見出し画像

地域との接点をつくる。多摩社協の新たな挑戦【Interview vol.7】

東京都多摩市の多摩ニュータウン団地にある豊ヶ丘・貝取団地商店街。
商店街に入ると、なんだか楽し気なはなし声が聞こえてきます。

画像1

その声の先に見えてきたのが、地域の方たちが気軽に交流できるコミュニティ拠点「健幸つながるひろば とよよん(愛称:とよよん)」。居宅介護支援事業所と併設されていることで、介護保険に関する相談も気軽にできます。

今回は、とよよんの運営協力と拠点のスタッフさんとの調整を担当されている、多摩市社会福祉協議会まちづくり推進担当の渡邉直子さん(以下、渡)と伊藤晴美さん(以下、伊)に、拠点運営に関わる想いと目指している居場所づくりについて、オンラインでお話しを伺いました。

地域の中に拠点を持つということ

②普段の様子

ー社協さんが地域の中で、民間団体である社会福祉法人が開設した拠点の運営協力をされていることは画期的だと感じていますが、その点はどのようにお考えでしょうか?

渡)私たち社会福祉協議会は地域の中に、福祉センターという本部と駅前の商業施設内(公民館と併設)にある拠点の、2つの拠点を持っています。

ただ豊ヶ丘・貝取地域からは、どちらも車で15分~20分程度かかってしまい、距離的に遠いです。

地域の方がふらっと立ち寄って、相談やお話しができる環境ではありませんでした。

今回、地域の中にある拠点の運営に関わることができたことで、地域の方との接点がより持ちやすくなり、これまでの課題の解消に繋がると考えています。

伊)私たちの部署はもともと地域にでる機会が多く、住民の方の声を聞くことがあります。

包括支援センターは、多摩市内に5か所拠点を持っています。しかし、私たちと同じように、限られた拠点で立地によっては、「ちょっと行きにくいのよね」という声もありました。

だからこそ、地域の方の生活拠点に、より近いところに拠点があるという点では、さらに暮らしに関する声を聞くことができる場所になります。住民さんがこうした場所を活用することで、社会参画できる機会をもつことにもつながりますよね。


ー福祉や介護という拠点の軸が出来上がった経緯が伝わりました。そんな中、新たにアプローチしたい分野や層などはありますか?

伊)もう少し、若い世代が来れる場所をつくれたらと考えています。ここは高齢者寄りの方がどうしても集まりがちですが、子育て世帯の方にも参加いただける機会があるとさらに良いなと感じています。

やはり子育て世帯が地域に参加しにくいなと感じているので、気軽に、ハードルを高くせず、参加できるイベントや仕掛けをしていきたいですね。


ー具体的に取り組んでいらっしゃることをお伺いできますか?

伊)情報を届けることが大切だと思っています。

近隣の団地にとよよんのチラシを配っていますが、そこだけでなく、学童や保育所、幼稚園などにもチラシを置かせていただき、保護者の方をターゲットにすることも試みたいと思っています。

情報発信面では、チラシに公式LINEのQRコードも載せていて、自宅でも登録ができるようにしています。ただ、住民さんやサポーターさんからの声では、紙媒体が良いというご意見が多いことも事実なんです。

写真-02


社協ならではの強みを生かして

ー10名のサポーターさんはどのように集まったのでしょうか?

渡)もともと社協と繋がりがあり、とよよんの近隣地域に暮らしている民生委員さんやとよよん以外の活動での関係からお声がけさせていただき、募集を始めました。また、社協にあるボランティアセンターのボランティア通信で一般募集も同時に行いました。

とよよんが開設してから始めたのは、「サポーター説明会」です。定期的に開催し、地域の方にもお声がけしたことで、徐々にサポーターを増やしていきました。

⑤サポーター説明会


ーほとんどのサポーターさんは、近隣で暮らしている方ということですね。サポーターさんからの声も含め、近隣で活動されてこられたからこそ、見えた地域の課題はございましたか?

伊)ニュータウン特有の、団地が数多く、何棟も建っているエリアです。

そのため、団地毎の取り組みは昔から活発なんですが、団地間の繋がりがそこまでないのかなと感じています。団地の管理組合や自治会が集まる場(地域福祉推進委員会)を定期的に設けていますが、さらなる情報共有の場を求められていると感じています。

また、高齢化が進んでいる地域ではありますが、元気な方が多いので、その方々が活躍できる場も必要だと考えています。

ーそういえば、とよよんにいる伊藤さんの画面から聞こえてくる音には、楽し気な声が聞こえていますね。

伊)ちょうど今日は、手芸や編み物を楽しむ「手作りちくちく」が開催しているんです。

もともと手芸を趣味にされていたサポーターさんからの持ち込み企画で、サポーターさんと地域の方とがおしゃべりしながらマイペースに楽しんでいます。

⑥ちくちく


世代間をつなぐ多世代交流を目指して

ー「地域の担い手づくり」として、これまで何かエピソードはありましたか?

渡)サポーター説明会を開催した際に、地域とのかかわりが少なかったある住民さんが、ご主人と一緒にお越しになった ことがありました。定年後に引っ越してきたばかりで地域に知り合いがいないということで、知り合いを求めてきていただきました。

そこで、ご主人も一緒にできる活動はないかとご相談をいただき、まだ実現していないのですが、「地域のお助け隊」のような取り組みができるといいねという話になったんです。

活動として大きいことはできていませんが、地域の方との出会いが小さな活動に繋がっていくということは感じています。

とよよんに興味を持っていただいた方との繋がりを大切にしています。やらされている感にならないように、一緒に考えていく姿勢を大切に。無理なく継続できる形で取り組んでいけたらと思っています。


伊)担い手というと難しい地域でもあるんです。

高齢化が進んでいる地域の取り組みでは、「歳とってきたし、イベントも簡単なものにしていこうか」「やぐらをたててたけど、もうできないね」など、活動や担い手というと少し消極的な部分が出てしまうことがあるんです。

ただ、自分が何かできることはないかという視点で考えられるように、地域の方に接していく工夫が必要だと考えています。

また、サポーター説明会の話もありましたが、まず近隣の住民さんに「とよよん」を知っていただく機会が本当に大切だと思います。

以前、「口コミ」が集客に直結しやすいと聞いたことがありますが、その点、サポーターさんの存在が有難い。日頃の活動や繋がりのある方に、とよよんの宣伝をしてくれていて、一人ひとりが周知活動に積極的なのが支えになっています。

画像6

ーとよよん運営に参画された決め手やどんな居場所づくりを目指したいとお考えでしょうか。

渡)社協は、高齢関係のつながりは強いのですが、子ども関係のつながりがまだまだ弱いと思っています。

これから社協ならではの世代を区切った形でない、多世代の活動を取り組んでいけたらと考えています。


伊)渡邉さんに共感しました。

おじいちゃん・おばあちゃんと暮らしていない世帯が多い、いわゆる「核家族化」の時代ですが、この地域の特性を生かして、地域におじいちゃん・おばあちゃんがいる安心感や居心地の良さが広がってほしいです。

血がつながっていなくても、気軽に挨拶をし合えるような地域になればいいなと考えています。

⑧ランタンづくり



地域との関わりが多い社協だからこそ、より住民の声を聞き、接点をもつことを大切にしたいと考えた先に、「地域の中に拠点をつくる」という答えがあったのだと感じました。

世代を区切らず、誰もが居心地が良いと感じられるまちを目指して。

とよよんを通じて、住民さんが地域との接点をもち、社会に参画できるよう、情報発信からイベントまで様々な取り組みがされています。
介護保険に関する相談だけでなく、地域に関わるきっかけを探しに、「とよよん」へ足を運んでみてはいかがでしょうか。


>健幸つながるひろば とよよん 公式LINE 友達追加画面

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?