその妻であるおばあちゃんと子が財産を相続します。
これが一応のルールですが、このルールに従わないこともできます。ただし、相続人みんなが納得していないといけません。
次に、おばあちゃんも亡くなった時は、配偶者がもういないので、子に100%相続することになります。
では、仮にこの子たちに子どもがいなかったとしたら、誰に相続することになると思いますか?
答えは兄弟です、子がいたらすべて子に相続なんですけど、子がいなくて兄しかいないので兄に100%相続します。
では、このまま(妻も子もいないまま)兄が亡くなったら?
答えは、国がその遺産をもらうことになります。ただし、亡くなった人が遺言書を書いていて、そこで資産を渡す人を書いていれば「遺贈」といってその遺産を渡すことができます。
また、亡くなった人と一緒に生活していたり、特別に仲良くしていたりする場合、自ら申請をすると「特別縁故者」というポジションになって、遺産が少しもらえる場合もあります。
というわけで一つの答えは見えました。親兄弟、子どものいない人には優しくして、話し相手になってあげることです。
エアコンが壊れたら直してあげたり、お風呂の栓が壊れたら新しいのに交換してあげてください。困っていることを聞いてあげてください。ちょっとしたことも年配の人にはとってもありがたいことなのです。
その際は必ず「あなたに優しくするのはあなたの遺産がめあてです」と、あの手この手で伝えてください。そうしないと伝わりませんし、人間ってそんなものですから逆に信頼を得られるかもしれません。
何より、その身寄りのない人だって、あの世にお金を持っていけるわけではないので、むしろ資産を残せる人がいることは嬉しいことなのです。
目的を告げずにただ優しくしているだけでは伝わらないので、ぐずぐずしていると横から現れた愛人が一瞬で内縁の妻(夫)になって、遺産をさらわれてしまうことでしょう。
そんなこんなで、亡くなった人の遺産を相続したら、だいたい3000万円までは最低でも非課税です。相続人がたくさんいたら、その相続人の数×600万円も加えて非課税になります。
それを超えてくると、下のような税率がかかってくるのですが、この計算は実は少しややこしいです。時間をかけて手順を踏めばそんなに難しくはないのですが、FP1級の私でも気合いを入れないと80%くらいの確率で間違えてしまいます。
なのでここでは計算方法には触れないでおきます。詳しくは以前の記事をご覧ください。
相続あるある(醜い争い)
さて、相続での親族の争いはほぼ100%起こるといっても過言ではありません。
相続財産を隠してズルをしていたり、誰か一人が多くもらっていたり、誰かがたくさんお世話をしてきたのに何もしていない他の兄弟と同じだったり、そんな不公平がある場合だけではなく、財産を明らかにして透明で公平に財産を分けたとしても「兄弟じゃなく妻がもらうべきだ」とか、無駄な正義感が湧いてしまう人が現れます。
もちろん、相続人みんなが納得すればいいのですが、妻はこんな親族であることをわかっているから「揉めないようにルール通りに分けたい」と考えているのです。
妻が全額もらったと知ったら、その後で「俺のおかげで全額相続できたんだ」「その分のお礼を…」などと言われることも、これまでの付き合いから見えていたのかもしれません。
「だったらあなたは相続することを放棄することができるのですよ」
と冷静に説明するのですが、その人の正義感は、自分が放棄した分が他の兄弟に行くことが許せません。自分の思いどおりにならないと怒るタイプの人なのです。
そんな訳のわからないことで、その亡くなった人の妻が親族と断絶したという例があります。
まあむしろありがたかったのですが、その交渉期間は何時間もかけて地方に足を運んだり、東京にいる兄弟と手紙でやりとりしたりと無駄に消耗しました。一体なんなんだ…。
さらに、残された資産に不動産が含まれていたらもうお手上げです。不動産にはいろんな人の思いがこもりやすいので、「この家は故人が一生かけてローンを払って建てた大事な家だ」とか「売るにしても、○千万円で買ったからそんな安くは売れない」とか、もう訳のわからない泥沼になります。
とにかく、相続でもめないことはありません。
対策はいくらしてもし過ぎることはないのです。
一番のおすすめは、遺言書を書くことです。資産をリストアップし、ちょっと勉強したら自分でも書けます。
そして「遺言書保管制度」というものがあって、なんと3,900円で自分の書いた遺言書の形式をチェックしてくれて、なおかつ法務局という役所に保管までしてくれる優しい制度があります。
もっと言うと、相続専門の弁護士や税理士、司法書士などに数十万円~数百万円のお金を支払う覚悟で相談するのもいいかもしれません。
必ず「相続を得意とする」人に相談するのがポイントです。
私たちからみたら同じ専門家でも、例えばお腹が痛いのに歯医者に相談する人がいないように、完全に分野ごとに住み分けがされているので、相続を得意とする専門家に相談して、上手に遺言書を作るのも一つだと思います。
ちょっとファイナンシャル・プランナーの勉強をして資格をもっている知り合いとか、中途半端な人、専門家ではない人には決して頼らないでください。
意見を聞くのは良くても、最後には必ず自分で決めてください。
相続はとてもウェットで感情が関わるので、理屈だけではうまくいきません。ちょっとやそっと学んだだけではうまくはいかないのです。必ず遺言書には丁寧に丁寧に自分(被相続人)の思いを乗せてください。
それだけ対策をしても、きっと揉めることにはなるのでしょうけど、日本人の感覚では「亡くなった人の考えたことだから」というと、わりと気難しい人でもとりあえず黙らせることはできます。
遺言書はすべての人に必要で、最低限のスタートです。
認知症と相続
ものすごく大事なことですが、相続については「死ぬことと認知症になることは同じ」だと考えないといけません。
亡くなってから相続対策はできないのと同じで、認知症になったらもう相続対策は手遅れです。
突然亡くなることはあり得ますが、突然認知症になることはありません。日ごろの言動をよく見ているとわかります。(わかりたくない心理も働くので難しいですが)
なので、認知症になる前に相続対策はしておきましょう。つまり資産のリストアップと遺言書の作成です。
暗号資産の相続
きました、今日はクリプト民向けということで、ここにしか期待をしていなかった人も多いかもしれません。
暗号資産といっても、国内や海外の取引所に預けているものであれば、まあ銀行の預金を引き出すのと同じくらいの難易度だと思えばいいでしょう。(銀行の預金を引き出す難易度は高いです、遺産分割協議書か、それに準じる書類と相続人全員の生まれてから今までの戸籍謄本が必要になったりします)
これは難しいのですが、不可能ではありません。
問題は、亡くなった人がマジで暗号資産に入れ込んでいる人で、「自分で秘密鍵を保管している」というような人です。
これは残された遺族には無理ゲーです。
なおかつ、下手に相談したら、その人にぜんぶ暗号資産をとられてしまうかもしれません。(「ウォレット見たけど空だったよ」とか言われて、実は盗まれてたり)
なので、必ず秘密鍵を大事なところに入れて、さらに「私が亡くなった時はこの秘密鍵を○○氏に渡して換金してもらうように」などと遺言書やメモに残しておくことです。
私が知る限り、他人の秘密鍵を換金までしてくれる公や民間のサービスはまだないので、現段階では「詳しいオタク」に頼るしかないと思います。(あったら教えて)
なので、クリプト民は信頼のできる第三者とお友達になっておくか、相続人に秘密鍵の扱い方を教えておいてください。
もし、病気などで自分が亡くなることがわかっている場合には、ややこしいウォレットに残している資産は、取引所に移しておくか、円やドルに換金しておくべきです。
まとめ
というわけで、一杯飲み屋さんでするようなとりとめもないお話でしたが、いかがでしたでしょうか。
相続はとても大きなお金が動きます。
その割には誰も相続のことを知りません。(参考:日本人の相続観と相続リテラシー mufj.jp)
100%揉めることが前もってわかっているのに、「うちは大丈夫」と、それに気づかないでいるのです。
必ず全員が相続のことを真剣に考えてください、そして必ず全員が遺言書を書いてください。遺言書が必要ない人はこの世には存在しません。
遺言書にかかる費用は、3,900円です。(数十万円くらいならかけても良い)
それではまた、一杯飲みながら相続のことについてお話ししましょう。(@^^)/~~~
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