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猫写真の無い猫日記/虹を見た

 夕食のおかずの作り置きを終えて火を消したとたんものすごい雨音。すごい夕立。 
 換気のために開けておいた居間の窓を閉めに行くと、東の空に大きな虹が出ていた。

「虹だよ! 虹! 見て! 虹!」

 猫先生はあさってを向いてどこ吹く風。
 なんとか窓を見てほしくて身振り手振りで「窓」「見て」と伝えてみるも、猫先生が不審げな目で見るのは窓ではなく怪しく激しく動く私だけ。
 かくなる上は是非も無し。
 抱っこがあまり好きではない猫先生だけど、抱っこして窓辺までダッシュ。虹はまだ出てくれていた。

「見てほら。虹! ほら虹!」

 猫先生が虹を見たのかどうか、抱っこしているあいだ後ろ頭しか見えていなかったので断言はできない。

(なんだってんだよ……)

 そう言っているかのような、うなだれ気味の頭と耳の向きからして見てなかったんじゃないかという可能性も否定できないけれど、

「見たよね。一緒に見たね? ね!」

 強引にそういうことにして猫先生を床に下ろした。
 猫先生はススススススと素早く私から距離を置いた。