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「文字をキレイに」書き、「確実に漢字を覚えられる」学習指導 〜国語の基礎基本①〜

ここまで、「学習環境を整える」シリーズを書いてきましたが・・
いよいよ、各教科の学習に入っていきます!

先ずは、国語です。基本中の基本である、ひらがな、カタカナ、漢字の文字の習得の指導についてから、始めていきたいと思います。

文字の習得の学習は、低学年のうちは丁寧にやりますが、高学年になるにつれて、文字数も多くなり、かけられる時間は減っていくと思います。
いかに低学年で文字の習得の基本を定着させられるか、は、重要になってくるのではないでしょうか。
背景や状況によりますが、大方、小さい頃から文字を丁寧に書く子は、その後も丁寧に綺麗に字を書くことができる子です。
小さい頃に文字をいい加減に書くことを覚えてしまうと、その後はなかなか変えることは難しいでしょう。
となると、低学年での文字の学習でどんな風に字を書くか、が、かなり重要であることが分かると思います。

というわけで、一年生のひらがな・カタカナ・漢字の学習について書いてみたいと思います。もちろん、これから書くことは、二年生でも三年生でも、応用可能です。実はひわちゃん も、二年生や三年生の書字の学習で、雑に書くことに慣れた子に大ナタを振るったことがあります。大げさに聞こえるかもですが、「戦い」でした・・・
が、根気よく指導した結果、文字が劇的に変化したことがあります。
ので、本当に書字をどうにかしたいならば、できないことはないのですが、一番いいのは、やはり一年生でしっかり書字を身につけさせることだと確信しています。

余談になりますが、書字が苦手な子はやはり、一定数以上います。無理強いすることはないと思います。しかし、その見極めは、慎重にするべきだと考えます。なぜなら、ある年、一年生の1〜2学期は、いくら根気よく指導してもなかなか変わらない、難しいかな・・・と思う子がクラス31名中3人ほどいましたが、その子達全員が、3学期後半になると、驚くほど字形が整ってきて、文字が大きく変化したのです。補填に入ってくださった先生に、「このクラスはみんな字を丁寧に綺麗に書くことができますね。」と驚かれました。

字が少々雑でも、漢字を覚えればいい、という考えの先生は実は多いです。(これまで出会ってきた感じでは)しかし、教員生活を数年やっていれば、「文字を丁寧に書く子ほど漢字をしっかり覚えられる」ということは、経験として分かると思います。(例外も稀にありますが)そしてそれは本当で、上記の3名は、漢字やカタカナも、それ以前よりもグンと覚えられるようになりました。

さて、余談が長くなりました。一年生の文字指導に入ります。
文字の教え方は様々あると思いますが、ノートに下敷きを挟むことを先ずは徹底します。以前、机の上の配置について書きましたが、もちろんそれも徹底します。鉛筆も、必ず家で削ってくるようにし、ちょうどよい長さの鉛筆を持っているようにします。そうすることで、まずは学びの場を整えます
(気持ちも切り替わります)

新たな文字が出てくる教科書の記述をもとに、その使い方や読み方を確認したりします。文字の習得用ドリルを用い、書き順を確認します。
書き順ですが、「なかなか子どもたちが書き順を覚えられない」と、言語の専門家に相談したことがあります。
その時に教えてもらったのが、立って、全身を使って大きく書き順を確認しながら空書きする方法です。それまで手だけ使ってやっていたのですが、それでは字形の認識が甘かったのかもしれないと思いました。小学生なら楽しんでできると思います。高学年でも、学級経営次第ではエクササイズのように楽しみながらやれそうです。
教え方は色々なやり方が書籍などでも出ているので、自分に合ったやり方でやればよいと思います。

今回、ひわちゃん が大事だと思っていてお伝えしたいのは、子どもたちが「書いて練習する時」のことです。
「ここからは子どもたちが主体的にどんどん進めてよい」、としている先生が多いでしょうし、私自身も長らくそうしていました。
しかし、最近一年生の指導をした際に、ここで一手間加えて指導することで、文字の丁寧さや字形の取り方、覚え方が全く変わってくることを実感しました。まさに、ここが文字指導では課題になる部分です。

学年が上がるにつれて、ここにそんなに時間をかけている余裕はなくなるのは確かです。5・6年では無理かもしれません。ただ、やるとやらないでは雲泥の差が生まれると、今ならわかります。
文字の学習は、ただドリルを終わらせればいいのではありません。正しく覚え、書けるようになり、活用できることが目的です。=イコール語彙の学習でもあります。
三年生ぐらいまでに、文字習得の仕方を子どもたちがしっかり身につけ、自分たちでそれができるようになっていれば、高学年でも楽なのではないでしょうか。しかし、高学年でも毎回ではなくてよいので、要所要所で指導し、意識を高めていかなければ、その継続は難しいと思います。

さて、実際にひわちゃん が一年生の指導でどうやったかを書いていきます。そんなに色々やったわけではありません1つです。簡単です。シンプルです。
それは、「ぐるぐる子どもたちの机の間を回ってどんどん書いている側から赤で直す」です。「ここは、もう少し曲がるよ」とか、「ここは、こういう風にはらうよ」とか、「ここは、これぐらいの長さで」とか、言葉を添えながら、です。
最初に数文字練習する際にこれを全員に対してやります。
全員に対してその場で、というと、大変そうに思われますが、33人に対してぐるぐる回って指導するのにかかる時間は2〜3分でした。
そのうちに、丁寧に正しく字形をとることができるようになってきますから、1分ほどで見て回って終わることができるようになります。

そして大事なのは、基礎基本の指導の全てに言えることですが、「根気よく継続する」ことです。年度始めだけではなく、毎回やるのです。「一度言えばできるようになる」わけがありません。何度も何度も同じように指導することで、子どもたちがコツをつかんでいくのです。そして、見違えるような文字を書くようになります。この一手間をかけることにより、メリットはたくさんあります。
1 子どもたちの字が綺麗になる 
2 文字を正しく覚えられる 
3 ノートに書く文字も綺麗になる 
4 読める(なんて書いてあるかがわかる笑) 
5 「丁寧さ」が身につく 
6 書字の学習時に、落ち着いたしっとりとした空気が生まれる 
7 ドリルを丸つけするのが楽!!(みんな上手に書けているので、大きな二重丸を描くだけでいい)

さて、その後の練習ですが、漢字を覚えるために、ミニテストなどをする場合が多いと思いますが、一年生では、ひわちゃん はミニテストは行いませんでした。
やったことは、国語のノートに、こちらが言った漢字を書かせる、ということです。子どもたちは、「聞いて書く」教師は、一つ問題を出して、シンキングタイムにまた「机の間をぐるぐる回って、間違っている子に教えたり、直して回る」ということをやりました。その後黒板前に戻ってきたら、答えを書きます書けなかった子は書き写します。これを、繰り返します。なぜか、この活動は子どもたちに大人気で、「ノートに漢字練習やるよ」というと、大喜びします。謎です。

この練習を繰り返しやることで、どんどん漢字を覚え、書けるようになっていきます。ある程度手応えを感じたら、漢字テストをやります。すると、ほとんどの子が9割以上取れます。

書いてみて改めて気が付いたことなのですが、一手間「机の間をぐるぐる回って個別指導」をすることで、その後の教師の手間が格段に減るということです。
授業中、何度もぐるぐる回って何度も個別に声をかけますが、思うより大変ではありません。
むしろ、子どもたちの学習がよく見えて、児童理解がものすごく深まりますノートもその場で見ちゃうので、集める必要もありません。

高学年になると文字数がめちゃくちゃ多いので、こうはいかないと思いますが、時々このような指導を入れるのと入れないのでは、全然違う気がします。

昔から、「机間指導」という言葉がありますが、この言葉よりも、「ぐるぐる指導」と言った言葉の方がしっくりきます。1時間の授業の中で、ぐるぐる何回も何回も回るからです。
なので、以前書いたように、机の配置は余裕がある方がいいです。

さらに、並びはシンプルな方が、移動しやすく、両側を見れば動線もシンプルになります。
そして、一人ひとりとのコミュニケーション量がすごく増えます。学級経営上も、とてもいいかもしれません。
一人ひとりのノートを常に把握しているので、子ども同士の学び合いを促進する時に、子ども同士を繋げることもその場で瞬時に判断してできます

ここまで書いてみて思ったのは、文字の指導はすべての学びの基本だなということです。
学び方を覚え、習得し、活用できるようになります
また「書く」ことはアウトプットの最も重要な要素の一つです。
文字を「書く」ことが億劫では、自分の考えを表現することもさらに億劫になってしまいます。
デジタル時代ですので、PCやスマホで打ち込めれば良い、という場合ももちろんありますし、それが必要な子もいます。
しかし、文字を書く場面というのは、生きていく上でめちゃくちゃたくさんあります。減ったとは言えど、なくなることはないでしょう。
文字を書くことは、「教養」なのです。

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