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導入事例◆菊名記念病院「導入直後から目を見張る業務効率化でタスクシフトを実現」

医療法人五星会 菊名記念病院(横浜市港北区)は急性期医療に特化した二次救急医療機関です。1991年の開院当初以来、循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科を中心に専門性の高い医療を提供しています。病床数は218床、臨床工学技士は18名在籍しており、心臓カテーテル、手術室、血液浄化センター、内視鏡、集中治療、そして医療機器の中央管理と、幅広い業務に携わっています。臨床工学科 技士長の小野寺貴志さんに、HITOTSUを利用しようと思ったきっかけや導入前後の変化、今後の期待などをうかがいました。

約15年前から、データベース管理ソフト「FlieMaker」を使った自作の医療機器管理システムを運用していた菊名記念病院。市販のシステムを導入しようと考えた背景には、従来の医療機器管理業務における2つの非効率(ムダ・ムリ・ムラ)がありました。

輸液・シリンジポンプの所在確認に毎日2人×半日かかり切り

1つは、自作システムゆえ、閲覧できるパソコンが限られていたこと。FileMakerがインストールされているパソコンでしか操作できず、その他のパソコンでデータを閲覧する際はUSBを使って持ち運んでいました。「USBの紛失リスクは常に気になっていましたし、パソコンを買い替えるとFileMakerを再インストールしなければならなかったり、バージョンが変わると使える機能も変わることがあったり。頭を悩ませていました」と小野寺さんは振り返ります。

また、保健所の監査や日本医療機能評価機構による病院機能評価において、最新の添付文書を参照できる体制の整備が求められていました。ただ、日ごろから添付文書の更新情報をウオッチしたり、新たに医療機器を導入した際に添付文書をわざわざ保管したりすることには大きな手間がかかり、監査の直前に慌てて対応することもあったといいます。

HITOTSUの添付文書自動取得・更新機能は監査対応の手間を軽減(画像の一部を加工しています)

もう1つの非効率は、貸出・返却をシステマチックに管理できていなかった点でした。「これまで、約200台の輸液・シリンジポンプの所在確認を、毎日、臨床工学技士2人が半日かけて行っていました」(小野寺さん)。これらの機器を使用している入院患者さんがリハビリや検査などで病室を不在にしていることも少なくなく、所在確認できるまで二度、三度と病室に足を運ぶことは日常的でした。

PCが苦手なスタッフをあえて立ち上げメンバーに選定

これらの課題を解決しようと、市販のシステムの比較検討を進めました。すべてのスタッフが使いやすいシステムを選ぶため、あえてパソコンやITが苦手なスタッフを立ち上げメンバーとしてアサインしたといいます。「当初は、機能が充実しており、施設ごとのカスタマイズも可能なオンプレミス型が候補に挙がりました。ただ、初期費用や維持費が高額であることと、すべてのスタッフが同じレベルで操作できない懸念がありました」(小野寺さん)。

そんな中で、SNSを通じてHITOTSUの存在を知ります。「直感的に操作しやすそうなデザイン性であり、コストも抑えられる」と、フリートライアルに踏み切りました。

「実際に使用してみて、操作のしやすさはもちろん、カスタマーサポートや開発サイクルのすばらしさを実感しました。オンプレミス型システムをデモ利用した際は、ちょっとした設定変更であっても、電話で一報を入れ、折り返しの電話を待ち、来院日を調整し、要望を聞いてもらって、数日後にやっと反映される。しかも、追加費用がかかることもある。それがHITOTSUでは、チャットサポート窓口にいつでも連絡でき、ある程度時間がかかるだろうと覚悟していたような内容も1時間ちょっとで改善してもらえました。他のスタッフにも好評です」と小野寺さんは話します。

HITOTSU導入でタスクシフトに弾み、内視鏡検査も増加

HITOTSUの本格導入により、非効率は大きく改善しました。特に従来、輸液・シリンジポンプの所在確認に当てていた臨床工学技士の工数を、臨床補助業務に当てることができるようになった点が大きいようです。

具体的には、鏡視下手術のカメラ保持に、より多くの臨床工学技士の時間を当てられるようになりました。この業務は、医師の働き方改革推進に向けた2021年の医療法改正に盛り込まれたもので、所定の告示研修を受けた臨床工学技士に認められています。「当院ではかねて臨床補助業務に積極的に関わっており、この法改正に関しても、技能の習熟よりも臨床工学技士の人手不足が律速段階だったことから、HITOTSU導入により大きく前進しました」(小野寺さん)。

また、看護師不足のために件数が伸び悩んでいた内視鏡検査業務にも、臨床工学技士の工数を当てられるようになり、検査件数の増加につながったといいます。

HITOTSUの貸出・返却機能により輸液・シリンジポンプの所在確認自体の工数を大幅に減らしつつ、ダッシュボードの「長期未返却リスト」を活用して、長期間患者さんに使用していた機器に関しては、返却時の点検を重点的に行うようにし、機器管理の品質を維持するように心がけているそう。

そうした工夫により、臨床業務やタスクシフトだけでなく、臨床工学技士の根幹ともいえる機器管理業務においても、存在価値を病院経営陣や他職種に示していきたい」と小野寺さんは意気込んでいます。

菊名記念病院 臨床工学科の皆さん。後列左から5人目が小野寺技士長

検査科や放射線科との連携にも活用

同病院ではこれまで、臨床検査機器や放射線装置に関してそれぞれ臨床検査科や放射線科が管理や点検を担ってきました。従来、点検予定はExcelのフォーム、点検結果は紙ベースで、医療機器安全管理責任者である小野寺さんに報告してもらっていましたが、HITOTSU導入後はユーザーIDを各部門に発行し、HITOTSU上に一元化するようにしたそうです。

「今後、ユーザーの職種や部門によって、機器一覧のデフォルト表示も設定できるとさらに良いですね」と小野寺さん。なお、同様のご要望は他の医療機関様からもいただいており、実装に向け開発を進めています。

貸出率や故障率の可視化といった経営改善機能にも、とても期待しています。これらを基に適正台数の検討や他職種への研修を行い、経営改善に資するデータをどんどん打ち出せていければと思っています」と小野寺さんは話しています。

病院データ
・横浜市港北区
・病床数:218床
・臨床工学技士:18名
・取材日:2023年8月22日
 (記事内容は取材時点のものです)

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