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知らぬ間に海を知っていた

いつからかわからないが、知らぬ間に海を知っていた。
陸の終わるところに、たくさんの塩辛い水があって、そこに魚が住んでいる。そう知っていた。

本当に大きな感動が欲しい。そう思って生きている。
では、感動はどんな時に生まれるのか?
僕は新しい何かを見聞きし感じ、感性が揺り動かされるときに生まれると思っている。

ただ、今生きていて、すべてのことをとても簡単に浅く知れてしまう。
SNSとかインターネットを使っていなかった僕の幼少期ですら、見ても聞いてもいないものをなぜか知っていた。だからこそ、感動をくれる新しい何かは生まれた時から奪われている。

僕は海が好きだ。海にいるだけで何もかもが包み込まれる気がしてくる。
朝焼けの海が好きだ。昼間の海も、昨夜の海も、夜更けの海も。
どんな時も感動をくれる。

だけど、何も知らないはずだった僕が初めて海を見るときの感動ははじめからなかったまま。

「あ、ふーん、こういう感じね、知ってる知ってる。」
とニヒルに横たわっている。


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