沖縄とわたしの首ーいつかまたあの場所へ

20代の頃、無性に沖縄に行きたくなり5日ほどわたしは沖縄を彷徨った。

そんなことを書いた気もするのだけれど、どこに書いたか記事を見つけられないのでもう一度、記憶をたどりながら沖縄の想い出を残してみようと思う。

というのもチェーンナーさんのこちらの企画が呼んでいたのです。

そして、このチェーンナーさんのnoteで知ったひがちゃん@沖縄さん。

のっかり企画のおおもとはこちらのひがちゃんさんが始められた沖縄レトロ旅行社というものらしいです。

レトロな沖縄…そっか、わたしが沖縄に行ったのはもう20年ほど前になるんだ。
あの時、全てを捨てて沖縄に残って生活していたら一体、どんなことになっていったんだろう。ふとそんなことを思うのです。でもできなかった。
帰りの飛行機のチケット変更ができたらもう少しだけ長くいたのかもしれない。けれど、それもできなかった。
これは後悔なのだろうか。肝っ玉の小さかったわたし。意気地なしのわたし。また、必ず来るんだと心に決めて後にした沖縄。

わたし、沖縄に首を置いてきたんです。

おかしなことを言っているでしょう?分かってるんですけどね。でも、そうとしか言えない夢をわたしは沖縄で見たのです。

まぁ、夢の話ですから。怖くはないですよ。ちょっとだけ聞いてください。



わたしは北海道の島で育ったのですがこの島、北海道の沖縄と言われることもある島なんです。だから、何となく縁を感じる沖縄。それ以外はなんの接点もないのですが、20代半ばだったでしょうか、なんだか、わたしは体調を崩してしまい、仕事もできなくなってしまったのです。
ある夜寝ていたら、黒い塊がお腹の中に入っていくの見てしまって以来、ずっと調子が悪いのです。けれど、そんなこと誰に言ったところで信じてはもらえず、わたし自身も熱でうなされていたのだろうぐらいの気持ちでやり過ごすしかありませんでした。
そんなわけでしばらく療養をして、また職に就くのですが、そこでもなんだか体調がすぐれないのです。そんな時にここではないどこかへ、いや、沖縄へ無性に行きたくなったのです。きっと北海道から遠くへ行ってみたかったのでしょう。けれど、予算的に海外には行けなかった。その程度の理由です。
原因不明の体の痛みと痺れによって入院していたせいで、筋力もすっかり落ちましたが、赤い大きなスーツケースを引きずりながら、わたしは沖縄へ向かいました。もっと身軽にいけばいいものを…。旅慣れしていなかったのだと思います。そして、そんなスーツケースでバックパッカーご用達のドミトリー的なお宿へ。スマホのない時代。よく、調べていったものです。

沖縄へ、若い女性の一人旅。きっと怪しかったに違いない。
夜な夜な飲み歩く、ルームメイトたちをよそにわたしは一人、早朝に動き出し、夕飯時に帰ってきてはシャワーを浴びて寝る。

沖縄で一体、わたしは何をしていたのか。

何もしなかった。ただ、沖縄で息をしていた。

国際通りを起点にひたすら歩いていました。
近くの海辺へ行き、公設市場へ行き、市内をただプラプラです。
首里城まで歩いて行けると思い、歩きだしたはいいものの、うっそうと茂る草木をかき分け、大きな木が生えている場所にたどり着く…迷子です。
そして玉陵にたどり着きました。
一度、中で見ていきなさいと言うようなことを、まさにおばぁという風貌の方に言われて、そこがどんな場所かも知らずに、中に入るも、もう、歩き疲れて地べたに座り込んでしまった。
玉陵、とても静かで、なんだか子宮の中に戻ったような感覚になり、涙が止まらなくなり…そんな不思議な体験をしました。
この日
首里城にはたどり着けずいたのですが、なんだか気持ちがすっきりして、せっかく沖縄に来たのだから行けるところは行ってみなくてはと
翌日、リベンジ、どうせなら、沖縄中を巡っていようと
レンタカーを借りに行くも、「おねえさん一人でしょ?沖縄、運転したことないでしょ?危なくて貸せない」と断られ観光バスを勧められサラリーマン風のおじさん2人にわたしという奇妙なご一行で観光もしました。
首里城、パイナップルパーク、美ら海水族館、琉球村、鍾乳洞、ひめゆりの塔、平和祈念公園など1日かけて巡りました。
どこでも1人。
でも、ちっとも寂しくない。
沖縄はいたるところで魂というのか命の重さやこれまで続いてきたような強い、深い魂の絆のようなエネルギーなのか、パワーを感じる場所が多々あるような気がします。
どこでも懐深く抱かれるような優しい気持ちにもなれました。
だからぼんやりとだけれどどの場所も鮮明に記憶している。
わたしはずっとこの旅で1人だったのですが、いつも何か側にいたようなそんな旅でした。

5日なんてあっという間です。
帰りの日も朝早く起きて散歩をしてと思っていたのですが、
帰る前夜、わたしは不思議な夢を見るのです。
なんとキジムナーが笑って立ってるんです。
そして笑いながらわたしはそのキジムナーに首を斬られるんです。
それは見事にわたしの首は飛んでいくのです。

怖いんですけど
驚きなんですけど
わたしはその飛んでいった首を見て
すっきりしたんです。
あぁ、もう、これでわたしは終わったとも思いましたが
走馬灯のようなものを見るわけでもなく、
ただ、驚いていたのです。

そして、あわてて目覚めたら寝坊です。

こんなにぐっすりと寝たのはいつぶりでしょうか。

さらに不思議なのは体が軽いんです。
何かくっついていたものがとれたような爽快感。

いそいそと空港へ向かいました。

この時、わたしはどうやって実家に帰ったんだろう?

飛行機に乗ったことはまるで記憶にありません。
空港のお土産屋さんでお土産を買った記憶はうっすらとあるのですが
東京に寄り道したのかまっすぐ帰ったのか…。

その後の記憶もしばらくないけど何をしてたんだろう?

どうも20代の記憶が曖昧ですが

何とかしながら生きてきたんだと思います。

あの時、無性に行きたくなった沖縄。

行こうと思えば、何度だって行けるはずの沖縄。

でも、まだ、行けていない沖縄。

そしていつのころからか、首だけおいてきたんだと思うようになって
いつか、首を探しに行かなければとも思っていて

なんだろうか、
沖縄で見た夢の話。
それだけのことなのだけれど、深い縁をもらったような、そうでもないような。
少しだけ不思議な体験をした沖縄。

想い出あふれる、素敵な場所。

羊でした。

素敵な企画、そして想い出を引き出していただいてありがとうございました。



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