宿泊人数最大9名→23名へ。創業時に完璧につくらず、だんだん部屋を増やした理由
2018年7月、ぼくは愛知県瀬戸市というやきものの産地で「ゲストハウスますきち」を仮オープンしました。最初に使えた空間は、共有スペースの和室とドミトリーのみ。宿泊人数は9名のみでした。
けれど、現在は15名。2022年には23名まで宿泊できる予定です。なぜ最初に完璧に完成させず、スタートしたのか? その理由について、お話したいと思います。
【改装の歴史】
2018年7月:仮オープン。和室の共有スペースとドミトリーのみオープン。
2018年11月:グランドオープン。洋風の共有スペースと4人まで宿泊できる個室を増設。
2019年:シャワー、和室の個室を増設。
2020年:庭を使いやすく改良。
2021年:2階を改装し、個室4室とリモートワークスペースを増設の準備中。
だんだん部屋を増やす理由
1)資金面
ひとつめはわかりやすく、最初から完璧に作り上げるほど予算がなかったため。折り合いをつけてのスタートでした。
ただ、クオリティ高い宿をめざし、2000万円を投資したとします。それで回収するとなると、お客さんが「お金」に見えてしまう。休日だけじゃ売り上げが足りないから、平日も頑張ろう。そうなって、自分が疲弊することを恐れました。
僕は、そもそも最初からクオリティ高いものを目指しませんでした。バズることも狙わない。観光地でも、都市でもないところでやりたかったのは、混まないゲストハウスにしたかったからです。
当時の僕は、本気で週3日で働きたかったので(笑)、それでも経営が成り立つように、事業計画を立てました。現在も、宿は金・土・日曜しか営業していません。
2)求められる宿がわからなかった
オープン前は、料金、予約方法以外も、コンセプト、どんな人に来てほしいか、自分がどんな宿をやりたいか、わかっているようで、わかっていませんでした。
僕はどこかのゲストハウスで修行して、はじめたわけではありません。大学卒業後に、地元へ戻り、いきなりはじめました。だからこそ、はじめる前の机上の空論では、決めきれるわけがない。そこで、やりながら心境の変化や時代の流れに合わせてやっていきたかった。
3)「ゲストハウス」ブームに対する恐れ
僕がはじめた2018年は、ゲストハウスがどんどん立ち上がっていた真っ盛りでした。ゲストハウスは、日本に長く根付いていた宿泊スタイルではありません。持続するのか?ドミトリーの需要もどれだけあるかわからないと思いました。ひょっとしたら、廃れてしまう可能性があるので、部屋構成や間取りを決め切ってしまうのはやめました。
4)終わらない物語をつくりたかった
僕が旅するなかで好きな点は、地域のことを知っている人のところに会いに行くこと。それが結果として宿でした。
宿をはじめる前の1年間は、地元の人を巻き込んで、応援してもらえるように、地域の活動に積極的に参加しました。その後、ワークショップ形式で300人以上の方に協力してもらって、改装を進めました。
けれど、宿という性質上、やはり外からのお客さんへのサービス提供がメインになる。でも、それは今まで応援してくれた人にとっては少し寂しい。つくっている時のほうが楽しかったりするんですよね。
「ますきちは、ずっと改装終わんないよね」ぐらいでいたい。だんだんとつくりあげていく過程が、ますきちの物語になっていったらいいなあ。
いただいたお金は、瀬戸市の飲食店で美味しいご飯を食べるために、使わせていただきます😏