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吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版書籍レビュー

 夢や目標を立て、行動を始めたが、なかなか時間が取れない等の理由で、中途半端で終わってしまった経験を持っている方は、多いのではなかろうか。

 本書は、社会人をはじめとする、限られた時間で、自分の目標や夢を叶えるために、資格取得、勉強、活動等を行う人々に向けた、あるべき目標の捉え方、正しい計画の立て方、実行に結びつける分解時間術を紹介したものである。

 はじめに、著者が冒頭に記した文章を紹介する。

 本書は、普段、仕事や子育て、家事、介護などやることを多く抱えながら、限られた時間の中で、夢や目標に向かって動こうとしている方に向けた時間術を紹介します。(中略)
 せっかく見つけたやりたいことや目標、夢を実現していくために重要な「動く」「動き続ける」ことを、だれでも取り組めるように解説します。(中略)
 時間術は、時短や効率化のノウハウだけ学んでも意味がないのです。なぜなら、ノウハウが必要になってくるのは、時間の整理をしたあとからだからです。(中略)
 まずは、あなたの時間を全部広げてから整理していく必要があります。(中略)
 大事なことは、「納得感」。納得感というのは、自分で選択して、自分で決めて、自分で動いた結果だからこそ、得られるものです。これがまさに、自分の人生の手綱を握るということです。
 人生というのは、日常の時間の積み重ねで作られています。つまりは、「充実した人生=時間の使い方の手綱を自分で握る」ということです。
 だからこそ、自分でやりきったという経験を何よりも大事にして欲しいのです。(中略)
 一点だけポイントがあります。
 それは「やりたいことという漠然としたものを現実の一歩に落とし込む」ことです。
 ビジョンから長期目標へ、長期目標から短期目標へ、短期目標から今日やることへ。この棚卸が夢を叶える肝と言えます。つまりは、分解時間術です。
 誰もが平等に与えられた1日24時間という財産は、どう使うかでその価値が変わります。自分が時間のコントロール権を持って、主体的に生きていくべきです。
 分解時間術で、まずは行動の一歩を。そして行動の継続で、目標や夢を叶え、人生を豊かにしていくましょう。

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

  次に筆者の吉武麻子氏について触れる。筆者は、大学卒業後、旅行会社勤務を経て、26歳で韓国留学。その後、現地法人でキャスティングディレクターとして24時間365日仕事に追われる日々を過ごす。
 帰国後、キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスを上げていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ3000人以上に指南。心地よい時間の使い方で、ありたい未来をつかみにいくための「タイムコーディネート実践プログラム」や「タイムコーディネイター養成講座」を開講。TIME COORDINATE(株)を経営するタイムコーディネーターである。

本書は、
第一章:目標達成は計画が8割
第二章:1年目標の分解計画術(1年目標→3カ月目標)
第三章:1カ月目標に分解する(3カ目標→1カ月目標)
第四章:1週間・1日の目標に分解する(1カ目標→1日目標)
第五章:計画が思うように進んでいないときには
第六章:計画を振り返る
第七章:目標達成に効果的な手帳の使い方
の構成で、目標達成のための時間術を紹介している。

まず、目標達成は計画が8割について

筆者は、多くの人々が時間管理が自己流であることを指摘する。

 ほとんどの人は、目標の立て方や、目標を達成するための計画の立て方を学校で教わったことがないでしょう。試行錯誤しながら自分流の計画術をあみだしたり、とにかく量をこなすことで目標達成に近づいていったはずです。(中略)
 しかし、大人になってみると、10代と同じ体力はなく、目標のために動ける時間は限られるようになりました。(注力)
 このように、計画の立て方、時間の使い方が自己流だと、行動量で切り抜けることになかねません。(中略)
 大事なことは、目標を立てることではなく、目標達成までの計画の立て方、もっと言えば、時間の使い方です。目標が達成するまで、夢が叶うまで、自分が動き続けられる行動計画を立てることが重要なのです。

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

そして、目標を達成するために必要な3つの要素を上げる。

〇必要な要素①:達成したくて仕方がない「目標」
 具体的な目標を掲げるときに、目標達成時に「どんな自分でありたいのか?」を描くことです。(中略)
 そうすることで、終わりのないランニングマシンを走り続けるのではなく、自分の生きたい人生を自分で舵取りして実現していくことができます。
 すると、目の前の目標も「やらねば」ではなく、「達成したい!」「達成したくて仕方がない!」という気持ちで向き合えるのです。
必要な要素②:実現可能な「計画」
 実現可能な計画とは、短期的視点で見ると、まさに予定通りに進められる計画のことを言いますが、中期的視点、長期的視点でもチェックしていく必要があります。
 どんな人生を生きたいか?自分がどうありたいのか?これをここでは「ビジョン」とします。
 このビジョンから「長期目標→中期目標→短期目標→目の前の目標」とすべてがつながっていることが重要です。
 自分の価値観を大事にしながら、時間管理や計画術、習慣化等のテクニックを取り入れて行動していくことが、人生を豊かにする目標達成の方法と言えます。
必要な要素③:未来を変える今すぐの「行動」
 目標や夢は今すぐ実現できるものではありませんが、未来を変えられるのは今すぐの「行動」です。まずは、自分がどういう状態であれば一歩踏み出せるのか、考えていきましょう。(中略)
 ところで、20秒ルールをご存じですか?
人間は取りかかるまでに手間がかかることを先延ばしにする傾向があることから、よい習慣を増やしたいときには、その行動をするのにかかる手間を20秒減らすとよいと書かれています。
 目標や夢に向かって行動するために、まずは小さな行動にして一歩を踏み出す。あわせてそれを毎日の習慣にしていけば、目標に向かって行動し続けることができます。

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

そして、目標の分解計画術を説明する。

〇「大」から「小」への分解計画術で目標は達成できる
(1)目標を長期・中期・短期に分解する
期間は、3~5年、1年、3カ月、1週間、1日でセットする。時間を分解していくことで、現実的な目標、具体的な行動タスクにしていく
(2)タスクを分解する目的
①心理的負担を減らすため
・人は、超えるべき山が大きいと「取りかかりたくない」という心理が働く
②正確な見積もり時間を割り出すため
・誤差を少なく、現実的な見積もり時間を割り出せると実現性が高まり自信につながる
③行動の一歩をすぐに踏み出すため
・自分が一歩を踏み出しやすいタスクの大きさにする

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

次に1年目標の分解計画術

■1年目標の分解計画術(1年目標→3カ月目標)
〇1年で成し遂げたい目標を設定する
ビジョン「価値観の書き出し」長期目標「得たい結果の書き出し」を行う
・生き方と目標にずれがないかを確認するために、まずは生き方について考える必要がある
1年後にフォーカスして「1年目標」を書き出す
・なんとなく頭の中にあるままだけのものと、つたない言葉でも書き出して視覚化したものでは、変化の速さに雲泥の差が生まれる
〇「1年目標」を4つの「3カ月目標」に分解する
なぜ3カ月目標に分解するのか?
今すぐ取り組めるタスクに棚卸ししやすい
・持ち時間を現実的に把握できる
・3カ月目標があなたの人生で大事にしたいこと、つまりは「ビジョン」を叶えることにつながるのか?ということを必ずチェックする
3カ月で1プロジェクトにする
・緊急性が高まる前に、重要なことを優先的に進めていく。緊急性の低い状態のうちに、3カ月目標を1つのプロジェクトとして考え、優先的にスケジュールに組み込んで進める。
1年目標を4つの3カ月目標に分解する

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

次に1カ月目標の分解計画術

■1カ月目標に分解する(3カ月目標→1カ月目標)
3カ月ガントチャートで3カ月の時間を見える化する
・だいたいどの時期に何に取り組むかが明確になるので、順調に進んでいるか、すぐに確認できる
3カ月目標から1カ月目標に分解する
①3カ月後、何を達成していたいか?(3カ月間のテーマ)
②成果として何を得ていたいか?(3カ月後のゴールを数字で決める)
③②の得たいゴールを達成するための具体的な方法を考える
④②の得たいゴールから逆算してマイルストーンを置いていく
⑤②の得たいゴールを達成するのに必要なタスクを細分化する。行動ルールも書き出しておく
タスクも「大」から「中」に分解する
・1カ月を上旬・中旬・下旬に分けて、3カ月の大タスクを10日ごとの中タスクに分解する

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

次に1週間・1日の分解計画術

■1週間・1日の目標に分解する(1カ月目標→1週間・1日目標)
〇タスクは1週間単位で管理すると余裕が生まれる
・突発的な事態にも対応でき、臨機応変にやるべきことを確実に進められる
〇1週間で、目標や夢のために動ける時間が何時間あるか把握する
・時間を見える化し時間が限られているということを常に自分に意識させる
〇目標や夢のために動ける時間を最初に確保する
・目標や夢のために動くといったような、緊急性は低いけれど重要度の高いタスクを、緊急なタスクになる前に、前倒して取り組む。その時間をブロックして死守する
〇その時間をスケジュール帳に書き込む
・目標や夢に向けての時間を手帳やアプリに予定を組み込む

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

最後に、筆者が考案した「タイムコーディネート手帳」を紹介する。

吉武麻子「目標や夢が達成できる1年・1カ月・1週間・1日の時間術」かんき出版より

 以上が、本書の概要である。

 本書を通した私の気づき、学びは、

〇目標は、「どんな自分でありたいのか?」と繋がっていることが大切。このことが、目標達成のための自発的な意欲、行動の継続につながる。

〇目標は達成のためには、「大」から「小」への分解計画術が重要。このとき、自分が行動、継続出来る、現実的な目標、具体的な行動タスクにしていくことが必要。

〇緊急性はないが、”自分の目標や夢のためにつながる目標、行動のための時間”を確保するのが大切。

である。

 本書には、
・分解時間術の詳細な解説
・計画が進んでいない時の対処の仕方
・計画の振り返りによる計画実現性のアップ、軌道修正の仕方
・目標達成のため効果的な手帳の使い方
にも解説を加えており、圧倒的に行動化が進む時間術を学ぶことができる。多くの目標や夢に向かって行動している方々に一読をお勧めする。


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