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【医師が教える新型コロナワクチンの正体 本当は怖くない新型コロナウイルスと本当に怖い新型コロナワクチン】

 内海聡の著書で、いわゆる反ワクチン本。出版社は株式会社ユサブル。

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 著者の紹介する新聞広告によると、発売10日後に4刷8万部、Amazonのランキングで本総合1位を獲得したが、2021年6月19日までにAmazonでいったん取扱い中止となっている。

 プロフィールで感染症内科医を名乗るsekkaiというツイッターアカウントが、自身の訴えによるものだと述べている。

  また、出版社ユサブルは自社のFacebookで、Amazonの削除理由が「本のガイドリアンコンテンツに準拠していないため、販売することができない」という説明を受けたと公表している。

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 sekkai氏のツイートには絶賛とともに、氏とAmazonに対する多くの批判が寄せられていた。

 ところが22日になってAmazonが取扱いを再開、なおかつ23日にJ-CASTニュースの取材に対し「一時誤って販売が停止されておりました」と回答している。この「誤り」がいかなる類の誤りかは明らかにされていない。

 いずれにせよ、たとえ反ワクチン本に対しても医師達は「反論」をもって対処すべきであり、弾圧をすべきではないという原則が回復されたことになる。

 確かに反ワクチンという信念は、決して無害ではない。
 2021年6月、新型コロナワクチンの接種に反対する反ワクチン派の人々が、京都府伊根町や愛知県小牧市などの接種をおこなう自治体に大量電凸攻撃を掛けるなどの迷惑行為も実際に起こっている。
 しかしそれでも、有害と考えられる(疑似)科学的信念やトンデモ説を規制するべきではない。百歩譲って規制を認めるべき場合があるとすれば、これらの本がワクチン接種の物理的妨害のような違法行為を直接に煽動している場合であろう。

 なぜ、反ワクチンのような有害なトンデモ本を規制してはいけないのか?

 1つは、その著書・著者を「弾圧のヒーロー」にしてしまうからである。
 志水一夫氏はイマニュエル・ヴェリコフスキーの著書『衝突する宇宙』という疑似科学書を例にあげて、弾圧がかえってその本と著者を「弾圧のヒーロー」に祭り上げてしまった失敗例を挙げ、疑似科学に反論ではなく弾圧を加えることの愚かさを説いている。

 もう1つは、人々がその誤った説とその批判の双方に触れ、こうしたトンデモに対して免疫を得る機会を逸させることになりかねないからである。
 疑似科学者やカルト宗教などによって流布される誤った信念は、彼らの自前の組織や口コミによって、結局は伝わってしまう。彼らの説を初めて聞く人は、「すでに聞いたことがあり、なおかつそれを間違っていると知っている」人よりも、その誤った説をはるかに信じてしまいやすいだろう。

 最後に、弾圧された方の見解が正しく、多くの正統な医学者が信じる見解が間違っていて、実は大勢の人を死に追いやっていたという可能性も、やはりあるからである。
 その実例が、今まさにコロナウイルス蔓延防止に大きな力を発揮している手洗いの励行である。
 19世紀ドイツの医師ゼンメルワイスは、赤ん坊を生んだばかりの母親が多く罹る産褥熱の研究をした人物である。
 彼は医師や医学生が赤ん坊を取り上げたときの方が、女性助産婦が取り上げたときよりも遥かに産褥熱のリスクが高いことに気付いた。
 そして、彼らが死体解剖に携わっており、その死体から病気の原因となる何か(病原菌という考えは当時まだ一般に認められていなかった)を移してしまっているという説を唱え、手洗いでそれを除去できることまで突き止めたのだ。
 しかし「お前たちが病気を振り撒いている」と言われたに等しい医学界は、この説を受け入れるどころかゼンメルワイスを激しくバッシングした。結果として、彼は失意のうちに1865年、精神病院で47歳の若さで死を迎えることとなったのだ。
 その後、彼の手洗い説は周知のように認められ「母親たちの救い主」とまで称えられている。

 このような事例は実際にあるのだ。
 たとえその確率が非常に低いものだったとしても、である。

参考リンク・資料:

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