【H&MオーストラリアFacebookスポンサー広告】
2024年1月、アパレルブランドのH&Mがオーストラリアで展開したキャンペーン広告。ピンクの背景に、見返りポーズの2人の少女の写真に、”Make those heads turn in H&M's Back to School fashion.”(H&Mの新学期ファッションで注目を集めよう)という煽り文句をつけたものである。
これが「児童を性的に表現している」との炎上被害に遭い、1月19日にH&M社は謝罪させられた。
日本語ではこれを「女児の【性的対象化】」という言葉で表現している向きもあるが、「性的に表現する」と「性的対象化」はまったく意味の違う言葉であるので注意されたい。
さて、この全く性的にきわどいところのない、ごく普通の服を着た少女たちの写真がなぜ「性的に表現」されているというのか。
言いがかりのポイントは煽り文のほうにあった。
文中に使われている英熟語”turn heads”が「性的な魅力で異性を惹き付けると言う意味」だというのだ。本当なのだろうか。
結論から言おう。
turn headsは「振り向かせる、注目を集める」行為全般を意味する言葉であり、性的であるかどうかは全く関係ない。
実際にGoogle検索で最初に出てくる辞書に登場する用法でturn headsさせているのは車である。
もちろん、性的魅力で振り向かせる場合に使ってはいけないわけではないが、それはただ「そういう場合もある」というだけに過ぎない。日本語でも「振り向かせる」が恋の相手であることもあれば、そうでないこともあるのと、全く同じである。
日本語の曲の歌詞からそれぞれの例を引こう。
前者のような用法が存在するからといって、無関係の後者の「ふりかえる」まで性的であることにすると、町の人々がドラえもんに性的魅力を感じていることになってしまう。
つまりは「そうだ京都、行こう。」という言葉が広告に出てきたときに、「行く」は性的オルガスムを意味する言葉だ! と吹き上がるくらい馬鹿げた話なのである。
また、実際にChatGPT4に今回の広告文をまるごと日本語訳させたところ、やはり単に「注目を集める」という意味で訳された。
そもそも、H&M社はわずか3ヶ月前に、ハロウィンを題材に為た別の広告でも普通に”turn heads"を用いており、こちらは全く炎上しなかった実績がある。
左派偏向が著しいことで知られるBuzzfeedは、炎上加害側が日本で批判を受けていることを受け、本当は「ルッキズム」批判が抗議理由だったと擁護記事を上げた。
フェミニズム系の炎上において、叩きが的外れであると示されると、歴史修正して「本当の理由」を掲げ始めるのはいつものことである。
しかし、ファッションブランドに対して「ルッキズム」そのものを批判することなど所詮無理があるわけで、苦しい言い訳というしか無いであろう。
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