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【SaaSセールス】社内トップセールスだった私が2度降格し、営業の標準化に向き合った話


こんにちは!スタメンで営業部長をしている岩田(https://twitter.com/iwahiro5)です。
このnote記事は、スタメンnoteリレーの14日目です!
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▼自己紹介と経歴

まずは簡単に自己紹介をさせてください!私はスタメンに入社してまもなく丸5年、一貫して営業組織で新規受注の最大化に向き合ってきました。昨年までの4年間はプレイヤーとして個人予算達成に対して、今年はフィールドセールス組織全体の予算達成に責任を負って組織運営をしています。

  • そもそもTUNAGってどんなプロダクト?

  • どんな営業スタイルの組織なの?
    については、以前のnoteも合わせてご覧ください!

プレイヤーとしての成果

2019年、導入社数150社を超えたタイミングから昨年600社を超えるまでの約4年間をフィールドセールスとして営業活動を行っていました。


業界未経験、スタートアップ環境にも適応できず1セールスとして立ち上がるまでにも何度か心が折れかけた事もありましたが(この辺りはまた別の機会でnoteにまとめます!)、まずは個人として成果が出せるようになり2020年から2022年までの3年間(n-1期から上場1年目)はトップセールスとして少しずつ事業拡大に貢献できるようになりました。


一方で、いびつなグラフから読み取れる通り、組織としては新人のオンボーディングに何度も失敗し、パフォーマンス格差が拡大、成果に再現性がなく営業組織拡大に黄色信号が灯っている状況でした。


2度部長職に挑戦、大失敗しました

タイトルの通りですが、自分自身も2度にわたって部長職にチャレンジする機会をいただき、役割を広げたにも関わらず結果を出せず、組織・メンバーに迷惑を撒き散らしながら元の役割に戻るという経験を2度もしました。120%自分の実力不足で、プレイングマネージャーとして自分の成果と組織の成果を両立させる事が出来ませんでした

今年3度目の正直として部長職に挑戦して1年、まだまだ道半ばではあるものの、少しずつ再現性ある成果を生み出せる営業組織ができつつあるので、今期取り組んだ事の大枠を共有できればと思います。いびつだったグラフもこの2年で大きく改善し、2年前と比較して、年間の新規獲得MRRの中央値が約3.5倍、平均値も2倍となり(全体の新規獲得MRRは約1.3倍)、着実に筋肉質な営業組織になってきました。 ※12月の数字は締まっていないため一部予測値を含みます。


▼標準化の一歩目に取り組んだ事

前提

The Model型の分業体制をとっており、新規受注最大化に対してはあくまでマーケ、ISとの連携が必須、むしろマーケ・ISやプロダクト開発に支えられてFSがあるという前提があります。このnoteではあくまでFSの組織運営にフォーカスを置いた取り組み共有という点をご留意ください!

【1】組織基盤の強化

営業部バリューの策定

  • ルールではなく共通の価値基準で自律駆動できる組織を作りたい

  • 特定の個人に依存せず、組織力で勝つことで再現性を生み出したい

という思いがあったので、期初に営業組織全体で合宿を行い営業メンバー全員で1年間大切にするバリューを決定しました。
それぞれの説明は割愛しますが、営業組織としての当たり前の基準を一段高くする事に大きく繋がったと感じています。


予算設定の見直し

ベンチャーではあるあるかもしれませんが、上がり続ける事業予算に対して育成や採用が追いつかず、全体予算から割り戻した現場の個人目標がインフレ=未達が常態化してチーム・個人が追い込まれて疲弊。なんて状況に陥っていました。
チームの120%を引き出し、パフォーマンスを最大化する上では適切な目標を全員が追いかけている状況は必要不可欠です。全員が悠々達成する目標であっても、達成者が1人いるかいないかの厳しすぎる目標であっても適切だとは言えず、個人的には達成可能性6割〜7割程度の目標がベストパフォーマンスを引き出せると考えています。
全体の予算から割り戻した個人予算では無く、過去の受注実績や傾向など踏まえて、グレードの期待役割に準じた個人予算の設定を徹底する形に変更しました。
また、月次/ピリオド単位での達成状況を常に可視化し明確に勝ち負けを意識して全員が真っ直ぐに予算と向き合える環境を作りました。


【2】チーム体制の変更と役割の明確化

規模別のチーム化

これまでは規模問わず全営業が全方位に営業活動を行っていましたが、規模別に役割を分けた組織運営に変更しました。

  • 実績あるセールスのリソースをEnterprise領域に集中

  • SMB領域で新人セールスの育成

SMB領域とエンタープライズ領域では求められる営業力に大きな違いがあります。弊社ではSMB領域はリードタイムも1ヶ月程度で比較的プロダクトセリングに近い形で早期に成功体験を積みやすい領域になるので、まずはSMB領域で成功体験を積んだ上でEnterprise領域(インサイトセールスのスキルが必要)に挑戦するステップを明確にしました。
また、それぞれの領域で伸び代も異なるので、役割を分けたことで成果最大化に向けた改善が進みました。
SMB領域=受注率の伸び代が小さく、受注件数が多い為、単価向上に向けて値引き率改善とオプション提案の強化に注力
エンタープライズ領域=受注率の伸び代が大きく、単価が大きく1件が全体に与える影響が大きい為、受注率の改善に注力
など、それぞれの領域毎で現在進行形で改善を進めています。


KPI指標の設定

前提として、新規受注を安定的に拡大していく上では、エンタープライズ領域の受注に再現性を持たせる事が最重要課題だと捉えていましたが、毎月”特定の大型案件が受注出来れば達成 or 特定の大型案件が月ずれ or 失注したら未達”という自転車操業が続いていました。

<as is>
・特定の大型案件に予算達成が依存する状況
・限られた案件を、再現性の無いセールスの強引な手腕で受注
・自転車操業的に特定の案件が月ズレ、失注になった時点で未達
<to be>
・特定の大型案件に依存せず予算達成見込みが早期に確定
・目の前の担当者様に”TUNAGを導入したい”と思ってもらう事に注力
・常に先を見て、当月達成をギリギリの戦いにしない案件マネジメント

ファネル分析を行う中でEnterprise案件は”担当者価値合意”が受注までの中間指標(担当者価値合意からの受注率が約40%)であり、パイプライン化⇨担当者価値合意率が最大の伸び代である事もわかったのでチーム全体で”担当者価値合意数”を最重要KPIとして、受注予算と同じ温度感で数字を追い提案方法のアップデートも進めていきました。
Enterprise案件については、こちらがコントロールしきれない事象がどうしても発生しうるので”この案件が受注できなかったら未達”という状況をいかに作らないか、重要先行指標を明確にしてセールスのやるべきことをシンプルに、まずは目の前の担当者様にTUNAGの価値を届け切ろう!と振り切りました。


【3】セールスイネーブルメントの取り組み

上述の通りでセールスのボトムアップが重要だったので、トップクラスに成果を出していたセールスの工数を半分イネーブルメント領域に使ってもらう意思決定をしました。具体で取り組んだことは下記内容になります。

コンテンツの整備、拡充

営業成果を標準化する上での最大の武器がコンテンツになります。TUNAGはプロダクトの特性上、訴求軸が多岐に渡るため、初回商談資料も7種類用意している状況です。

  • 受注、失注傾向を元に受注インパクトと即効性の観点で優先順位をつけて資料整備

  • 大型の展示会出展など特定訴求軸の商談数増加に備えた売り方アップデート

など、成果に繋がりやすいものから優先順位をつけて、下記コンテンツなどを増加させました。

・各訴求軸毎の初回商談資料のブラッシュアップ
・費用対効果が明示できる導入事例資料
・業界別の想定課題、活用事例、デモ画面の作成
・受注案件の商談録画ライブラリー化
・マーケット別の他社比較資料
・機能一覧資料
・社内にある既存コンテンツの活用
 (マーケ作成のWPやIS実施のウェビナー等)

また、具体提案以降の資料がブラックボックス化してる組織に凄くおすすめなのが”具体提案資料マスタ”の作成です。弊社では、月1回”新規作成資料コンテスト”と銘打って各自が具体提案時に新しく作った資料の共有⇨汎用性ある内容かを全員でジャッジしてマスタ資料に追加という作業をしています。

<as is>
・提案の幅広さゆえに具体商談資料を0から作る事が多い
・過去資料等は各自が秘伝のタレ的に手元で管理してブラックボックス化
・セールスによる資料クオリティの違いなど品質が担保できない
<to be>
・提案の幅広さゆえに一部資料を0から作る事は必要
・類似ケースの資料にすぐアクセスでき参照できる
・資料作成時間の短縮で顧客に向き合う時間が増える
・1人の提案が全体の提案クオリティ向上に繋がる


スキルマップの作成

TUNAGのセールスがなぜ難しいのか?セールスとして独り立ちするためにはどんなステップが必要で各フェーズ毎にどんなスキルが必要になるのかを共通言語化する為に、トップセールス2名を巻き込んでスキルマップを作成しました。弊社営業組織のバイブルでもある”無敗営業”の内容を参考にしつつ、下記ステップで自社のプロダクトだからこそ必要になる要素を盛り込み作成していきました。
①自社の営業フェーズを言語化
②フェーズごとでの必要スキルを整理
③自社のハイパフォーマーへのヒアリング


まだまだ日常的な活用まで落とし込めている状況では無いですが、定期的な振り返りの機会で「今自分がどこにいるのか」「次のステップに向けて必要な事」を認識しやすくなりました。個人的にはメンバーが"できるようになった事を実感"できるようになった事も大きかったです。


ミーティングアジェンダの変更

ここまで色々書きましたが、最終的に重要なのは商談内でのアクションに変化を起こせるかどうかです。案件精査の時間を個別実施に変更し、週3回実施の夕会をできる限り他メンバーの商談を擬似体験して、特に新人が受注イメージや受注からの逆算で案件を進められる状況を作れるようにナレッジ共有に多くの時間を割けるように時間の使い方を変更しました。

  • フェーズアップのナレッジ共有や受注案件振り返り

  • 高確度案件の提案想定や事前準備のすり合わせ等

  • amptalkを用いた商談レビュー


終わりに

ここまでお読みいただきありがとうございました!色々と偉そうに書いてみましたが、当たり前の内容がとても多く営業を組織化していく上で最低限の事がやっとやれた状況だと認識しています。
非連続な事業成長に向けて、より一層のチャレンジを大胆に進めていく必要がありますし、まだまだやれる事・やるべき事は山積みの状態になりますので、少しでも興味お持ち頂いた方がいたらぜひ一度お話させてください。

フィールドセールスに限らず、全方位で積極採用中になります!

また、フィールドセールス/セールスイネーブルメント/エンプラセールスなど共通のキーワードがある方はぜひ一度情報交換させてください!


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