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 1981年から週刊少年ジャンプに連載された高橋陽一のサッカー漫画。
 連載当時は日本にサッカーブームを巻き起こしたほどのヒット作で、日本サッカー漫画の代表的作品である。1988年にいったん連載終了した後も「ワールドユース編」「ROAD TO 2002」「GOLDEN-23」「海外激動編」など後日談の形で幾度も連載が再開されている。
 オタク文化史的にはいわゆる「やおい」(現在でいうボーイズラブ)系二次創作が隆盛した初期の作品のひとつでもある。

 いたって健全なサッカー漫画であるが、問題になったのはアニメ版、それも南米チリでの話である。

 本作のテレビアニメ、現地の題名では『Súper Campeones(スーパーチャンピオン)』はチリ国営放送(TVN)によって放映されていたが、2019年7月に放送されたある回に対し、審査団体が「女性への暴力的な描写」があったことを理由に2020年2月、約511万ペソ(73万円)の罰金をTVNに科したのである。

 作中の経緯はこうである。

 件の「暴力」をふるった登場人物は三杉淳。心臓病を抱えているために短時間しか出場できないという弱点を抱え、それをひた隠しにしているサッカー少年である。
 彼のチームの女子マネージャーである少女・青葉弥生は、彼のためにライバル(本作の主人公である大空翼)に対して心臓病の秘密を明かし、わざと負けてくれと頼みこんでしまう。そのことを怒って三杉が弥生に平手打ちをしたというシーンである。

(原作の該当シーン)

 この判断を不当としてTVN側は罰金無効などを求めて裁判をしており、2021年2月2日にTVN側の主張を容認し、罰金無効の判決を下した。
 判決は「暴力的な作品ではなく、サッカーに没頭する子供たちの成長物語である」ことを踏まえ、三杉の「攻撃性は、他人の秘密やプライベートを漏洩したことによるもので、マネージャーが女性だからではない」と指摘。「性を理由とした暴力ではない」とし、罰金を無効とした。

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