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 ”incel”と表記する、英語圏のネットスラング。
 本来はINvoluntary CELibateの頭の部分をくっつけたもので「非自発的独身者」という意味。要するに恋人が欲しいけどいない人。海外の出会い系サイトで最初に使われた言葉だという。
 定義としては上記の通りだが「モテないが故に女性に対する憎悪を募らせている陰キャ」というイメージが付随している。

 これに対して、自発的な独身者つまり元々恋人を作って交際しようとは望んでいない人のことをMGTOWミグタウと呼ぶ。こちらは"Men Going Their Own Way"の略で「わが道をいく人」という意味である。

 インセルそのものを巡っては、男女の嗜好の偏りやそこからくる不平等の現実といった興味深い議論が数多く存在する。しかし表現規制に関する議論に限定すれば、この語の登場の仕方は非常にワンパターンである。

 要するに「フェミニストに嫌われている萌え絵やポルノを擁護したとき、インセルと罵られる」ほぼそれだけである。要するにただの悪口。言われて何のことだろうと本用語集を引いて下さった方、そういうことです。

 欧米圏ではインセルの不満によるとされる銃乱射事件なども起きており、これは様々な社会的場面で妻や恋人の同伴を求められるなど、恋人が存在することを一人前の人間扱いの条件とする西欧の文化的圧力が原因と考えられている。
 日本ではそれほどの事態になることが少ない理由は、銃社会でないことや、西洋ほど恋人の存在を人格と直結する圧力が少ないことのほかに、日本の豊かな「オタク文化」が彼らの救済になっているのではないかという意見もある。

セルオタ

 そのようなインセルかつオタクである男性を「セルオタ」と呼ぶことがある。これは日本のフェミニスト独自の言い方であり、インセル+オタクをくっつけている。
 いずれにせよ有意義な視点の提起などは伴わず「お前みたいな奴どうせモテないだろ!」とレッテルを貼っているだけなので、スルーして差し支えない。

 なお本場でincelから作られる複合語は、本人がモテない原因と考えている部位や欠点をむしろ頭側につけ「~cel」という言葉を作るのが普通であるようだ。例えば鼻が美しくなくてモテないincelはnosecel、民族差別によってモテないincelはethnicelという。

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