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『塩村あやか&石川大我両氏に話を聞いてみた:②塩村編』2023-05-22

 前回に引き続き、4月2日の、加藤功一氏主催、塩村あやか&石川大我氏の講演会について、質疑応答の結果を報告していく。
 なお今回、塩村あやか氏の講演がメインであるのだが、AV新法はじめ表現の自由にかかわる話題は、講演自体にはまったくでなかった。
 しかし配布資料に本人の実績としてAV新法について載っていたので、これ幸いとそっちの話に切り込ませていただいた。

 なお、前回同様、論争をしたわけではない。
 前回も言ったが同会では他の方からもかなり活発に質問が行われており、突っ込みたかったことは多々あったが、それをやっていると質問時間を占領するのははばかられた(というか、やっていたら最初に質問した石川氏との対話だけで時間が過ぎてしまい、塩村氏には何も聞かずに終わっていただろう)。

 HS「(前略)塩村さんはいわゆるAV新法を作られる際に活動されていましたが、あれはそもそもAV業界というのは、未成年の高校生の方の出演を習慣として全然禁じていて、なおかつAV出演強要問題というのも本当はなかったというのが後の調査で判明しているというのが聞かれてまして、実際のところ、AVに出演されている女優さんの方から『働きづらくなるだけの法律だ』ということで改正運動が進められているということを聞いているんですけれど、こちらはどのようにお考えになりますか」

塩村「はい、ありがとうございます。誤解を解くには非常にいい質問だったなぁという風に思うんですけども、未成年はまず法律的にダメですね。おそらく20歳以下だったと思うんですけど」

 塩村氏もあまりちゃんと覚えていないようだ。。
 正しくは、18歳未満が「法律的に」はアウトである。ただしAV人権倫理機構は20歳以上を参加企業に求めており、またさらにさかのぼった時代の基準としては、バクシーシ山下著【ひとはみな、ハダカになる。】に次のようにある。

 たとえば、十八歳になっていない人間のことは撮影できないんですが、じゃあ、十八歳になっていれば誰でも撮っていいかというと、そうではない。十八歳のフリーターはいいが、十八歳の高校生はだめ。高校の卒業式がすんでも、三月三十一日まではだめ。

ひとはみな、ハダカになる。

 続けよう。

塩村「ただし、かなりの数がやっぱり被害があるということになりますから、内部でいくら規制を設けていたとしても、その内部での批判があるというか守られていないという状況と、その内部に入っていない、グループに入っていないところでやっぱり被害がありますから、たとえば労働法を考えてもらえばわかるんですけど、一流企業が守っていたとしてもブラック企業があれば、一流企業にだけ合わせてここにだけ適用する法律を作っても意味ないですよね。
 ブラック企業も合わせて一緒に法律で作らなきゃいけないですから、いくら適正AVの業界があると言ったとしても、そうじゃないところもある以上、ここだけにやる法律にはならない。しっかり同じモノの中に皆さん入ってくださいねということになってくるので、ここはやっぱりきちんと一緒に作らなければいけなかったんじゃないかなという風に思っています。」

 突っ込みが追い付かない。
 その場で反論していたら、この発言に対する突っ込みだけで質疑時間が終わっていたことだろう。
 AV人権倫理機構に参加しているAVメーカーを、圧倒的少数派である一流企業になぞらえる「AVメーカーは大多数が悪」かのようなイメージ誘導に目をつぶるとしても、そもそもこの比喩でいえば、労働基準法がやっているのは「一流企業と同じ(は流石に厳しいので、ある程度それに近い)ルールをブラック企業にも求める」ということであって、AV新法のような「一流企業の基準さえ無視した、異常な謎ルールで業界を締め付ける」ということではないはずである。
 この比喩でいえば、AV新法がやるべきことはAV人権倫理機構の基準をそのまま法律として制定すべきだったはずである。そうなっていればAV新法は悪法とは呼ばれていなかったはずだ。

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