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買った本の記録(2023年6月11日)

 ウー・ウェン『北京の台所、東京の台所』と、『杉浦日向子ベスト・エッセイ』どちらもちくま文庫。

 ウー・ウェンさんのレシピは粉からこねさせられるから使ったことは無いのだけど、ぱらっと立ち読みしてみて文章が好きだなと思って購入。みすず書房の『中国くいしんぼう辞典』とか『味の台湾』とか、漢字の国の料理の話ってぜんぜん知らない料理でも字面だけで美味しく読めて楽しい。

 杉浦日向子のちくま文庫はだいたい全部買って読んだつもりでいたけど、最近また新刊が出てたとは知らなかった。
 生前に出た本ではあまり語られていなかった、「病」についての文章がまとまって載っていて新鮮。

“江戸のころ、「闘病」という言葉はなく、「平癒」といった。闘病が、撲滅駆除の叩き出しで、平癒が、来訪メッセージに歩み寄る示談ではないだろうか。たて籠もった客は、偶然か必然か、ともあれ、自分の身体を選んで侵入し、居座った。
 気難しい客だけれど、通じる言葉は、きっと見つかる。長年、病人をやっていると、そんな気がするのです。”

杉浦日向子『杉浦日向子ベスト・エッセイ』ちくま文庫、p.241より抜粋

買うまでの経緯。


 買った当時はぴんと来なくて読みかけで本棚にしまわれっぱなしだった小沼丹『木菟燈籠』を、歯科検診の待ち時間に読み返してみたらすいすい読めた。年齢のおかげかも。
 もしそうなら、以前やっぱりぴんと来なかった上林暁も今なら読めるかも。
 と、思って本屋さんへ。
 普段行かないちょっと離れた本屋さんに久しぶりに行ってみたのだけど、着いてみると講談社文芸文庫の棚が無かった。
 ということは、上林暁は買えない。(講談社文芸文庫がないお店に夏葉社とか幻戯書房とかあるわけも無く)
 手ぶらで帰るのもな…。
「困ったときはちくま文庫」が私の中で確立されているセオリー。私の好みから見てハズレ率が一番低いレーベル。(ところで個人的感想として、岩波文庫は最近全然良くないと思う)
 特にいいのが無かったら以前立ち読みして買うかどうか保留にしたNHK出版『世界史のリテラシー 「ロシアは、いかにして生まれたか」 タタールのくびき』を買うつもりだったのだけど、欲しい本が二冊も見つかったのでタタールのくびきは引き続き保留に。

追記。

  長年ふんわり抱き続けて放置し続けてきた疑問がたったいま解決した。 

結局従来からある快餐(クァイツァン)といわれる、できたてのおかずを目の前で詰める方式にしたということでした。

ウー・ウェン『北京の台所、東京の台所』ちくま文庫 p.40より抜粋

 サモ・ハン・キンポー監督の映画『スパルタンX』の原題の「快餐車」ってどういう意味なのか、この本のおかげで今やっと知ることができた。ウー・ウェンさんありがとう。