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恐れていたことがおきた

重度の知的障害がある自閉症の次男は、特別支援学校の高等部3年生。
18歳の実年齢に対して、3歳程度の知能、言語レベルは2歳になるかならないか。

予約していた定期診察で処方薬をもらった次の日、最初の事件がおきた。

私が洗濯機から洗濯物を取り出していると、次男が台所にいて流し台で何かをしていた。
「パキパキ」という音で、次男が何をしているかを察した私は、流し台にすっ飛んでいった。
「次男ちゃん、何してるの!」
流し台の排水口(の、ゴミ受け)に、昨日もらったばかりの薬を次々捨てているのだ。
まだ被害にあったのは1種類だけなのを確認して、まだ捨てられていない薬を次男から取り上げようとした。
が、次男がそれを拒んだため、取っ組み合いの状態になった。
体格も腕力も年相応の次男に、私が勝てる見込みはない。
帰省中で家にいる長男に加勢してもらって、なんとか残りの薬を取り上げ、袋に入れてカバンにしまった。

病院に問い合わせて捨てられた薬の出し直しをお願いした。長男に次男を任せて、ひとりで病院にすっ飛んでいった。
処方箋を受取り薬局で薬を購入した帰りに、鍵付きのボックスを購入し、今後はこの中に薬を保管することにした。
次男が、この鍵付きボックスに興味を示したが、鍵がかかっていて中のものを取り出せないことがわかると、あきらめた。

翌日。
午後6時頃、夕食後に飲む薬を用意するため、ボックスの鍵を開け締めしているところを次男に見られてしまった。
そこで次男がボックスを取り上げ、鍵を開けてしまい、中の薬(次回診察日までの分)を全部取り出してしまった。
家族(とーちゃん、私、長男)で薬を取り戻そうとしたが、力負けしてしまい、次男はコップにあけたゼリー飲料に、手当たり次第に薬を入れて飲み始めた。
薬の過剰摂取になってしまうので、次男が飲んでいる最中のコップを取り上げ中の物を全部捨てた。

何の薬をどれだけ飲んだのかは、ゼリー飲料に入ってしまって、また途中で捨ててしまったので不明だが、おそらく処方された全部の薬の半分近くが体内に入ったものと推測する。

飲んでしばらくは普通に過ごしていたが、7時40分頃に、突然足がふらついて歩行が不安定になり、よろけながら居間に行ったのでそのまま横にならせた。
8時過ぎ、起き上がろうとして手足に力が入らないようでうんうん唸っていたので病院に電話し状況を説明した。
医師との通話中に眠り始めたので、経過観察の指導に従い、様子を見ることにした。
時々いびきをかいたり寝言を話したり、ということがあったが、これといった異常な状況はおきなかった。

その次の日。
ずっと眠り続けているが、寝返りを打ったり姿勢を変えたりしている。
いびきや寝言もときおりある。
午後になっても眠っているので、手足の爪を切ったりおしぼりで顔を拭いたりして刺激を与えてみた。
目を開けたので名前を呼ぶと、手を動かして応えたが、またすぐに目を閉じて眠ってしまった。
午後4時すぎ、何かを探すしぐさをしたので毛布を触らせたら頭からすっぽり被って再び眠った。

午後7時半頃、ヨロヨロと起き上がり、ひどいふらつきがありながらトイレに行きたがったので支えながら連れて行った。
100キロ近い巨体(しかも脱力している)を支えてトイレに連れて行くのは正直、大変だった。
食いしん坊の次男を、いつか痩せさせなければと思ったが、痩せたくても痩せられない自分にできるとはとうてい思えない。
やはり入所施設に入ってもらわないと、次男の健康も保てないよなぁ… などと考えてみたり。

24時間以上溜まっていた尿はなかなか出ず、泣きながら排尿した。薬のせいか、長時間排出しなかったせいか光の加減かわからないが、尿が赤っぽく見えた。
トイレが終わると再び居間に行って横になった。
いびきをかいたり寝言を言ったりは変わらず。

そのまた次の日。
4時頃から動き出す。
1階の部屋で寝ていたとーちゃんが、次男の様子を見たり世話を焼いたりして、その経過をスマホでメッセージを送ってくれた。

「マ~る」って何?知らない言葉が出てきたぞ。
とーちゃんに「マ~るって何?何のこと?」と聞いたら、マーライオン(嘔吐)することとのこと。
とーちゃんの造語だと思うが、実際に「マ~る」を使っている人がいたら教えて欲しい。

丸一日絶食状態だったのに、いきなり冷凍パスタをチンして食べるとは、次男らしい。そして、吐いても、「まあそうだよな」としか言えない。
空っぽの胃袋にいきなりパスタは重いって。
とはいえ、吐いたあとは残りのパスタを完食したというのだから、次男の胃が丈夫なのか、ただ食い意地が張っているだけなのか。

ちなみに、私は6時過ぎに目が覚め、すこしウダウダしていたらとーちゃんからのメッセージが届いた。

7時すぎには自由に立ち歩きするが、まだ歩き方が不安定。
なんというか、重心が定まっていないというか、動くたびにヨロヨロしていた。

8時過ぎには、日課であるぬり絵をしたがり、居間でぬり絵を始める。
しかも、5枚。
昨日やらなかったから、取り戻したかったのかしら?
よろけながらも階段を積極的に昇り降りして、非常に意欲的。
もともと躁っぽいところがあったが、それがより出てきたというか。

「病院にいこうね」と声をかけ、次男も「びょういん」と答えたので一緒に病院に行くつもりで支度をしたが、いざ出かけるときになってやる気が消失したらしい。結局、私ひとりで病院に行き、ことの顛末を説明し、薬を1種類減らした状態で処方箋をいただいた。

ホームセンターに立ち寄り、鍵のかけられるボックスを探したら大工さんの工具箱みたいなのがあり、数字を合わせるダイヤル錠と一緒に買って帰った。
今度は次男に開けられないと思う。
数字の組み合わせが合わないと開錠できないのだから。


以上、夏休みの終わりに我が家で起きた事件というか、事故。
完全に、私の薬の管理が甘かったのがいけない。
そして、最初の鍵付きボックスが、次男の薬への執着のスイッチを押してしまった(しかも簡単に開錠できてしまった)のがいけない。
これの改善策が、ダイヤル錠をつけたボックスに薬をしまい、一日分ずつ袋に小分けして、朝にその日の分の袋を出して私のエプロンのポケットに入れることにした。
これで、薬での事故は防げる…と思いたい。

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ひやみん
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