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【マナーで始まる恋もある/マナ恋! #駆け込み乗車編】

 2021年6月に東京都交通局が動画公開しツイッターで告知した、マナー推奨キャンペーン。

 女子高校生とおぼしき少女が駆け込み乗車をしようとして、男子高校生らしき人物と肩がぶつかり謝罪するというもの。
 マナーで始まっているのか微妙な気もするが、そもそもマナーがあるからこそ「マナー違反者が謝罪する」というのが出会いになるわけで、そこはまあいいとして良いだろう。

 これにまたぞろ、的外れな抗議を東京都交通局アカウントに送りつけてきた人々がいる。
 もちろん「フェミニスト」である。

 早い話が「いつもいつも女性を加害者として描くな!ぶつかってくるのは男だ!」というのがフェミニスト達の反応であるようだ。
 
 さて、それでは本当に女性は「加害者として描かれがち」なのだろうか?
 直観的に答えても、それは間違っている。マナー広告でも防犯広告でも「犯人」として描かれるのは男性が多いというのが、大抵の人の印象であり、そしてそれは事実でもある。

 次に「ぶつかってくるのは男性」というのは本当か。
 いわゆる「ぶつかりおじさん」(故意に女性を狙って駅構内などで衝突しようとする中年男性のこと)を挙げて「男が加害者なのに!」と言い張る者もいたが、そもそもこのポスターは駆け込み乗車によって発生する事故としての対人衝突の話である。故意に人にぶつかってくるなどという極少数の異常者の話などしていない。
 実際には、興味深い研究をした人がいる。この研究は20代女性によるものとのことだが、観察の結果、男性と女性では、女性の方が圧倒的に前から歩いてくる人を「避けない」ということが分かったという。

 またネットメディア「しらべぇ」も、性別世代別に「駆け込み乗車をしたことがある人」の量的調査をしている。
 少なくとも10代にあっては女性の方が駆け込みをしたことがある人が多い。

 見ての通り若い人ではむしろ女性の方が駆け込み乗車の経験率が高いことが分かる。高年齢層で男性の方が多いのは、この世代では男性の方が通勤電車に乗る機会が多いためだろう。

 また事例をみても、この少し前に「男性にぶつかられたと被害者ぶっている女性が、話をよく読んでみると実は自分の危険行為で人にぶつかっただけ」という事例が複数話題になったばかりである。日本共産党の代議士池内さおり氏や、漫画家の「羅鳩」氏だ。

 もちろん公共交通機関の乗り降りは降りる人優先だし、駐車場で走るのが危険行為なのも当たり前すぎるほど当たり前のことだ。
 
 そもそも「実際には○○が割合が多いから、それに合わせた性別で描くべき」というのがまずおかしい。
 この理屈でいうと会社や役所などを舞台にしたシーンを描く際には、日本社会では管理職や「偉いさん」は男性が多いからといって、男性を上司・女性は部下として描けという話になる。そういうステレテオタイプに反対してきたのがフェミニストではなかったか。

 そして何よりこの動画はシリーズの第一作に過ぎない。
 これが何作も作られたにもかかわらず、毎回女性ばかりが加害者役をやらされていた、というのであれば確かに差別的偏見を疑うのもやむを得ないだろう。
 しかし一作目でたまたま女性であるというだけのことで「女性を悪者にしている!」と怒るなら、男性たちは男の犯人が防犯ポスターに出てくるたび「悪者にされてる!」と怒らなければならない。
 そんなことをして何の意味があるのだろうか。

 どうか世の女性たちも、男性と同じようにポスターでマナー違反者例になることくらい、どんと構えて受け入れて欲しいものである。

 ※追記:実際に本シリーズでは、動画の第2弾「会話控えめ編」では男性側がマナー違反者、第3弾「歩きスマホ編」では男女双方が違反者になっている。

参考リンク・資料:

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