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取り憑かれたように

我が家の次男は、重度知的障害のある自閉症で、現在特別支援学校の高等部に籍をおいている。

高等部1年生のときに強い母子分離不安が現れ、自傷他害がひどくなったため病院に入院し、2年生の10か月は病院で過ごし、退院後も次男にかかる負担が大きいということで登校せず、現在は週1回担任による訪問指導を受けている。


次男には悪い癖というかブームが訪れることがあり、例えば箱ティッシュを見ると箱を壊して中のティッシュペーパーを全部引き出して捨ててしまうとか、1リットルパックの牛乳を見ると飲まなくても中身を全部空けてしまいたくなるとか、トイレットペーパーを芯を残して全部引き出しトイレに流そうとするとか…。

で、現在、トイレットペーパーブームの真っ最中である。

ホルダーにかかっているペーパーの残量が少なければ、全部引き出して流してもトイレが詰まる恐れは低いが、取り換えたばかりの新しいロールだった場合、無理矢理流そうとしてトイレを詰まらせ、更に無理矢理水を流そうとするので水が便器からあふれて洪水を起こす。
水浸しになって使用不能になったトイレを復旧させるのは、主に私の仕事だ。(最近はとーちゃんも復旧作業をしてくれるようになったが)
おかげで通水カップの使い方に慣れてきて、ちょっとの詰まりならすぐに直せるようになった。

最近になって、個室のホルダーにかかっているトイレットペーパーだけでなく、買い置きしているペーパーの芯だけ残して全部引き出してゴミ袋に入れるというのが次男のブームになった。
次男からトイレットペーパーを取り返そうとすると、泣き叫びながら抵抗し、ひどいときは頭突きやあごを押し付ける(これが痛い)等の攻撃をされる。
ケガをしてはたまったもんじゃないので、トイレットペーパーは次男にされるがままになっている。

我が家は今、トイレに紙がない状態が続いている。
これではお尻が拭けない。

では、どうやってトイレを使っているかと言うと、トイレに入る前にゴミ袋の中からペーパーを必要分だけ取り出して、それから用を足すのだ。
実に面倒くさい。
切羽詰まったときは大変だ。

次男の隙を見て、ゴミ袋の中から芯をみつけそれに紙を巻き付けてトイレロールの再生を試みているが、途中でみつかると次男に取り上げられてしまう。
作ったロールをこっそりホルダーに取り付けても、次男に見つかると全部引き出されて流されてしまう。

先日、次男の診察のときに担当医にこのことを話したら、「これは衝動というより強迫性の行動ですね」と言われた。
なるほど。衝動的な行動というには、何というか合わない気がしていたのだが、強迫性と言われると納得できる。
トイレットペーパーに執着している次男の姿は、まるで何かに取り憑かれているように見えるのだ。
次男の頭の中の悪魔が命令しているような。

今日も寝る前にトイレットペーパーをこっそりホルダーに取り付け、明日の朝それがなくなっていても困らないように、持ち運び用のペーパーを用意する。
早く次男の頭の中の悪魔がいなくなればいいのに。

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