キャッシュフロー計算書を得意問題に
おはようございます。🐤
キャッシュフロー計算書に関する問題は、2014年から現在までの10年間で3回出題されています。10年間に3回は少ないようですが、2020年9月、2022年5月、2023年5月と過去3年間で3回と近年は出題頻度が多くなっています。
キャッシュフロー計算書とは
財務諸表の1つです。
貸借対照表(B/S):ある時点における資産や負債の状態を表す
損益計算書(P/L):一定期間における収益と費用を示す
損益計算書はこっちの棒グラフのイメージの方が覚えやすいかも。
また、下のように書けば複式簿記だとイメージしやすいかも。
キャッシュフロー計算書(C/F)
上記2つの財務諸表が複式簿記(貸方/借方)で表すことに対して、キャッシュフローは複式ではなく一定期間における現金・預金の流れを記録するものです。
これにより、複式簿記ではわかりにくくなっていた「結局現金はいくらあるの? 資金の余裕はあるの?」ということがわかりやすくなります。上場企業には公開が義務付けされていて、一般企業には義務付けられてはいませんが、資金管理のために役立つので、近年一般企業にも広く普及しているものです。
このキャッシュフロー計算書の作成は損益計算書の内容をもとに、現実の入出金を伴わない減価償却費や、未収の売掛金などの項目を足したり引いたりして作成するそうです。なんだか税額の計算に似ていますね。
さて覚えることはこれだけです。これだけでキャッシュフローに関するFP1級の問題は全て正解できます。実際にやってみましょう。
問題演習1 2023年5月
1)
ではさっそく1)をやっていきます。保有していた固定資産を売却した場合は、「投資活動によるキャッシュフロー」の区分に「売却額」が記載されます。「売却損益」ではありません。これは❌です。
これはなぜかわかりますよね。キャッシュフローは「現金・預金」の流れを記録するものなので、その期に発生した固定資産の売却による収入がそのまま記載されます。
なお、「営業活動によるキャッシュフロー」にも影響があります。もともと損益計算書には複式簿記でその固定資産の購入額と売却額が記録されているので、その差し引きとしての損益の額が損益計算書には含まれているからです。例えば、過去に10,000円で買った固定資産を今期に15,000円で売却したとします。損益計算書にはその損益として+5,000円が計上されています。
一方、キャッシュフロー上はあくまで15,000円の収入です。だから投資活動の欄に+15,000円を記載します。
この時、損益計算の上でも5,000の利益となっているので、それを打ち消さないと二重計上になってしまいます。だから「営業活動によるキャッシュフロー」の欄からその分の利益を差し引いて調整します。
ちょっと難しいけど、とりあえず「売却損益」じゃなくて「売却額」そのままだということがわかればこの選択肢には回答することができるので、ある程度で良しとしましょう。
2)
つぎ、2)にいきます。「間接法」とは、営業活動によるキャッシュフローの計算方法の一つで、一から記録して作成する「直接法」とは違って、すでにある損益計算書の「当期純利益」に一定のきまりで加えたり引いたりして作成するやりかたです。答えは⭕️です。
損益計算書から税金の計算をする時と同じで、「損益計算書」には影響を与えるけど「キャッシュフロー」には現れてこない減価償却費や未収の売掛金、手形などの額を足したり引いたりするんですね。
3)
総額による表示とは何なのでしょう、答えは⭕️なのですが、定着のためにその内容を説明していきます。
上の図はとある上場企業のキャッシュフロー計算書です。「財務活動によるキャッシュフロー」の欄はいくつかの項目があるのがわかると思います。例えば長期有利子負債の増加と返済がそれぞれ示されていて、相殺はしていません。このように、項目ごとにそれぞれの総額で表示する方法を「総額による表示」というそうです。
なんか「総額」という印象から受ける感覚と違う気がしますが、とにかくこれが総額による表示だそうです。これ調べてもわからないよ…
4)
当座借越という言葉が初耳ではないでしょうか。私は初耳でした。答えは⭕️
よく、銀行の普通預金口座に「当座貸越(総合口座貸越)」という制度があるのはご存じでしょうか。銀行に定期預金などの残高をもっていると、普通預金の残高が不足する時などに、定期預金を担保としてその9割くらいの範囲内で普通預金口座に自動的に貸してくれる機能のことです。
これと似たようなイメージで、企業の事業や信用を担保に貸すのだと思います。銀行から見たら「貸越」で、借り手から見たら「借越」というだけのことで、同じ内容だと思います。
事前に借り手と銀行が「当座借越」の契約を結んでおけば、手形の振り出しで当座預金が不足した時に、自動的に貸してくれるのだそうです。
で、この当座借越はキャッシュフロー計算の上では借入金と同じように扱われるのだそうです。つまり「現金同等物」です。それが借金(マイナス)だから「負の現金同等物」というわけです。あまり難しく考えすぎたら負けかと思います。適度にスルーで、沼らないように…。(;^_^A
問題演習2 2022年5月
1)
「売上高」「販管費」の減少は「営業活動によるキャッシュフロー」の減少につながるから正しい。⭕️です。
そもそも、営業活動によるキャッシュフローの部は、間接法では損益計算書の「当期純利益」が基本になってくるので、この下の図がまんま「営業活動によるキャッシュフロー」だと思えばだいたいあってます。
2)
「固定資産」と「有価証券」、いかにも投資活動って感じですよね。で、資産っぽいものを取得しているから増加、ってわけじゃないんですよね。キャッシュフロー計算書はあくまで「現金・預金が増えるか減るか」しか見ないので、固定資産を取得するためにお金を支出したら現預金は減る、有価証券の購入も同じで現預金は減る、だから「投資活動によるキャッシュフロー」は減少します。答えは⭕️です。
3)
これも同じ、現金・預金が増えるか減るかで考えます。答えは⭕️です。
「自己株式の取得」はちょっと難しいけど、反対を考えると「自己株式の売却」では確実に現金・預金が入ってきますよね。つまりキャッシュフローは増加します。その反対だから減少するというわけです。ちょっとまわりくどいけど。
「社債の償還」は簡単ですね、社債を持っている人と会社の現金・預金を交換するわけですから、会社の現預金が減り、キャッシュフローも減ります。。
4)
新しい単語出てきました「フリーキャッシュフロー」。問題の答えは❌。ちょっと長くなるけど説明していきます。
「フリーキャッシュフロー」とは「営業活動によるキャッシュフロー」から「投資活動によるキャッシュフロー」を引いたもので、企業が自由にできるお金です。
これはどういうことかというと、企業は営業活動で継続的なプラスがでていないとダメだよっていうことだと思います。投資でプラスが出ていても水ものだよと、あてにしちゃいかんよと。これは私たちの人生訓にもなりそうですね。しっかり労働して得たお金で生活しなさいと、投資で得た利益で不労所得だとかなんだとか言ってると痛い目にあいますよと。🐤
財務活動によるキャッシュフローは借金なので言わずもがなです、これを自由に使ってはいけません。
問題に戻ると、「借入金の返済」は「財務活動によるキャッシュフロー(営業CF)」に影響しますが、営業CFや投資CFには影響しないので、答えは✖なのでした。
問題演習3 2020年9月
1)
これは❌。キャッシュフロー計算書は次の3つの合計です。
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
2)
営業活動によるキャッシュフローはほとんど「損益計算書」の内容と同じでした。答えは⭕️。
売上高と販管費の増加は図で見たらわかりますが、売上債権が少し難しいかな。売上債権は、いずれ支払ってもらうのですがまだ手元に現預金はありません。この対となるのは売上債権を支払ってもらう時になります。支払ってもらう時は現金・預金が増えますよね。その反対と考えると、売上債権の増加は、現金・預金の減少と考えられるのです。
ちょっとまわりくどいけど、逆を考えると明確になります。
3)
固定資産はいかにも投資活動で、固定資産を買う時には現金・預金が減るのでキャッシュフローも減るのが正しいんだけど、短期借入金はいかにも財務活動ですよね。配当金の支払いも財務かな? とにかく答えは❌です。
4)
答えは❌。営業活動によるキャッシュフローは損益計算書の結論である「当期純利益」とほぼ同じでした。そのうち、現実の入出金を伴わない「減価償却費」とか「未収の売掛金」、あと「未払いの買掛金」などの項目を足したり引いたりして作ります。
「損益計算書」までは良いのですが、経常利益ではないですね、当期純利益です。
まとめ
さて、入手できる限り歴史上全てのキャッシュフロー計算書関係の問題はこれで何がでても大丈夫になりました。「本物の理解」は手に入れられましたでしょうか。
キャッシュフロー計算書は、現預金の流れを見るために作成する
営業/投資/財務の3つの部門に分かれる、一番大事なのは営業
営業活動によるキャッシュフローは損益計算書の「当期純利益」をもとに実際の入出金を伴わない項目を加算・減算して作成する=間接法
これが理解できていたら暗記は不要です。そして理解できたら感動しましょう、自分偉いと褒めてあげましょう。それが定着につながります。
それではまた、FP~(@^^)/~~~
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