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書評_遺伝子とは自己複製子であり_我々は人間はその機械である__利己的な遺伝子

【書評】遺伝子とは自己複製子であり、我々は人間はその機械である!『利己的な遺伝子』
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衝撃的な見出しで信じられない人もいるかもしれませんが、当著で提案され、当時賛否両論が巻き起こった本である。遺伝子とは「自分のコピーを残すこと」を目的とした自己複製子であるという主張です。

この前提を頭に入れて読み進めると、世の中のあらゆる行動や現象が思っていることが正反対という事が分かります。例えば動物が外敵から子どもを守る行為は、一見利他的(他人の為の行動)と思われるが、実は遺伝子目線で考えると利己的(自分勝手)である。これはその親子関係ではなく、その動物全体の遺伝子で見ると遺伝子コピーを残せる可能性のある子どもを守る本能が働いているからである。

この他にも「なぜ世の中から争いがなくならないのか」「なぜ男は浮気をするのか」「雌雄の争い」も同じ理屈で利己的な遺伝子を説明しています。これは個人的な意見ですが、「自己複製子が生き残ることに注力する」という事は、インフルエンザやコロナウィルスの変異もワクチンに対する抵抗=複製子が生き残る当然の活動(毒性が強すぎると人が死亡するので、弱毒性にして感染力を上げる)と理解できます。

このような話を聞いていると、人間=機械と思われがちですが、こういった遺伝子の本能に唯一対抗できるのが人間で、それは文化的な概念「ミーム:例えば宗教とか哲学」を持っているからであると説いてます。確かにミームによって現在様々な生き方やライフスタイルがあり、確かに本能に抗う事が出来ているように思えます。

少し難しい本ですが、解説動画なども見ながら遺伝子側の目線で見た世の中の動きを見れば、新しく面白い視点に気づかされると思います。



利己的な遺伝子 40周年記念版
作者:リチャード・ドーキンス
発売日:2006年5月1日
紀伊國屋書店

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