見出し画像

読書日記ログ(2023年10月)韓国猫エッセイ、To the Edge of Sorrow、ささめごと、清宮質文、など

 マストドン(羊の時刻(荻サカエ) (@hitsujinojikoku@mstdn.nijist.info) - nijist.info(β))のログの中から、読書関係のつぶやきを抜き出してコピペ。

2023/10/06

 韓国語の辞書を日韓・韓日両方入ってるポケット版からもっと大きい韓日オンリーのやつに買い換えたら勉強の楽しさが爆発的に上がった。

「アミの塩辛を四等分した分け前のひとりぶん」
とか、
「物のざらざらした表面をトクサで磨くこと」
とか、

 こんなニッチなことを言い表すための言葉が存在するのか...! という驚きの発見ばかりで、読んでると楽しくてしかたない。辞書と言うよりこれはもう、文字で読む民俗文化博物館。

2023/10/12

“Do you view the Jew's return to their homeland as the fulfillment of God's promise?”
“I can't claim to have thoughts of this height ── I can't pretend to understand God's thoughts.”

(Appelfeld, Aharon. A Table for One. Toby Press LLC,2007. p.126 より抜粋)

 大好きな作家アハロン・アッペルフェルドと、放送大学の国際政治の高橋先生の本をこのところ読み返している。『中東の政治('20)』は結局取らなかったのだけど、『中東の政治('24)』がもし新設されたら取りたい。
 上の引用はA Table for One収録のインタビューから。アッペルフェルドは“homeland”という言葉についても、自分はただ単にhomeという言葉を使うことを好む、と言ってる。

2023/10/16

 大好きな韓国の猫写真家・エッセイストのイ・ヨンハンさんの新刊『この子は育ってこうなります』がいよいよ明後日発売。欲しい。電子でも出るだろうけど紙で買いたい。けどまだ手持ちの既刊×2冊を読み終わってない...。

2023/10/16

 そういえば、飼い主が自分のことを卑下して自称する言葉は日本では「下僕」だけど、韓国では「執事」と言うらしい。
韓国の猫マンガや猫エッセイを読んでて知った。所変われば下僕も変わる。

 あと、日本では猫が長生きすると「猫股になる」と言われてるけど、韓国では飼い猫が二十歳を迎えることを「猫を大学に入れる」と言うらしい。インテリにゃんこ。

2023/10/17

 今日読んでるのは途中まで読んで長らく積ん読になっていたAharon AppelfeldのTo the Edge of Sorrow。
 第二次大戦中、パルチザンに加わったユダヤ人の少年が語り手。
 ユベール・マンガレリ『四人の兵士』とか、マリオ・リゴーニ・ステルン『雪の中の軍曹』とかを思い出す。
 訓練と略奪と喪失が続く終わりの見えない過酷な日々のなかでの、読書会や温かいスープのささやかな幸福、そしてまた喪失。

 読むのがしんどくて途中で止まってしまってたけど、読むのが止まってた箇所の季節がちょうど10月中旬で、現実の季節と同じだから、今なら気持ちが入りやすい気がする。

2023/10/19

 来年の手帳を購入。もう15年くらいちくま文庫手帳ユーザー。
 時々浮気するときもあるけど(ミニサイズの星座早見盤がついてる地人書館の天文手帳とか)私にはこれが一番使いやすい。

 天文手帳は私にとっては「使う」よりも「読む」のが楽しい手帳だから、ちくま文庫手帳を買ったからと言って天文手帳を買うのが無駄遣いということにはならないんだよなー...と思うとまた買いたくなってくる。 

2023/10/20

 Aharon AppelfeldのTo the Edge of Sorrow読了。
 すごく良かった。The Man Who Never Stopped Sleepingと同じように、悲しくて強いジュヴナイル。
 戦争が(正確には、そのずっと前の「平和な時代」から、そして戦後にも在り続けることが示唆されている「普通の人々」の差別感情が)少年時代を破壊する残酷さを、憎しみではなく痛みで語る研ぎ澄まされた文体。
 ぜんぜん魔法とかファンタジーの話ではなくてユダヤ人少年がパルチザンとして戦う話なのだけど、読んでるあいだ『クラバート』をずっと思い出していた。

2023/10/24

「まいにちハングル講座」、10月はいったん基本のキにまで戻ってたからちょっと退屈なこともあったけど、先生の話し方と声が優しくて毎日聞けてる。来月も続けられそう。
「ステップアップハングル講座」は、文法の話にちゃんとついていくためにはちゃんとした文法の本を買わないといけなさそう。買おう。

2023/10/25

“「生卵っておいしいよね」
 程度のことを言っている人は認識が甘い。
「生卵ってものすごくおいしいよね」 
 と言う人の認識が正しい。
 生卵って、イクラやウニに匹敵するぐらいおいしいものなのに人々はそのことに気づいていない。
 あまりに値段が安いために、値段が評価を誤らせているのだと思う。”

(東海林さだお『ホルモン焼きの丸かじり』文春文庫、p.51より抜粋)

 卵の値段がどんどん上がっていってた頃、東海林さだおのこのエッセイをよく思い出していた。
 以前は400円しなかった近所の公園の喫茶室の卵サンドも一時期960円まで上がってた。今はちょっと落ち着いて650円。まだ高い。
 でも、味で値段を決めるとしたらまだまだ安すぎるのかもしれない。

2023/10/25

 古本屋さんに寄ったら110円棚にBIRDERバックナンバーが入ってたのでついまとめ買い。
 そして220円棚に小学館『日本古典文学全集』がバラでいくつか入ってたので、厳選して2冊だけ。『連歌論集・能楽論集・俳論集』は、能楽論は新潮とか岩波とかで持ってるけど連歌論の心敬「ささめごと」が手元に欲しくて。『謡曲集(1)』は、手持ちの新潮日本古典集成に収録されてない演目が入ってるのと、注釈が充実してるので購入。 
 
 帰り道、重たくて痛くて手の指がちぎれるかと思った。徒歩で買う量じゃなかった。

2023/10/28

“私は精神的空間の澄んだ空気を作り出したいのだ。私の絵の中に。
そしてその中で呼吸したいのだ。”

(『内省する魂の版画家 清宮質文展』小田急美術館/財団法人NHKサービスセンター p.82より抜粋)

 ここ数日急に気温も匂いも秋から冬になっていってる感じがする。大気が澄んで、空が静かに深くなって、清宮質文の版画の空気だ。