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【Gillette Venusツイッター広告】

 Gillette Venus(ジレット・ヴィーナス)は女性用カミソリのメーカー。
 2019年4月4日、同社はビーチで戯れる肥満体の女性の写真をツイートに投稿した。

 海外ではポリティカル・コレクトネスに「配慮」し、企業広告などがリップサービス的に有色人種やプラスサイズ、さらにはダウン症などのモデルをしばしば使用することが一種の流行りのようになっている。
 このGilletter Venus社の投稿もその種のもので、女性はプラスサイズモデルのアンナ・オブライエン氏である。

 しかし英語圏においてもツイッターユーザーはもちろん、こうした「配慮」に賛同して見せて自分の「意識の高さ」をアピールしようとする層ばかりではない。一般ユーザーにとってはただの太った女性の写真であり、不評や批判も当然招いた。「Gilletteがクジラの保護活動を行っていたとは」という皮肉めいたものもあった。
 当該ツイートのリプライ欄は、こうした意識高い系と一般ユーザーとの口論の場になっていた。

 本来、太っていようがなんだろうが、自身の体をポジティブに捉えそれを写真として発表することは自由であるし、それを美しい(あるいはエロい)と思うかどうかも、それをコメントすることも自由である。
 しかしこうした「プラスサイズ礼賛」の風潮は、従来の「モデル体型」の女性の起用を「健康への悪影響」があるとしてバッシングしてきた事実がある。
 いわゆる「モデル体型」には不健康なほど痩せたスタイルも含まれる。広告や映画、アニメなどですらりとした美しいモデル体型の女性が礼賛されている状況は、女性に対して自分もそのようなスタイルを獲得しなければならないという強迫観念を与え、拒食症や鬱病などに陥らせる……というのがその理屈だ。
(なお現実にそのような表現が女性の鬱病や拒食症を増やしているとは、証明されていない)。
 このような「女性の健康に有害」論は、女性を気遣っているように装っているが、実際には美しい女性やその描写の排除に利用されている。
 
 しかし、その理屈でいえば「不健康なほど太った」女性も広告などに登場すべきではないはずである。
 だが、フェミニズムやポリティカル・コレクトネスを礼賛する人々はその矛盾には目をつぶり、多様性の名のもとに「プラスサイズ」を礼賛するという愚行を犯している。
 自身がプラスサイズモデルである【藤井美穂】氏もその一人である。実在のモデルばかりかアニメヒロインのモデル体型に至るまで噛みついているのが彼女だ。

 当然この理屈でいえば、痩せているモデルだって不健康とは限らないのであって、広告やアニメはこれからもモデル体型の女性をガンガン出して良いことになるのだが。

 結局のところ、フェミニズムやポリコレの言う「女性の健康」などというものは、ただ「いかにも男性にちやほやされていそうな美しい女性」を排撃するための口実に過ぎず、本当の関心事ではなかったということである。
 その矛盾ぶりを図らずも、如実に表してしまったツイッター広告であった。

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