合言葉は「焼き芋から笑顔に♪」。繋がりが連鎖する、地域の新しい場所。 【Interview vol.5】
「面白い焼き芋屋さんが藤沢にあるんですよ」
その一言から私たちとよっしーさんの繋がりが生まれました。
——と、藤沢のお話から始まりましたが、今回は横浜の洋光台団地が舞台です。約12000世帯が住むこのエリアでは、「ルネッサンスin 洋光台」「団地の未来プロジェクト」などの取り組みを通してこれからのまちのあり方を模索しています。
そのひとつが、団地のシンボル的な存在である集会所の改修工事。
今年5月、その一角に『コミュニティカフェ よっしーのお芋屋さん』
がオープンしました。
店主の吉川ゆうじさん(以下、よっしーさん)は、これまで焼き芋を中心にさまざまな「おいしいもの」とコミュニティをつなげてきた方。また、藤沢を中心として、地域の活性化やイベント等の企画に取り組んでこられた実績があります。
そんなよっしーさんがなぜ今、洋光台団地でカフェを開くことに決めたのか。
今回は、まちまど-洋光台まちの窓口-のスタッフ伊藤さん・青山さんが、よっしーさんの想いを聞きました。
すごいお芋と出会ってしまった
―今回お店を開くにあたって、洋光台にお引越しされたとのことですが、どうですか?
洋光台は住み心地良いですね!緑も多くて。入居前にかなりリサーチをしましたが、予想外だったのは、強い風が吹くことかな(笑)でもそれは良い風が吹いている、と前向きに捉えています。
―よっしーさんがお芋屋さんをやろう!と思われたきっかけを教えてください。
人生で最初に出会ったのが、お芋の中でも最高級といわれる「熟成・つるし安納芋」でした。通常お芋のつるは切ってしまうのですが、そうはせずに、4~50 日種子島の浜風にあてて熟成させるんです!そうすることでうまみやミネラルが増えて濃厚なお芋になります。今でこそ有名ですが、当時はまだ安納芋という品種も無名で。うわ、すごいお芋と出会ってしまったな、と。いつかこれを使ってお店やカフェをやりたいなと思いながら、違う仕事をしていました。(※以下の写真は紅はるか)
その当時、奥湯河原で某高級旅館の支配人をしていたのですが、ある日、後にお芋の師匠となる方に「コミュニティサロンを開くから一緒にやらない?」と誘っていただいて。旅館を辞めて1年間そちらの運営をしていました。その後、いつかやるお店でコーヒーも出したいな、と思っていたのでコーヒーの自家焙煎の会社で働きながら、片瀬江ノ島の駐車場で土日だけ焼き芋屋をはじめて。その経験を踏まえて、まずは藤沢本町でお芋屋さんと食のセレクトショップを出すことになりました。
―藤沢に出店する前に、既に色々な繋がりをお持ちだったんですね。
それでも藤沢にはほとんど知り合いがいなくて。せっかく藤沢に住むのだから、藤沢の名産品になるようなものを作りたいなと思って、地元産の豚肉にしらすを練り込んだ”しらすフランク”というものを作ったんです。その名産品をつくっているときに「なんだかあの人面白いよ!」と、ふじさわ観光名産品協議会の理事にならないかとお声かけいただきました。お店だけではなく、色々な活動の中で繋がりができていったかたちです。
人とひとを繋げる架け橋に
―藤沢で深く活動をされてきた中、なぜ洋光台にいらっしゃったのでしょうか。
この場所への出店のお話をいただいたときに、洋光台の、この場所の未来に対しての熱意を感じました。今回僕は、洋光台のまちをさらに盛り上げていったり、人と人を繋いでいくという役割でお声をかけていただいて。僕ら夫婦でお役に立てる事がある...それならば行こうか、と。藤沢や湘南でお世話になっていた方には、「みなさんの活動の場も広がるように、僕が洋光台との架け橋になっていきます」とお伝えしました。ここに自分が来ることで、繋がりや楽しさが広がると思っていて。
そして僕の根底には、これまでお世話になった方に対して「いつか恩返しする」というよりも、「相手が好きだから今度は自分がなにかしたい」という気持ちがあります。ここも、出店にあたって関わってくださった方の気持ちに応えたかった。
―よっしーさんご自身が、みなさんを繋ぐ存在なのですね。このお店をつくる上で心がけていることはありますか?
「帰っていただくときに笑顔になれるお店づくり」ができたらいいな、と。実は以前、仏壇店で店長をしていた経験もあるのですが、仏壇屋さんって、大事な家族や親戚を亡くされた後とかにご来店されることが多くて独特の雰囲気がありますよね。そういった...悲しみや不安に包まれているときでも、お帰りの際にはほっとしていただいたり、笑顔になっていただけるように心がけていました。一緒に働くスタッフには、仏壇を売るときも、仏壇を売ろうとしないでね、と伝えていて。悲しいことや不安なことを取り除けるような、お客様に寄り添う接客を心がけようと。
今のお店も考え方の根本は同じ。もちろん売れるものを売りたい、というのはあるけれど、大前提として、おいしくて自分たちが納得するものを提供したい、お客様に笑顔で帰ってほしいと思っています。そのためにはどうしたら良いだろう?と考えながら。
―その想い、今もとても伝わってきています。よっしーさんのお話を伺っていると、数多くの取り組みをされていらっしゃいますよね?
うちは焼き芋屋だったり、“食のセレクトショップ”と言っていますが、僕自身がやっていることは「マッチング」でして。志とか、人を繋いだりだとかを軸に考えると、色々なことが生まれてくるんです。
たとえば、今置いているマスク。こちらは普段服飾の仕事をしている知人が作って販売しているマスクと、オシャレな布マスクが足りないというお客様からのお声をマッチングしました。このお店で販売することで両方が笑顔になればいいんじゃないか、ということで販売することに。
また先日新店舗オープンの際に、お店のオリジナル T シャツを作ってプレゼントしてくれた知人がいたんです。その方に、最近どうですか?と聞くと、やはり感染症の影響で売り上げが難しいですね、と。それなら少しでもプラスになればと、Facebook でそのオリジナル T シャツの購入者を募りました。少しでもその方のお仕事に繋がればいいなと想いを込めて。
だから、何屋なの?と聞かれたら「マッチング屋」なのかもしれませんね(笑)人と人とを繋ぐことをやりたくて始めたわけではないけれど、周りの方の話を聞いているうちにマッチングしたくなって動いている、という感じです。
幸せとワクワクを感じる企画とは
―ご縁を大切にされるよっしーさんらしいですね。ちなみに企画を実現するためにはどのようなことに気をつけていらっしゃいますか?
色々な立場になって物事を考えること、そして企画に対する「想い」を大切にしています。先日、お店でミニライブイベントをできませんか?とご相談いただいて...歌手やパフォーマーなどのアーティストさん、そしてそれを支える裏方さんにご自身の活動を少しでも取り戻してもらいたい、その想いで開催を決めました。決して人を集めたいわけではなくて。ここで一度に活動できるアーティストさんは少数かもしれないけれど、演じるアーティストさんもそれを見守るファンの方も、一緒に幸せを感じることができる。そうすることがひとつの良いきっかけになると思ったんです。
いまの時期だから開催できない、ではなく、どうしたらできるのだろう?と考えること。あとは、もし実現しなかった企画があれば、どうすればできたのか?自分や、周りの方に安心かつワクワクしてもらえるようにする。それを繰り返し考えることが大切だと思っています。
*
「おいしいものを食べることが好き!」というよっしーさん。お休みの日はご夫婦でお食事に行かれるのだとか。
食への追求と人と人との繋がりづくりを進めるよっしーさんご夫婦のお店は、洋光台団地にもしっかり根付いていくことと思います。
お店のFacebookにはおいしそうなものがたくさん!そして、読んでいくと元気をいただけます。ぜひ覗いてみてくださいね♪
(HITOTOWA佐藤)
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