見出し画像

地震の源流とこれから


前書き

 2024年8月8日、宮崎県日向灘を震源とした震度6弱、マグニチュード7.1、深さ30kmの地震が発生した。この地震から日本国内は南海トラフ巨大地震が「再来」することを予期し、警戒しつつ避難を呼びかけていた。そして翌日の9日に神奈川県西部を震源とする震度5弱、マグニチュード5.3、深さ10kmの地震を観測した。東アジアは環太平洋造山帯という火山帯に位置しており、日本もその一部であるため地震がとても多いのは有名だ。過去に関東大震災や、東日本大震災、阪神・淡路大震災でも甚大な被害を受けている。今回はこのような地震について詳しく述べてみようと思う。

地震の原理

 最近は、地震が起きるたびに毎度のようにTwitterのトレンドに上がる「人工地震」であるが、この人工地震のほとんどは大学あるいは特定の施設が秘密裏に核実験を起こし、人工地震を起こしているというものだが、このようなことは近年の日本で起きているとは考えにくく、ただの陰謀論じみた噂に過ぎないだろう。そもそも人工地震とは、人工物による爆破などによる原因から発生するもので、特徴としてP波に比べてS波が小さく、表面波が卓越し、すべての観測点でP波初動が押し波となり、P波の波形が単純で立ち上がりが比較的鋭く、震源の深さがほぼ0であるなどの条件が一つでも当てはまっているものであって、通常の地殻変動から発生する地震とは違う。そしてこの違いは地震の規模が大きければ大きいほど分かりやすくなったり、震源の深さの情報からも違いを錯覚できるため、ただのフェイクニュースであるのはすぐに読み取れる。では、普通の地震の特徴はどういう特徴があるのだろう?
 通常、地震というのは地中の岩盤の力が急激な断層の変形によって力が崩れ、地盤がずれ動くことをいう。そのため、岩盤の断層の位置は地理的にも決まった位置に存在しており、特に火山や山などが多い地形には大抵活発に動く岩盤である活断層が地中に存在している。地震による振動は地震波とよばれる。地震波には地中を伝わる実体波と地表に伝わる表面波に大別されるが、更に実体波から速度の早く細かい微動であるP波と、速度が遅く激しい振動であるS波に区別される。このP波とS波の到達時間の差の距離によって震源、震央を特定することが可能である。そしてS波の振動が激しければ激しいほど大地震である可能性が高くなるのだ。気象庁はこの性質を用いて、地震波を感知する装置を作り、緊急地震速報などとしてニュースに反映させている。震源が動いた後も周りに面状にズレが生じ、ズレた部分全体が震源域となり地震波を発するのである。
 しかし最近では地震には「異常震域」と呼ばれる特殊な震域を持った地震が存在する。この多くは震源の場所は揺れていないのにも関わらず、震源から遠く離れた場所では揺れが生じているというものだ。これは震源の深い地震、つまり深発地震に共通して発生するものであり、地震の深度がかなり深い地震は震央へ動く地震波の力は減衰し、震央での揺れは感じることはない。しかし軟弱な地盤、プレートを通った地震波は減衰することがないため、震源から離れた場所は揺れる傾向にあるのだろう。
 このような地震の前兆の動きは、地殻変動(地形の僅かな変化、傾斜の変化)、地震活動(余震活動低下、前震)、地磁気の変化によりどれぐらいの規模の地震が来るかある程度予言をすることは一応可能であり、成功事例として1975年に中華人民共和国で発生した海城地震が挙げられる。しかし今までその法則通りの予言を行っていても批判や、普遍的な理論が多く存在しているため当てにならない予言も多いことから信憑性を得るのは難しいとされている。

日本の地震の歴史

 日本では先史時代から既に地震の発生はあったと記録されているが、613年まで文字による記録がなかったため、信憑性のいえるものだとはいえない。紀元前約6500年から紀元前2000年まで津波堆積物を形成するような巨大地震は計11回も発生していた。その中で紀元前4000年から紀元前2000年の相模トラフによる大地震と思われる痕跡が5回分残されていた。紀元前1000年に起きた南海トラフ巨大地震による津波堆積物も発見されたため、当時に起きた大地震である可能性も出てきていた。紀元前4世紀から紀元前3世紀の間の宮城県でも津波堆積物が発見され大地震の発生の可能性が指摘された。
 弥生時代の不明時期、琵琶湖沿岸でM7.5の巨大地震が発生し、滋賀県高島市針江浜、草津市烏丸崎、野洲市湯ノ部という琵琶湖沿岸の3遺跡が生まれたという研究が施された。紀元前後、南海トラフ巨大地震が起きた痕跡があったのと、95年に福島・岩部沖、210年前後には石川県白山市入道遺跡で液状化の痕跡から震度6強の地震が予想される。
 また4世紀〜5世紀頃または430年頃M9級の超巨大海溝型地震の可能性が既に提唱されていた。
 684年に白鳳地震が発生したということが日本書紀の記述で明らかになる。土佐で津波による大きな被害が出たそうで、これも南海トラフによる原因が考えられる。また畿内七道地震、天平地震、 美濃・飛騨・信濃(岐阜・長野)地震などのM7の地震が多発したため、富士山が噴火した事例も続日本紀に取り上げられている。またその他の記録にもマグニチュード7以上の地震や火山の噴火が多く存在していたため、中世日本では造山活動が盛んであったことが分かる。
 中世末期から近世にかけては鎌倉や京都、会津などの内陸部でも地震が確認されるようになり、火山活動が活発になり始めた。特に元禄地震では、マグニチュード8弱の地震で、関東南部に津波が発生し、20000軒が流れていったり、八重山地震や寛政地震などの地震もかなりの被害を受けていた。
 その後においても度々地震が発生していたが、大正時代から昭和時代にかけて関東全土を巻き込む関東大震災が発生した。この地震で初めてアメリカ合衆国、英国、中華民国、インドなどの国から義捐金が送られてきた。また、各々の事件も発生するほど重大な事件であった。また戦時中、太平洋戦争下においても南海トラフ巨大地震に見舞われながらも、米英海空軍の猛攻を耐え抜いていた。
 戦後、高度経済成長期の間に阪神・淡路大震災により関西周辺に中部地方や、中国地方にあたって甚大な被害を及ぼした。その一方で関東でも、東日本大震災により東北地方を中心に、関東地方や中部地方を中心に津波などの二次災害も起きたために日本全土に甚大な被害が及んでいた。各地は復興作業で忙しく、生産活動が低下したり、消費者マインドの悪化等、GDPの低下という日本経済に打撃を与えるものとなっていたのだ。

後書き:日本の地震のこれから

 この文章を今まで振り替えてみれば日本の地震が、いかに深刻な問題であるかを理解できるはずだ。南海トラフ巨大地震はこれまでの歴史上何度も存在する地震となっていた。震度7以上の巨大地震は各プレートごと約1000年に一度といわれている。1945年以来発生していない南海トラフ巨大地震は、2020年〜2050年の間のどこかしらで起こる可能性が高いだろう。おそらく東日本大震災や阪神・淡路大震災のように大規模な建物の崩壊や、大津波、大火事などが発生するのはほぼ確実だ。
 日本人には潜在的に地震への対応スキルはあるものの、それだけでは命を守れない場合が多い。地震の発生時はTwitterに情報を発信することも大事だが、その際にはできるだけ物の倒壊の少ない建物の真ん中で頭を守り、スマホが使えなくなった環境を考慮し、非常食やライトなどの備品を揃え、人と団結して情報を集め抜く力も必要になる時が来るだろう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?