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失恋

恋人に振られた。

きっかけはなんだったとか、そんなことは心あたりがありすぎて最早わからない。

たくさん、彼を傷つけたし傷つけられたりもした。
それでも、私は2人でいる未来に向かってやっていけると信じていた。

結婚するつもりだった。

でもダメだった。

彼が何を考えていたのかは、最早わからず終いだけれど、彼は一度信じようと思ったものを最後まで信じぬこうとする強さがある人だった。

そこが尊敬していたところだったし、好きだった。

彼が一度決めてしまったことを変えることはないこともわかっているので、このことに関しては、いつまでも考え続けるつもりもない。


私にとってとても素敵な恋愛だった。
とても価値のある、時間だった。

冬が似合う人だった。
この世のものじゃないような、少し浮世離れした儚さがある人だった。
一緒に冬に海沿いを歩いた時の、彼の水面を見る眼差しをよく思い出す。
冷たい潮風に打たれて、彼の細い髪が揺れていた。白い肌が冷たい風に吹かれて一層寒そうに見えた。

別れてからは幸せについてよく考える。

「彼と結婚すること」を幸せの一旦のゴールとして、設定していた私は、やるべきことを見失っている。

これからどう生きて何をしたら、漠然としたその「幸せ」というものに近づいていくのかが、見当もつかない。

「幸せ」とは何なのだろうか。

彼の暖かさや、優しさに甘え続けていた私は「幸せ」を自分で考えることすらやめてしまっていた。

彼が幸せにしてくれるだろう。彼といれば幸せになれるだろう。そんな甘い考えが、彼に見透かされていたのかもしれない。

自分のこと、これからのこと、一歩ずつ考えて歩いていきたい。



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