snow drop

ふと雪が恋しくなった。

やっぱり
北国で育ったからだろうか。
それとも単に雪が好きなだけなのだろうか。

雪は白くない。

そんなことに気がついたのはいつだったんだろう。

月明かりに照らされ
しんしんと降る雪は美しい。
オレンジ色の街灯が
暖かさを運んでくれる。

まだ誰も歩いていない新雪の雪は
青白くもうすぐやってくる朝をひっそりと待っている。
そう雪は美しくわたしの記憶を彩ってくれる。
どんなに悲しい記憶でさえも
どんなに切ない記憶でさえも
雪は美しく彩ってくれる。

そんな気がする。

あの雪の夜
追いかけたあの人の後姿をふと思い出した。

もう随分と前のことなのに・・・。

わたしには精一杯の恋だった。
あんなに精一杯の恋をあれからしていない。
どうしてあんなに好きだったんだろう。
そんなことを思えるようになった。

あのときスマートな恋が出来ていたら
誰にも迷惑をかけずにすんだのかなぁ。
そして今は違う場所にいられたのかなぁ。

過去を振り返るのはあまり好きじゃない。

だけれど
もし、戻れるのなら
あの頃のわたしに出会えるのなら
あの頃のあの人に出会えるのなら
伝えたいことがある。
そんな気がする。

美しくはなかったけれど
素敵ではなかったけれど
わたしは雪の中を走った。
追いかけた。
伝えたい想いがあった。
本当に本当に好きだった。


降り続く雪がちょっとだけ
わたしの悲しみを彩ってくれる。

ふと思い出してしまったのは
きっとあの人の誕生日が近いから。

わたしは誰よりもあなたの幸せを願っています。

もう届かない思いを空に託してみる。

2007.1.1ー明媚的月光

季節外れの話ですが、
この時期にも思い出す人です。
どこで何をされているのか、
会いたくても会えない人です。
こんなとき、交友関係が狭いわたしは損だと思います。
もてる人脈を駆使して、繋がりをたどってあってしまうことができる人もいると思いますが、
わたしには何の手がかりもありません。
探し出したいわけではないのですが、
ふと、彼はどうしているのだろうと思うことが時々あります。
普段は意識の中にいないので不思議です。

北海道の夏は爽やかです。
そして駆け足で過ぎていきます。
彼もまた、爽やかにわたしの記憶で
生きている人です。
最後に会ったのが夏でした。
偶然、再会して立ち話を少しだけしました。
その後ろ姿を今でも覚えています。
もし、会えるのなら
あの冬の約束を覚えてるか聞いてみたいです。
あなたの精一杯の優しさできっと今のわたしがあるんだと思います。
なんて素敵なことは言えないと思います。
本当に好きだったんだとぶっちゃけてしまうか
ずいぶんとご迷惑をおかけしましたと、頭を下げるか
気持ちだけはあの当時に戻ってしまうかもしれません。
そんな小さな恋のお話でした。

自分の人生の中でほんの一瞬の間、
青春だったと呼べる時間。
こうやって振り返る年代になったのだと
しんみりしています。

いつも少しドラマ仕立てで
ハッピーエンドではないかけれど
想い出は
いつまでも綺麗なままで。

あなたの大切な想い出がいつまでも鮮やかでありますように。
羊でした。







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